宵の酔い?
昼休みに投稿←
とんとん拍子に進みます←
帰ってくるなり、俺の家に来てくれたのは、うれしい。
いないとわかるなり、居場所聞いて、そこまで来てくれたのもうれしい。
つか、両想いだった事を確認できた事が一番うれしい。
幼なじみから恋人へ。そんなありがちなフレーズが、脳裏をすっ飛ばして、暗闇に浮かんでいる気がする。
別にそのおかげで、小っ恥ずかしくなってカラオケボックスから飛び出して、結局クラス会ほとんど出てないが、まぁいい。
なんか知らん、女の子がいきなり乱入してきて、しかも俺がそれを泣かせた、というレッテルが貼られたのも…よくねぇけど
「無理、だったのかぁ…」
あいつは、ピアノが上手かったんだ。
どれくらい上手かったかというと、中学の頃にオーストリアに留学するくらいに。
二年ほど離れ離れになっていたんだけども、5ヶ月くらい前になんか大会に出るとか手紙が来た。その大会が、夏生の将来を左右するとも書いてあった。
そして、あいつはその大会で……。
でもだからって、日本に帰ってくる事ないじゃん?別に向こうで音楽続けてりゃいいじゃん?
なんかモヤモヤする。
こうなったら直に聞くか。
と、立ち上がったところで部屋のドアが開いた。
「ん〜、進の部屋来んのひっさしぶりだな〜」
出たな元凶!
「何の元凶よ、人聞きの悪い」
言って幼なじみは後ろ手にドアを閉める。
「つまりだ、俺はお前に聞きたい事があったんで、降りようとしてたんだ」
「あ〜、だから突っ立ってるんだ?」
「なんだ、暴力少女夏生さんが手ぇ腰に当てて上目使いたぁどういう風のふきまわしだ」
不覚にも可愛いと思ってしまったじゃないか。
「何が聞きたいの?夏生センセに言ってみなさい」
昔したように俺のベットにためらいなく座る。
「その横に腰掛け、俺は夏生に話し掛けるのだった」
「誰に語ってんのよ」
色々とごまかしたい年頃なんですハイ。
「単刀直入に聞く。お前は大会に優勝したか」
「うん、したよ」
あっさり返しやがったよこの子。
「じゃあなんで帰ってきたんだよ?」
「うん………でもさ」
ふっ、と腰を浮かせて、しかしすぐに座る。座り心地悪いかな。
「意味ないもん。あんたがいないと」
あれか。
自分の将来より俺をとったと。
俺のためなんかに自分の将来を棒に振ったと
うれしいはずなのに、心を支配するのは怒り。
「なんで怒ってんの?」
上着を開けながら夏生が言う。
………………。
もちろん全力で阻止しましたよ?
つかなんでなんだ何が起きた。
「抱いてよ」
「えっ、なっ……だっ…」
抱い……?
「こうか?」
マイ枕を全身全霊で抱きしめる。
照れ隠しというかそれ以外の諸々を隠すためなのだけれども。
「進、ごめん本当、でも私じゃ……ダメ?」
「だぁ〜〜〜〜!!」
次に全身全霊でまた服脱いじゃおうとしている夏生に布団をかけて我が目をガード。
「わっけわかんねぇ!どのように流れていった今の会話が!」
俺の事が小さい頃から好きで。
いつの間にか始めていたピアノが好きで。
上手に演奏すると俺が褒めちぎるのでうれしくて。
もっと上手くなるために外国のコンサートまで出て。
そういう事を夏生は語った。
「でも、進がいないと、ううん、進に褒められたいから頑張ってたんだよね、私。だから、進がいないと意味ないじゃんって思って帰ってきたの」
言っている夏生の顔は赤い。
何だろう。この3年間でなにがあったのか。
何だろう。今気付いたがとてもアルコール臭い。
何だろう。いつかと違うのってこいつが酔ってるからじゃね?
「クソ親父がぁ!」
知らぬ間に寝ていた夏生をベットに横たわらせ、部屋を飛び出し。階下におわす両親のもとへかける。心臓が高鳴っているのは夏生の色気ではなく、階段で足をすべらせ死にかけたからだと信じたい。
「お前らは夏生に何飲ました!」
リビングのテーブルの上にはビール缶が三つ。親父、お袋の分と、この二人が飲み終えたにしては明らかにおかしな位地にある一本。
「ビールかぁ!」
即刻私刑執行。親父の肩をつかんで前後にゆする。
「進っでっ出る!ゲロる!」
「ゲロるな!」
テメェらは俺が大事にしていたものを弄びやがって!
「あらあら、ヤったの?進」
お母様のありがたいお言葉に、
「おどれは一人息子の貞操がどうなってもいいのか!」
当然の返答。
「じゃあ二人息子ならいいの?だってパパ進がぁ」
こいつらダメだ。言葉は通じてるけど会話が通じてない。
部屋に戻って夏生に布団をかぶせて、まぁ、あれだ、くちびるとくちびるの接触事故を起こしてみた。
部屋には夏生がいるせいで、その夜は来客用の部屋で寝る羽目になった。
表現が拙いのは承知ですorz
次は週末くらいに投稿となりますかね?