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人類の希望  作者: 深紅色の烏
第1章
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6 南木千早 Ⅱ ~カインの過去~

「カインさんでしたよね?説明してもらえます?なぜ、ボクなのか、そしてボクは何をする必要があるのかを。」

と南木は、カインに言った。カインは、昔のことを思い出すように、静かに話し始めた。


「遥か昔。いや、具体的に言うと150億年ほど前かな?グリーンランドという星があった。そこには、千早さんのような現在の人類と同じ外見を持つ文明生命体がいた。しかし、文明生命体がいる星はそこだけではなかった。僕は、その1つ、エデンという星の軍人だった。と言っても、前線で戦ったり、指揮はしない。後方からコンピュータなどで補助する仕事をしていた。そして、エデンは、不老不死を求めていた。病気では死ぬことが無い・・・、衰弱も全くない・・・。そんな体を求めていた。そして、その願いをかなえるものが一つだけあった。それが、生命の木の実だ。生命の木は、自然界には存在しない植物だが、人工的に生成することはできた。その生成をエデンのリーダーであるアダムは、科学研究所に命令した。そして、しばらくして、アダムは生命の木の実を手に入れることに成功した。そして、数少ないその実のうち、いくつかを研究用にし、残りはアダムやアダムの妻イヴ、軍の総帥マルスたちに与えた。僕もそのうちの一人だ。しかし、生命の木はそれ以上生成はできなかった。原因は不明だ。ただ、他の文明生命体が存在する星にあるということは分かっていた。そこで、アダムは、その星を占領し、生命の木を奪おうと考えた。さらに、星の資源も奪うつもりだった。結果は、成功。グリーンランド以外の星はエデンのものとなった。そして、エデン軍はグリーンランドに侵攻した。エデン軍がわずかに優勢だった。しかし、そのとき、僕はこのエデンの行動に疑問を抱いた。そして、エデンを裏切ることにした。この時、仲間になったのが隣りにいるノアだ。彼もエデンの行動に疑問を感じていた。僕たちは、エデンを裏切り、義弟のアベルを殺害した。その後、エデンの要であるコンピュータシステム『CHRIST(クライスト)』を乗っ取り、自爆を実行させた。エデンを破壊したのだ。アダム・イヴ・マルスは脱出して、グリーンランドの前線基地へ逃れていった。その頃、グリーンランドの新兵器『ドレイク・ソード』にエデンは苦しめられていた。僕たちは、グリーンランド軍と接触し、協力を得ることに成功した。そして、イヴを殺害、アダムを追い詰めた。しかし、アダムは、細菌兵器『タナトス』を使用し、自爆した。この細菌で、アダムとエデン兵士は全滅したが、グリーンランド兵士・住民も全滅、みな死んでしまった。さらに、マルスが『ボイド』と呼ばれる無の空間に脱出してしまった。マルスの殺害に失敗した僕たちは、世界のコアを破壊。生命の卵に還元し、再び新たな宇宙を創った。」

と、カインは少しずつ休憩も入れながら、この話をした。


 南木は、まだ理解ができていなかった。タナトス、ボイド、エデン・・・。理解できない単語ばかりだった。しかし、そのエデンがどうやら今回の敵らしいというのは、分かった。

 カインは、考えこんでいる南木に、続きを話してもいいかと聞いた。南木は、とりあえず聞くことにした。カインは、南木が承諾したことを確認すると、続きを話し始めた。

「その新たな宇宙が、アース、つまりこの世界だ。しかし、マルスが惑星にたどり着いてしまった。そして、そこで再びエデンを造り始めたのだ。アダム・イヴ・アベルも思考データが残っていたため、復活してしまった。そして、僕とノアへの復讐と、生命の木と資源を手に入れるために地球を攻撃したというわけだ。ちなみに、松本・箱根・宇部を攻撃したのは、「アレスの矢」と呼ばれる兵器で、目的は僕を探すためだ。しかし、「CHRISTクライストⅡ」は計算を誤ったらしい。ここ、新瀬戸とは、まだ気付いていないはずだ。もう、千早さんへ頼みたいことはわかっているはずだね。地球を救ってほしい。つまり、エデンを倒せってことだよ。」

 やはり・・・。カインの最後の言葉に南木はこう思った。地球を救う・・・。何もない平凡なこのボクが・・・?少し信じられなかった。その以前に、ボクは地球を救えるのだろうかと南木は思った。そして、南木は一番聞きたかったことを聞いてみることにした。

「なぜボクなんですか?」

カインは、ノアに説明するように言った。ノアは、カインの言葉を聞くと、説明を始めた。

「南木家は、私がつくった家なんです。予測されるエデンの侵攻を防ぐための救世主として。そして、あなたは、特殊能力スペックを受け継いだ者です。限界という壁を超え、人の持つ最大限の力を出すことができる者なのです。もちろん、あなたの父親も、救世主としての資格を持っていました。しかし、死亡したことで、長女である千早さん、あなたに救世主としての資格が継承されたというわけです。」

南木は、驚いていた。まさか、この南木家が神に選ばれた、救世主の家だったとは・・・。確かに、父親は5年前に事故で亡くなっていた。しかし、その時に救世主の資格がボクに受け継がれたとは・・・。これは予想以上のことだった。カインが、ノアの説明に付け足した。

「とりあえず、千早さんは、今言ったことを誰かに連絡してください。確か、アーテナーとか言った組織があったはずです。ちなみに、今言ったことはデータにして、この記憶装置に入っていますので、メールに添付して送ればいいと思います。」

南木は、突然のことに一時思考が停止していたが、カインの言葉ですぐに動き出した。そして、アーテナーへどうやって連絡するかを考えていた。南木は、アーテナーとは無関係だった。強いて言うなら、以前純香のサポートとして、アーテナーに行ったぐらいだった。彼女は、知り合いにアーテナーの関係者がいないか考えていた。

(アーテナー・・・、アーテナー・・・。確か、浅井先輩ってアーテナーで働いていたような・・・。)

そして、気付いた。浅井レイがいたことに。そして、浅井に電話をかけた。しばらくコール音が鳴っていたが途切れて、

「もしもし、千早ちゃん、どうしたの?」

という浅井の声がした。南木は、浅井にカインが言っていたことを短くまとめて説明した。そして、詳しい情報は、データで送ると連絡した。浅井は、南木の話を聞いて少し驚いていたが、連絡が終わると、最後に冷静な声で

「ありがとう、参考にさせてもらうよ。じゃあ、頑張ってね。」

と言った。冷静だったが、優しさにあふれている声だった。浅井の性格の良さを南木は改めて感じた。


「・・・というわけらしいです。」

 浅井は、山本と涼月に南木から送られてきたデータを見せつつ説明した。山本は、この情報の信憑性を浅井に聞いた。浅井は、迷うことなくこう言った。

「私は、この情報は間違いなく正しいと考えています。」

浅井は、南木を心から信じていたのだ。山本は、少し考え込んでいた。そして、こう命令した。

「緊急避難警報発令!各国政府に通告、地下避難所への避難を急がせろ!」

アーテナー本部にサイレンが響き渡った。そして、そのサイレンは世界中へと広がっていった。

登場人物紹介・世界観紹介も追加する予定です。しばらくお待ちを・・・。


カインの言っていること、理解できないと思います。でも、ご安心を。「昔、カインとノアがエデン(アダムがリーダーの国家)を裏切った」とだけ覚えておけば、しばらくは大丈夫です。またこのストーリーを連載小説にして書く予定なので・・・。

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