表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

報告書番号:00201:「白髭橋事件」

“Bloody Christmas Strikes Again: Tragedy at Tokyo Wall”

Young refugee couple from East Japan shot dead at border checkpoint on Christmas Eve

Outrage in West Tokyo

- Daily World Report, Dec. 25, 1984


「流血のクリスマス再び:東京の壁で起きた悲劇」

東日本の若き亡命者カップル、国境検問所で聖夜に射殺される

西東京では憤怒

- デイリー・ワールド・レポート 1984年12月25日付


停戦から40年近くが経ち、冷戦期を経て、時は1980年代。

東欧の民主化の流れを受け、東日本も密に民主化の模索と流れが大きくなりつつあった。


そんな中、1984年12月24日の夜。

西東京の街の様相は、クリスマスの雰囲気を味わおうと繰り出す人々の群れと、

クリスマスというイベントに乗じてお祭り騒ぎする一部の人間で溢れていた。

そこには塀の向こう側の人達に対して、全く気にも掛ける様子も無かった。


その光景を国際的なニュース配信会社のINN(International News Network Inc.)が欧米向けの報道番組用に撮影していた。


そして、日が変わる少し前の深夜、国境線である隅田川に若い男女の二人の影があった。

その二人は建物の影に隠れ、巡回する国境警備隊の監視を逃れ、隅田川かかる橋に近づく。

彼等は日付が変わり、警備兵の交代の機会を伺っていたのである。


日が変わり、東日本側の警備兵達が橋を離れる瞬間を見計らって、若い二人は橋を目指し走りだした。

それに気が付いた警備兵が警笛を吹き、「制止しろ!」と警告の怒号を発した。

二人は、その警告も無視し橋を渡ろうとするが、一人の警備兵が小銃を構える。


再度、警備兵が「制止しろ!撃つぞ!!」と警告するも、

その声に反応せずに走り続ける二人。


そして、警備兵は逃走する男性に狙いを定め、発砲する。

銃弾は男性に命中し、男性は悲鳴を上げ崩れる様に倒れた。

それに気が付いた女性は引き返そうとするが、男性は彼女に走り続けるよう促す。

それに対し、すぐさま警備兵は女性に狙いを定め、発砲。

この銃撃で女性はほぼ即死状態に。


二人は銃撃により致命傷を負い、地面には赤い血だまりが出来ていた。


まだ、息があった男性が女性に近づき、彼女の手を握ろうとする。

しかし、警備兵は男性に対し抵抗の意志があると見なし、頭を狙い発砲した。


二人は手をつなぐ事も出来ず息絶える。

二人の国境線までの距離は、あと数メートル程度であった。



この「事件」の一部始終は、自宅マンションにいたINNのカメラマンが

偶然撮影しており、数時間後には、その光景が世界を駆け巡る事になった。


翌朝には、西東京はもとより、西日本全体にも知られる様になり、

40年近く前の内戦で起きた「流血のクリスマス」を思い出す事になるのである。


この事により、東西日本人達の燻っていた心に、小さな「火種」を灯す事になり、

激動の時代の再来が、すぐそこに迫っている事は、この時は誰も知る由もなかった。


-----


「Libera me, Domine...」

(我を救いたまえ、主よ…)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ