飴とお姉さん
レイトンとミキちゃんは、ただ戸惑うばかりだった。
二人の職員の言い合いを、唖然と眺めている。
おい、レイトンどうした?
そう言えば、お前IQ130設定だったな。
IQ130の哲学者じゃなかったのか。
設定破綻で、コメディ寄りになってるぞ。
いや、待てよ……?
これ、チート能力って事で、ラノベにまた近づいたのか……?
「ごめんねぇ?ヒューマンドラマと、コメディの枠って曖昧でね?ちょっと二人のお話終わるまで、待っててね?お嬢ちゃん、飴食べる?」
戸惑うミキちゃんに、女性職員が近づいてくる。
優しい笑みを浮かべ、手に飴を差し出す。
「うん!お姉さん、ありがとう!」
ミキちゃんは、ぱっと笑顔になって飴を受け取る。
「フフ、元気なお嬢ちゃんね。ねぇ?お嬢ちゃんは、先生の生徒さんなんだよね?先生の事、好き?」
女性職員は、穏やかに問いかける。
柔らかい声が響く。
「うん!私、先生の事大好き!」
ミキちゃんは、元気いっぱいに答える。
「……先生のお嫁さんとかになりたかったりする?お姉さんねぇ、好きな人のお嫁さんになれる事って、凄く幸せな事だと思うの」
女性職員は、温かい声で続ける。
あれ、何か、目が怖いぞ……?
「うん、私、先生のお嫁さんになる!」
ミキちゃんは、無邪気に、しかし力強く答える。
「うん! じゃあ、ジャンルは恋愛だね! お姉さんの窓口に行こうか?こっちで受け付けしようね?」
女性職員は、ミキちゃんの手を優しく握り、別の窓口へと引き連れていく。
その動きは、まるで獲物を連れ去るような、滑らかなものだった。
あら、凄い!
きっとあんな感じで男の人の心も奪ってるんだろうね!?
「おい、誘導尋問だろ、それ!? 今、お前が無理矢理、その子の恋愛感情引き出したよな!?」
ヒューマンドラマ職員が叫ぶ。
「最近、恋愛物語少ないからって、そういうのは反則なんじゃねぇのか!?」
コメディ職員も、声を荒げて続く。
レイトンは、ただただ唖然とするばかり。
……だから、IQ130設定は何処行ったんだっての。




