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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第一章【ダンジョン攻略と過去の遺物】
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第23話 増えるワカメってあれ増えてませんから、本気出しただけですから。

「まずは妾が首を一つ落とす、援護を頼むのじゃ」

「オーライ!」

「私は隙を伺いつついけそうなら踏み込むわね」

『こっちは任せときや』


 三者三様に走り出し、八岐大蛇との距離を一気につめる。すぐ敵に認識されたが、どうも前回までの強敵達と違ってこいつは喋れないっぽい。無機質な機械音を纏いつつ首が唸りを上げ始める。


「小手調べじゃ、ウルティアス・バースト!」


 ルムたんから放たれる魔法は事前に聞いていた爆破魔法。その第四界級。着弾と同時に凄まじい轟音と共に機械を辺りへと散らばせる。


 うへぇ、ルムたん一人で勝てそう。

 流石魔王、マジやべぇ。


「一本取ったが……やはり再生するようじゃな」

「やっぱそうなるのね」


 爆破を物ともせずに唸りを上げ続け、別の首がルムたんを強襲する。が、これには回り込んだパイセンが一足早い。


「よし、これくらいなら斬れそうね」


 スパッと首を斬り落とし素早くその場から立ち去るパイセン。だが背後から既に追っ手が掛かっている。


『任しとき、ルナは走るんや』

「お願い!」


 執拗にパイセンを追撃するも、その全てが砂の盾に阻まれ攻撃は通らない。けど俺がアレを放置する理由もない。二本の首から追撃を受けるパイセン、そのより近い方の首を空間の断絶で斬り落とした。


「とりま切断しといたからパイセンは一旦離れて」

「ありがと!」


 少し踏み込みが過ぎれば二本三本という首が同時に襲いかかろうとする、キッチリ距離を取りつつ本当に隙を見なければ踏み込みすら危険。


 ヤバイってこれ、数が多過ぎますわ。


「アンダーソン、前じゃ!」

「おっと、空間固定」


 正面から三本同時攻撃を受け、ひとまずこれを固定で受ける。同時にシャッフルゲートで小石と場所を入れ替えて離脱。首が固まっていたので三本纏めて斬り落とした。俺の空間干渉はオート発動ではないので無敵のチートという訳でもない。気をつけないとゴートゥヘブン。


「ほぅ、やるではないか」

「でもこれ減ってなくね?」

「確かに、一向に減らんのぉ」


 もう既にかなり斬り落としたり爆破したりしているが、首が減っている様子がない。再生が早過ぎる。


「纏めて爆破してみるかの、援護を頼むぞ!」

「ガッテン!」


 八岐大蛇の正面に陣取り、何やら気を整えるような動作に入るルムたん。無論それを八岐大蛇が放置する理由もなく、狙おうとする奴らを固定で阻みつつ片っ端から切断。


 ちょ、ルムたんはよ……。


「離れいアンダーソン! デルピエン・バースト・ミル!」


 その声と共に、八岐大蛇を起点に大爆発が起こる。咄嗟に自身を固定で守った俺だが、無ければ余裕で巻き込まれてましたねこれ。ルムたん派手すぐる。


 だが、八岐大蛇もそう甘くはなかった。


「来てるぞルムたん!」

「分かっておるわい」


 爆破で吹き飛んだはずの首は既に再生されすぐにルムたんに牙を剥く。高速で走り回りこれを回避しつつ隙を伺うルムたん。


 けどこれ……ラチがあかんね。

 ジリ貧でやられるパターンじゃね?


 そう考え始めた時、首の一つが火を吹いた。狙われているのはルムたん。無論回避は問題なさそうだったがその攻撃の先には首が二本先回りしていた。


「ヤァァァ!」


 これを読んでいたパイセンが首を二本ともカット。だがこれを先の火を吹いた首が再び火をもってパイセンに襲いかかる。その隣には吹雪を吐き出す首も。


『問題ない、アンディは前や!』


 だがしかしアレは千狐さんで防げる、そして俺は目の前から迫る首を見てそれを縦に断絶。首は真っ二つに縦に開かれて俺を挟む様に倒れこんだ。


 うーん、やれない事はないけどキリがねーぜ。


「ルムたん状況をどう見る?」

「やはりエネルギー源を断つしかあるまい」


  ですよね。でも勿論、既にそれも試している。


「断とうと思ったら掻き消されたわ、あの奥だけ魔法キャンセル的な付与があるっぽい」

「厄介な……」


 八岐大蛇の方を見ればパイセンがまさに首を三本纏めて斬り落としているその姿が。そしてそのまま素早く撤退し、合流する。


「話は纏まった?」

「全然ノープラン、糸口が見えませんわ」

「あの深い位置で魔法キャンセルとはまこと厄介じゃのぅ」

「……なら斬るしかないわね」

「まぁそうなるかな」


 至極真っ当な意見を出してくれるパイセン。だが高速再生する八本の首を掻い潜って辿り着き、正確に斬って帰還する。口で言うのは簡単だが、この再生速度と速さと数だとなかなかハイそうですねとはいかないのが現状。


 さてどうしたものかと思案していると。

 どうも首の様子がおかしい。


 あれは……数が増えている? え……全部八本だった首が今は十……いや十五本、或いはそれ以上か。絶えず動いているのと類似した見た目のせいで数のカウントが正しく出来ない、が。


 うーん、どう考えてもアレは……。


「増えとるの」

「不味いわね」

『学習しとるって訳か、ややこしいこっちゃで』


 明らかに増えている。この数では侵入者に対応出来ないと判断した八岐大蛇。であれば増やせばいいとばかりに数が増える。所狭しと踊り狂う十数本もの首たち。


 さて、どこからどうしたものですかね。

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