IQ130の先生と一年生の弟子
レイトン先生は哲学者である。
彼の知性は、IQ130という数値に収まるものではなかったが、人々はそう呼ぶことで安心した。
彼は独自の哲学を、静かに、しかし確実に広めていた。
――だが、ミキちゃんには、普通にしていたら伝わらない。
ミキちゃんは小学一年生の女の子だ。
それでも、二人は不思議なほどに親しかった。
「レイトン先生、今日はありがとう! レイトン先生の、目に見える物が全てではないって授業、凄く楽しかったよ!」
「はは、そう言って貰って嬉しいよ」
ミキちゃんの笑顔は、朝の光のように澄んでいた。
レイトンもまた、柔らかな笑みを返す。
「景色は目に見える物! 愛は目に見えないもの! テレビゲームは目に見える物! テレビゲームで仲間がどう動いてくれるかは目に見えない物!」
ミキちゃんは元気いっぱいに、授業の断片を繰り返す。
哲学とは、言葉を覚えることではない。
言葉の奥に潜む意味を、そっと掬い取ることなのだ。
「そう、その通りだ。僕の授業は難しい言葉で『目に見える物はなんぞや』なんて言っているが、実際はシンプルなことだ。僕もミキちゃんピッタリの例えが出せて光栄だよ。アハハ!」
レイトンは、心から嬉しそうに笑った。
「ねぇ、レイトン先生、今から何処に行くの!?」
ミキちゃんは、澄んだ瞳をレイトンに向ける。
「……ああ、せっかくの講義だったから、僕の講義を物語にして貰おうと思ってね」
レイトンが向かう先は、ジャンル受付所だった。
「えっ? 私達のお話、物語になるの!? 凄い!」
ミキちゃんの瞳が、星のように輝いた。




