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6.上層部も持て余すだろうなぁ-所長、人選も含めてどうされるおつもりですか?-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 研究所では余剰部品で一体組むという作業が急ピッチで進められていた。元々第一世代であるゼロゼロ、ゼロワン、ゼロツー、ゼロスリーにはアップグレードがなされていて、その余剰部品が在庫として残っていたのを、スリーワンとスリーツーの二体ほど使用して現在に至っている。もちろん最新のパーツの予備部品だってなくはないが、


「流石に手の内を全部バラす必要はないから」


 という結論で旧世代の部品を使用して作成中、というところなのだ。


「上層部も持て余すだろうなぁ」


 カズが傍らで同行しているアイザックにそう呟く。


 彼らがいるのは整備ドックのハンガーと呼ばれる、レイドライバーの機体を文字通り[掛けておく]場所だ。ここでレイドライバーはハンガーに固定されて、いわゆる重整備などを行うのだ。フレームに近いところまで弄るとなるとこのハンガーが必須である。理由は言うまでもないだろう。そのままではバラバラになってしまうからである。その姿はさながら昆虫標本のようだ、といったところか。


 二人は少し高い位置にある通路から手すりに寄りかかりつつもコーヒーを片手に作業を注視しているのだ。


「何と言っても、言葉は悪いですが今まで眼中になかった共和国に貸与、ですからね。その真意が分からなければ何とも。所長は仮にこちら側にレイドライバーを差し出せ、と言ってこなかったとしたらどうなるとお考えですか?」


 とアイザックがカズに尋ねる。そんな彼の問いに、


「それは帝国が同盟連合に[レイドライバーの貸与]という条件を付けてきて、それを同盟連合側が断ったら、という話ですよね。まず十中八九帝国は共和国に貸与するでしょう。それだけの見返りがあるか、という話だけど、最悪なのは二か国の共闘ですね。だが、そこまで発展するかは正直なところ情報不足なんだよなぁ。こればかりは仕掛けた相手の手の内が見えないから。それにしたって最低でも領土策定を、と言って来ているのだから、共和国からの何某かの見返りは要求するのでしょう」


 と述べつつも頭を掻く。


 ――うーん。こうやって言葉にするとやっぱり劣勢だよなぁ。


 とカズをして思わせる今の状況なのだ。


 だから、


「上層部は[情報収集を行う]とは言ってくれたものの、これで[モグラ]の一掃をされないか。まぁ、上とて馬鹿正直に探り入れたりはしないだろうから大丈夫、と言いたいところだけど、被害は出るんだろうなぁ」


 くらいにはカズの頭は回っている。それはカズでなくとも、


「これまで以上に帝国は固くなるでしょう。そうなっては敵としてはやりにくいことこの上ないですね」


 とアイザックが続く。そんな彼は、


「所長、人選も含めてどうされるおつもりですか?」


 と尋ねてくる。


 ――人選ねぇ。それが一番の悩みなんだけど、考えがなくもないんだなこれが。


 カズの、いつもは見せないほんの少しの表情の揺れ、それをアイザックは感じ取ったのだろう、


「何かお考えがあるのですね」


 と先に言われてしまう。そんなアイザックに[ははっ、オレもまだまだですね]と少し照れながら、


「うん、案はありますよ、それもとっておきのが。しかし、その案を実現するには色々と各所と調整が必要なのと、人員の安全が担保されるのが大前提かな、って」


 そう言われたアイザックは当然、


「その案とは?」


 と尋ねるが、


「本当にまだ頭の中で描いている段階なんですよ。だからもう少しあとで」


 と手で制してから下で作業をしている整備クルーに、


「サブプロセッサー周りは一世代前の部品を使用して、パイロットシートの頭の上に取り付ける方向で。[子供]は要らないから」


 と直接指示を出す。


「ではサブプロセッサーを搭載するのですね」


 と問われれば、


「流石に、ね。それに、もしもこの選択がなされればもしかしたら帝国をさらに一歩ひっくり返せるかなって」


 ――まぁ、相手が[ヒト]なら向こうさんも文句は言わないだろうし、命までは取らないだろう。それに、そう思わせるだけのものがあるんだよ。


 カズたちはしばらく作業の行方を見守っていた。


全43話予定です


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