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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第一章【ダンジョン攻略と過去の遺物】
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第24話 夢であるかとかは関係ねぇ、グダグタ言うのは目の前の女の子を助けてからだ。

 明らかに数が増えた八岐大蛇の首、対してこちらの戦力は増える訳もなくで。さて、どうにかしないとちょっとこれはマズイんじゃね?


「がむしゃらに行くのは無意味じゃの、何か策はないか?」

「んールムたんはまだ何か技残してたりする?」

「規模や威力が上がるだけで基本的な運用に大差のある魔法はないのじゃ」

「まだ威力は上がるのね、ただまぁ……現状そういう話でもないよなコレ」


 敵にタゲられない様距離を取ってミーティング。向こうを見ればエネルギーを吸いすぎて暴走しているのかどうも様子がおかしい八岐大蛇さん。もうこれは……元が魔物であるとはちょっと判別できませんね。


「私はどうしたらいい?」

「ひとまずさっきまで以上に回避が辛くなるかもだから……ん?」


 唸る轟音に気付いてそちらに視線を移すと、明らかに首が数本こちらに向かってきている。……射程が伸びている? やれやれ辛抱たまらないお方だ事、まだ作戦会議は何も成果を生んでいないというのに。


 割とシャレになりませんからコレ。


「どわぁぁぁパイセン回避回避ー!」

「まさか……こんな所まで!?」

「えぇぃ、鬱陶しいのぉ」


 早い段階で気が付いたので回避には問題なかった、けどそもそもそういう問題ではない。どうすんのコレって話が問題なんですよ。


 各自散り散りになりながら何も決まらずに戦闘再開。


「ウルティアス・バースト!」


 ルムたんから放たれる爆破魔法で最初の数本は爆散。だが何事もなかったかの様に次が次がと押し寄せる。


「ウルティアス・ゾル・フレイム!」


 地面に手を当てながら魔法を詠唱するルムたん。タイムラグもほぼない状態で地面から幾多もの炎の柱が出現する。八岐大蛇に地面からの炎でもうここは魔界ですか状態。


「チッ、数が減らん! 何か手立てが必要じゃ!」


 もっとも力のあるルムたんを中心に攻めを組み立て様としても敵の再生速度が異常過ぎて追いつかない。どうすんのこれ、このままじゃマジでジリ貧なんですけど。


 こりゃマズイなとルムたんの方をみるも派手に仕掛けた弊害でかなりの数の首が押し寄せている。あれはちょっとキツそう、ワンパンいれておきますか。


「グランドクロス!」


 空間の断裂、クロスバージョン。大半の首はボロボロと崩れ落ちるがすぐに次が押し寄せる。マジできりがねーわコレ。


「キャッ!」


 千狐さんのガードと自身の剣を持って状況を繋ぐパイセンだが、このメンツでは最も自力が低いのも現実。ちょこちょこダメージを貰い始めている。ヤベェそろそろ何とかしないとですね……。


「アンダーソン! デアロ・ドレジット・バースト!」


 一瞬気を抜いた俺のフォローにルムたんがストレートに走る爆破のビームで援護射撃。ルムたんマジ万能……ってヤバイヤバイ!


「ルムたんそっちはダメだ!」

「チッ、これは……」


 射撃後、一旦体制を整えようと場を離脱したルムたんだったが、その先には幾本もの首が先回りしている。火を噴くやつ、吹雪を吐くやつ、ブレスで攻撃してくるやつ、その全てがルムたんをターゲットにしている。回避は……間に合わない。


「シャッフルゲート!」

「なっ、お主どうやって……やっ、何をするのじゃ!」

「良いからジッとしてろ! シャッフルゲート!」


 ルムたんの側にあった残骸と位置を交換、そして素早くルムたんを確保し再び移動する。スキルでそれなりに距離は取った、これなら……おっと。


「悪い悪い、大丈夫か?」

「わ、妾は平気なのじゃ! 魔王を手助けする阿呆がどこにおる」

「え、ここにいますけど」

「……えぇぃ! いい加減離さんか!」

「んもーわがままなルムたんだこと」


 抱き抱えていたルムたんに逃げられる形で飛び出される。折角助けてあげたのにツレないルムたん。


「……助かったのじゃ」


 はいツンデレご馳走さまです。

 何なの、みんなツンデレなの?

 そういうやつなんですかね……ってヤバイヤバイ。


 ふざけてる場合じゃなかったわ!


「ルムたん正面頼む!」

「任せるのじゃ! ウルティアス・バースト!」

「グランドクロス!」


 二方向への強範囲攻撃、だがこれですら一時凌ぎにしかならない。……パイセンは?


 ……いた、千狐さんが頑張ってくれてるけどかなりキツそうだ。パイセンには複数撃破系の技はまだ無かった筈だからこういう戦場になると厳しそうに見える。


「余所見をするでないわ!」


 しまっ……。


 ルムたんに蹴り飛ばされる。

 そして俺のいた位置に首が大口を開けて通過する。俺は助かったが……首はそのままルムたんを呑み込んだ。


「ルムたん!」

「ヤァァァ!!!」


 下から周りこんでいたパイセンがこれを素早く切断。

 その断面からルムたんがすぐに姿を現した。ひゅー危ねぇ……流石パイセン良く見てくれてますわ。


「おっと、助かったのじゃ……」

「ううん、無理させてゴメンね」


 というより、俺か。


 足手まといになっているのは多分俺だ。


 意識が低いのも、注意が足りないのも。


 そして覚悟が足りていないのも。


 結果、それが仲間のピンチに繋がっている。


 正直、戦闘とか無理ですから。

 俺こないだまでただのオタクだったんだぜ?


 なのにいきなりこんなゲームのラスボスよろしくみたいな状況にバーチャルMMO状態で放り込まれても身体がついていきませんから。


 いや……言い訳か。

 身体は貰ったチートでついてきている。


 仲間も出来た。


 そう、最初から分かってたじゃないか。


 足りないのは覚悟だ。


 これは現実か、或いは夢なのか。


 もうそんな事はどうでもいい。


 どうでもいいんだ、そうだろ?


 目の前ではパイセンとルムたんが何とか状況を打破しようと四苦八苦してくれている。


 そしてこのままいけば必ずピンチが訪れる。


 そんな中でだ。


 俺だけいつまでゲーム感覚でやってんだって話だ。


 お遊びはここまでだアンダーソン。



 よし。


 ちょっと、気合い入れますか。

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