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輝く設定は日常的!!

「マダガスカル!」

「どうした?」

「マダガスカル!!」

「いや、だからどうした?」

「マダガスカーーーール!!!!!」

「…」


◇魔法少女!


「私!魔法少女になる!」

昼休み、咲は唐突に十夜にそう言った。

「……。」

「私!魔法少女になる!」

「聞こえてるよ。なんだよいきなり」

「私、思うの…。輝きたいって」

「輝く方向間違ってるよ」

呆れながら十夜はそう言う。

「ってことで、十夜。一緒にやろ!」

「何で!?なんでそうなったの!?」

「私思うの輝きたいって」

「聞いたよ!その話は!そうじゃなくて、なんで俺が魔法少女にならんといけないのかってことだよ!」

「パートナーって必要でしょ?」

「だからってわざわざ男をパートナーにするなよ」

「寝呆けるのもいい加減にして!あんた意外に誰が魔法少女になれるっていうのよ!」

「たくさんいるよ!そこらの小学生とか!探せばいっぱい出てくるよ!寝呆けてんのはお前だ!」

「いい?魔法少女は美少女じゃないとなれないの!!そこらの夢物語見てる小学生じゃなれないわ!!!」

「全国の夢にあふれてる小学生に謝れ!」

「まぁ、いいわ。そんなに嫌だって言うなら取り引きしましょ」

「取り引き?」

「あんたの言うこと、なんでも一つ聞いてあげる。だから魔法少女になって」

「なんでも?」

「そう、なんでもよ!」

「じゃあ、俺を魔法少女にさせようとするの諦めて」

「……」


数秒後、咲の顔は課の有名な作品。ムンクの叫びと同じ顔に豹変した。



◇そんな設定


「ち◯こ」

「いや待て待て!何いきなり変なこと言ってんですか!秋穂先輩!」


放課後、珍しく部室には十夜と秋保の2人しかいなかった。

「私思い出したのよ。って言うか、前作の私を振り返ったの……そしたら私、下ネタ担当だったの」

「うわ、どうでもいいこと、振り返っちゃったよ」

「十夜も思ってたでしょ?私のキャラが咲とそこまで変わらないって」

「そんなことないですよ。秋穂先輩は咲と違ってツッコミできるし」

「私、突っ込まれる方が好きなのよ…女だから」

「少し頬染めて言うな!恥ずかしいならやめた方がいいですよ!」

「だから、思ったの頑張らないと!って」

「うん。俺の話を聞いてください!」

「今日までに沢山の下ネタを調べてきたわ!」

「頑張る方向が間違ってる」

「行くわよ?」

「えぇ…ここで言うんですか?」


十夜はゴクリと唾を飲み込む。秋穂の口から息を吸う音が聞こえた後、その言葉はでた。


「××××××××××××××××××××!!!!…どう?」

「ごめん!なんも聞こえなかった!ただ、バツ連呼されただけだった!」

「さすがね。バツが聞こえただけでもすごいわ」

「いや。何がすごいの?」

「十夜、ちょっといい?」

「急に冷静になってなんですか?」

「女子の先輩に下ネタ言わせて恥ずかしくないの?」

「あんたが勝手に言ってんだろ!?」

「私は恥ずかしいのよ!」

「知らねぇよ!じゃあやめろよ!」

「なんでや!」

「俺がなんでだよ!」

「……」

「……また、なんですか今度は」

「ち◯こ」

「もういいよ!」



◇そんなこんなで


土曜日、十夜は宏平の家に来ていた。

土曜日、日曜日はだいたい漫才部の集まりで学校にいるのだが今週は、テスト期間のため部活は休みになっている。

久しぶりの休みだと感じていた十夜だが、今朝方、宏平からLINEが流れてきた。

内容としては、テスト勉強をうちでしないかということだった。


「んで、そこのXに3を代入すると答えが出るんだよ」

「あー、なるほどな。助かるぜ十夜」

「それにしても、宏平が俺に勉強教えてくれなんて珍しいな。いつも1人勉強してるのに」

「お前は成績がそこそこ良いから知らんだろうな」

「そこそこ言うな。本当のことだけど」

「実は今年の期末テストから、赤点とったやつには夏休みの宿題が増えるんだとさ」


シャーペンを口と鼻の間で挟み、ふてくされながら宏平はそう言った。

そう言えば前に朝比奈先生も赤点者用のプリントを作るのがどうとかいっていたのを十夜は思い出していた。


「だから、俺1人の力じゃダメだなって思って十夜を呼んだわけよ」

「なるほど。あっ、咲は?呼んでないのか?」

「咲は漫才部の先輩に勉強教えてもらってるんだと」

「あーなるほど。秋穂先輩、瑞希先輩も頭は良いからな」

「本当は桂ちゃんに教えてもらえる予定だったんが、用事で無理になってさ〜」


その時、十夜は不意にあることを思った。


「なぁ?宏平と桂太先輩ってどこで知り合ったったんだ?漫才部入る前にはもう仲良かったし」

「そう言えば、桂ちゃんと俺の出会いをまだ語ったことなかったな」


正直、桂太先輩は結構謎が多い。と言うか個人的に一番影がうすい。

今まで知ろうとしてこなかった十夜だったが、せっかくの機会と思い宏平の話を真剣に聞き始める。


「そうだな、あれは天気が良くて雲ひとつない快晴の日だった」




時は遡り、4月。

まだ、宏平たちが入学して2日目だった。

高校生になり、世界が少し広がってテンションが上がっていた宏平は珍しく早めに学校に登校していた。

しかし、あまりにも早く来すぎたもので、学校の表玄関は空いていなかった。

仕方なく、辺りをウロウロとしていた宏平は学校の裏から声が聞こえて来るのを感じた。

こんなに早めに登校してくるもの好きが自分意外にいるんだと宏平そう思い、近くまで様子を見に行った。


「いやー、今日も暑いなー」


そこにいたのは、1人の高校生。少し身長が高いことから、年上だと宏平は思った。


「こんな日は、冷たい飲み物でも飲みたいな!おっ!自販機あるやん!せっかくだし買ってこ!」


黙々と独り言をつぶやいているその少年を見て、宏平は何をしているのかわからなかった。

今は4月で、少し肌寒い感覚残る季節。

決して今日は暑くはない。それに、彼の近くには自販機なんてものはなかった。

宏平は、物陰でその少年をしっかりと見ていた。


「ええっと、何にしようかな…ん?なんや、これ当たりつきや!ラッキー。よし、決めた無難なコーラにしとこ」


少年が、ポケットから何かを出すそぶりを見せるとどこからか音が聞こえた。


『いらっしゃいませ!お飲みものは何になさいますか?』


それは少し変わった機械音だった。

たぶん録音したもの機械に近い音にしたんだと宏平は思った。

正直難しそうなので、そう言うことにした。


「へー、この自販機喋んのか。おもろいな!」

『そんな、褒めないでください』

「わーおもろ!返事も返せんのかい!」

『そこまで万能では』

「いや、普通に返しとるやん!すご!どないしよ!テンション上がってきたわ!」

『ありがとうございましたー』

「いや、待て待て!まだ何も買ってないわ。ちょっと待ってほんま…あっ!そうや。今日のおすすめはなんですか?」

『なんでしょう?❤︎』

「可愛くないわ!こっちが聞いとんねん!何がなんでしょ?❤︎や」

『すみません』

「ほんま、わい喉渇いてねん。なんか冷たい飲み物欲しいや、もう一度聞くで?おすすめあるか?」

『天然水があまり売れてません』

「オススメきいてねん!誰が売行き良くないの聞いたんや!」

『天然水は、水です』

「知っとるわ!」

『コカコーラは炭酸です』

「それも知っとるわ!!」

『本日の営業は終了しました』

「なんでや!もうええわ!飲み物買って帰ろ!…コーラが、160円やな。よっと」

『ルーレットを回します』

「お!そうや!当たりつきやったな!」

『好きなタイミングでボタンをしてね!』

「よーし!いくでー。よっ!』

『あったり〜』

「まじか!やったで!」

『商品が出てくるよ』

ガッタン

「これ、俺が買ったコーラやん!」



宏平は思わず、クスッと笑ってしまった。

はっと物陰に隠れるが、少年は宏平の方を見て声をかける。


「別に隠れんくてもええやん。出てきぃ。」


そっと、宏平は物陰から姿を見せる。

初めて、少年の顔を見る。

やはり、なんとなく歳上の雰囲気があり、宏平は指をもじもじさせた。


「わいは三橋桂太っていうんや!関西弁みたいやけど、まったく嘘の関西弁。こんな感じかなって思ってやってるだけで、本当の関西弁はわからん」

「俺は佐藤宏平です」

「新入生か?早いな?まだ学校あいとらんやろ?」

「あ、はい」

「そんな賢まらんでええよ。わい、2年生やがフレンドリーやから!気軽に桂ちゃんって呼んでな!」

「了解です!」

「で、なんでこんな時間に学校に?」

「いやーテンション上がって」

「あーなるほどな〜。わかる気がするわ。わいも高校生になった時はそうやった」

「そうですよね!」

「なんか、宏ちゃんとは仲よーできそうやわ!そや!実はわい漫才部に入ってるんやが、どや?入らんか?」

「漫才!?なるほど!さっきのは漫才の練習すっね!」

「そんなとこや!」


あっはははと言う陽気な声を出して宏平と桂太は笑っていた。

それが、2人の出会いであった。

それが…



「それが…出会いでした。めでたしめでたし」

部屋の中がシーンと静まり返る中。

十夜の目元は黒かった。


「どうした?」

「あ…いや、まずは」


一度深呼吸をした、十夜はいきよいよく声を出す。


「桂太先輩ツッコミできんの!?」

「え…うん」

「えっ?うんじゃなくて!聞いてねぇよ!その他にも色々とツッコミたいことたくさんあるけど!桂太先輩ツッコミできんなら俺入る必要なかったじゃん!」

「馬鹿野郎!」

「なんで!」

いきよいよく殴られた十夜は、その場に倒れる。


「十夜!桂ちゃんはな!ピン芸人なんだ!」

「知らんよ!」

「桂ちゃんは男なんだ!」

「まて!話の内容が変わった!」

「別に、ツッコミができるかできないかなんて関係ない。っていうか…そう言う設定になったんだ」

「…うん。それは…言っちゃダメなやつ」

「設定があいまいなのは、何も考えないでノリで書いてるから」

「まて!やめろ!これ以上はタブーだ!」

「だから、もういいだろ?勉強しなくて」

「だから、コロコロ話を変えんな!!」



何が起こるかわからない。

何を考えてるかわからない。

それがこの物語。それがこの世界の日常。

今日も空は青い。




「ちょっと!秋穂!大変ですわ!」

「何よ?」

「私!第2部が始まってから一言しか喋ってませんわ!!」

「そう言えば、そうね」

「次回はきっと私の出番ですわ!」

「そうだといいわね」

「マダガスカル!」

「えぇ?」

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