表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類の希望  作者: 深紅色の烏
第1章
10/12

8 長い長い悲しみの始まり ~初戦闘、技術力の差~

※残酷と思われる描写があります。別バージョンは、後日投稿予定です。

「ケープタウンから南へ20kmの海上に、謎の軍が出現しました!陸海空全て揃っています!兵士数は不明です!」

 若い女性の声が、司令室に響く。モニターには、明らかな異常が現れていた。ケープタウンを表す点の下の方に、赤い丸があった。想定外の何かが起こったということだった。その何かは、偵察機を向かわせることで正体が判明した。大型の船のような物が海に浮かんでいたのだ。中に何があるのかは不明だったが、おそらく兵士か兵器だろう。しかも、その後偵察機が破壊されたことから、敵は空軍を持っていることが分かった。さらに、工作用潜水艦も破壊された。つまり、敵は海軍も持っているのだ。陸海空全て揃った完璧な要塞のような船だった。それが、ケープタウンへと向かってきていた。アフリカ方面軍の司令官を務める南アメリカ人のウィナー・モトランテは、こう指示した。

「ケープタウン周辺の海岸線を固めろ!それから、アーテナー・ヨーロッパ方面軍・西アジア方面軍に連絡しろ!援軍要請だ!」

この指示に部下たちが動き出した。その部下の姿を見て、ウィナーは、

(絶対に地球を守ってやる・・・)

と心の中で思っていた。


「山本総長、ケープタウンの南に謎の軍が現れたそうです。伊吹さんの言っていたエデンの軍だと思われます。総長、方針はいかがいたしますか?」

と、アーテナーのナンバー3である総務部長 兼 総帥付参謀のイギリス人、マーシャル・ウォーリアが流暢な日本語で山本に質問した。

 ウォーリアは、アーテナーの上級幹部として、山本から直接入所を要請された優秀な軍人だった。事務作業や作戦立案を担当している。

 山本は、少し驚いた顔をしたが、そこはさすが総長、ほとんど表情を変えずにこう言った。

対陸海用狙撃塔シュート・タワーをスタンバイさせろ。日本には上陸させるな。それから、ここの兵200万をアフリカ増援に回せ。あとは・・・、「超高威力投下型反応兵器ムサシ」の準備をしておけ」

「了解しました!」

とウォーリアは言った。そして、部下たちに指示をした。


「こちら、ハデス。第1分隊、南アフリカの南方沖に着水成功。戦艦モードに切り替え、ケープタウンより上陸を開始します」

「こちら、クロノス。第2分隊、まもなくサハラ砂漠に着陸します。第1分隊を敵が攻撃している隙に、着陸。その後、アフリカ北部を占領する予定です」

 エデン軍の司令室。ハデスとクロノスからの報告が入った。今のところ、作戦通りで順調に進んでいた。マルスの顔には、自信が満ち溢れていた。そして、2人に了解と返事を出した。


「あれが敵船だ!絶対に上陸を阻め!「超遠距離狙撃銃ヨイチ」の発射準備をしろ!航空隊は攻撃を開始だ!」

と、アフリカ方面軍所属ケープタウン分隊長のアルバコア・サザナミが叫んでいた。彼は、方面軍本隊からの援軍がくるまで、敵を足止めしようとしていた。どんな手を使ってでも・・・。

「ヨイチ、発射します!敵艦Aに向けて発射!3、2、1、0!」

女性の0の声と同時に、あたりに爆音が響いた。ヨイチの電磁弾が発射された音だった。光となった電磁弾は、敵の戦艦に向かっていった。そして、命中した。その後、戦艦は壊れ爆発する・・・はずだったが、爆発しなかった。それどころか、全く被害がなかったのである。サザナミは、一度目をこすった。この結果が幻覚でないかを確かめたのだ。しかし、現実だった。攻撃は、全く効果がなかったのだ。サザナミは、動揺し始めていた。敵が思ったより強かったからだった。

「航空攻撃開始します!・・・うわぁ!」

戦闘機が1機バラバラになって海へ落ちた。大きな音がした。そして、他の戦闘機もバラバラになっていった。どうやら、敵の攻撃によるもののようだった。何回か戦闘機の攻撃が命中したが、これも全く効果はなかった。

「なぜだ・・・。なぜ、効果がない!なぜだ!」

ケープタウン分隊前線司令室に、サザナミの声が響いた。


「フッ、この程度か・・・。さてと、本物の攻撃ってやつを見せてやるか・・・。よし!航空戦闘機10機を出撃させろ!海岸線にいる敵を撃滅するのだ!」

と、ハデスは少し笑いながら言った。と同時にハデスはがっかりしていた。彼は、戦争に娯楽を求める好戦的な性格の男だった。劣勢や互角の戦いを好み、優勢の戦いを嫌っていた。優勢な状況で進む戦争など、おもしろみのないゲームと同じと考えていたのだ。しかし、どんな戦争であっても、戦はある程度楽しい。今回はどのくらい楽しめるかな・・・と考えるハデスであった。


 エデンの航空戦闘機10機が海岸線を守るケープタウン分隊に近づいていった。サザナミは、航空戦闘機を攻撃するように命令した。そして、対空砲や対空ミサイルなどが発射された。さらには、ケープタウン分隊の戦闘機を出撃させて、迎撃した。しかし、全くその攻撃は効果がなかった。敵機の装甲が強いためか、敵機が何かで守られているのかは分からないが、とにかく敵のダメージは0だった。

「攻撃開始!」

とハデスが命令する。航空戦闘機の下から、爆弾のような物が出てくる。そして、その爆弾が投下された。あっという間に下まで落ちていく。サザナミは死を覚悟した。自らがいる建物のほぼ真上に爆弾が落ちてきたからだった。そして、その爆弾は地上に着く寸前に爆発した。巨大な炎と煙があがった。兵士たちは血まみれになり、心臓は既に止まっていた。動いているものも、心臓の動きは微々たるもので、すぐに倒れこんだ。サザナミの心臓も停止していた。ケープタウン分隊は全滅したのである。


「ケープタウン分隊との連絡が途絶えました!ケープタウン周辺に、敵軍以外の生命反応はありません!」

という報告がアフリカ方面軍の司令室に響いた。ケープタウン周辺に味方の軍がいない・・・。これが表すものは、ケープタウン分隊全滅だった。しかも、一瞬にして。

「まさか・・・。これは、技術力の差なのか?」

ウィナーは驚きを隠せなかった。

次回予告

 「皆殺し ~血に染まる避難所~」

エデン軍が南アフリカを占領していく。ケープタウンの地下避難所で起きたとんでもない出来事とは・・・?その後、ハデスは軍を3つに分け、北へ進撃する。そのうちの1つに攻撃された地球防衛軍ブルームフォンティン分隊は、エデン軍に降伏するが・・・。


作者より:外国人の名前とか、外国の地形とか・・・全く分かりません。ですので、そこのところは勘弁を・・・。僕は、世界を駆け巡って情報を集めているわけではありませんので・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ