だいすきだったくまさん&寂しがり屋のくまさん(三十と一夜の短篇第23回)
1.だいすきだったくまさん
おまつりではじめまして あなたにであった
あたし ひとめぼれしちゃったんだよ
だきしめたくなるの
だきしめずにはいられないの
やさしくて すてきで かわいくて
ねぇ これからもずっといっしょにいよう
あたしはあなたといっしょじゃなくちゃ
よるだってねむれないんだもの
だいだいだいだいだーいすき なんだから
気分も暗くなる雨 あなたはお留守番
あたし 虫の知らせって初体験
抱き締めたくなった
久しぶりにそう無性に
優しくて 素敵で 可愛くて
あぁ これからもずっと一緒にいたい
あたしはあなたを探し求めた
夜だって眠れなくなりそう
大大大大大好き だったのに
いつからだろう
あなたがいなくても
大丈夫になってしまっていた
決して手放さずにいたのに
いつからだろう
あなたを大切に
扱わなくなってしまっていた
決して手放さずにいたのに
お祭りで初めまして あなたに似た熊
とても 可愛らしいぬいぐるみ
抱き締めたくないの
抱き締めるなんて出来ないの
柔らかく すべすべ 円らな目
ねぇ あなたの変わりは他にないの
あなたが隣にいてくれなくちゃ
泣きたい夜はどうしたら良いの?
やだやだやだやだ嫌だから 手を伸ばす
どこに行ってしまったのかな?
どうしてなくしてしまったんだろう?
大切に想っていたのに
ずっと一緒にいようって 約束したのに
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2.寂しがり屋のくまさん
独りぼっちは寂しかった
とってもとっても寂しかった
「一緒に遊ぼう」 それだけの言葉
どうして僕は言えなかったのかな
それだけで良かったのに
それだけで良かったのに
仲間外れは寂しかった
とってもとっても寂しかった
一緒に遊ぶの もしかして嫌かな
泣かせてしまうつもりはなかったの
みんなで遊びたいのに
みんなで遊びたいのに
一人になるのは怖かった
とってもとっても怖かった
「一緒に遊ぼう」 それだけの言葉
どうしてだれも言えなかったのかな
それだけで良かったのに
それだけで良かったのに
にんじん抱えたくまさんの
引っ込み思案なくまさんの
秘密のパーティの前の話
仲良しの山 ちょっぴり寂しいおはなし