第26話 緊張感して手に「の」とか書いてジャガイモに囲まれる作戦って緊張感が余計に増えそうだけどヘルプミー。
パイセンと位置を変える事で目の前がクリスタル&女の子、後ろが首首&首の状況に。時間に余裕なんて無い、俺は目の前の事に集中すべく後ろの空間を固定した。これで進入不可、後はルムたんが撃つ前に撤退すれば万事解決。
例の女の子は普通に青い髪の女の子。こんな子が何百年も一人で搾取され続けていたのかと思うと……いや考えてる場合じゃなかったわ。
「パーティ、オンザマイケル! アーンドシャッフルゲート、シャッフルゲート!」
女の子の手を取った瞬間にパーティに組み込む、そして同時に近距離移動。視界に入ってなかったら交換出来ませんからね、取り敢えず近場から次は一気に距離をとる。瓦礫一つでシャッフルできるゲートさんマジ有能っすわ。
「テオラゾーマ・バースト・オン!!」
ほぼ移動するのと同タイミングでルムたんの放つとんでもない爆裂魔法が炸裂する。距離は取ってるから熱気はないけど……風がやべぇっす。
「無事じゃったか、信じてはおったがヒヤヒヤしたのじゃ」
「そいつはさーせん。まぁ必要な事は済みましたわ。パイセンは?」
「アンダーソンくん!?」
「どわっ!!」
パイセンの姿が見えないなと質問をした直後、側面から強い衝撃を受ける。パイセンタックル。待って、五メートルは吹っ飛んでますからこれ。
「あいてててて!」
俺をボードにしてパイセンがスケボーする事数メートル。背中が激烈ヒリヒリするんですけどコレ絶対やべー事になってますから。
「ちょちょちょちょーい! パイセンちょっと待って、パイセ……!」
「バカーーーー!!」
!?
……え?
「もう、何であんな滅茶苦茶するのよ! もう少し余裕を持ったっていいじゃない!」
「あーまぁクリスタル壊したし、クリスタルも再生するかもじゃん?」
「あ……」
「それに取りこぼしさえなければルムたんなら一撃かなーってさ。そうなるとあのタイミングが一番効率いいから」
「だからって……せめて一言いっておきなさいよ! 私が一番危ないみたいな言い方しておいて、結局貴方が一番めちゃくちゃしてるじゃない!」
「いや……あれは……アレですやん……」
えぇ……ちょっとちょっと。お嬢さん置き去りなんですって。先にそっちをですね。
『お嬢!!』
「妾に任せておけ、少しくらいなら回復にも精通しておる」
『すまん……お嬢……』
あー、あっちはいけてそうですねありがとうございます。……じゃなくて!?
「とりあえずさ、降りようかパイセン」
「バカ……もうあんな無茶しないでよ!」
「あ……えっと……はい。さーせん」
寝転がる俺、その上に座るパイセン。
そして何か勢いに押されて謝る俺。
あれ? どゆ事? ちょっと前の緊張感どこいった?
へいへい緊張感さん、カムバーック。
「心配するじゃないの……」
おぉぉぅ、まてまてまてまて。そっち? そういう緊張感きちゃう? いくらなんでもカムバック早過ぎませんかね。無理無理無理、オタクにそういうの求めても無理なんですって。ヤバイ手汗が凄いから、何かもうマジ凄い、緊張感ヤバイんですけど。
えっと……はい。
今パイセンが泣きながら抱きついてきてます。
そして俺はフリーズしてます。
あれ?
今日一番緊張してんじゃね?