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42/43

42.お互いに気の休まる時はないようですね-カズ大佐であります-

全43話です


明日(11/20)の第43話でこの巻は完結になります。読んでくださって本当にありがとうございます!


続いて、同じく明日(11/20)に次作である「レイドライバー 21 -拿捕と捕虜と、次の戦闘へ-」を寄稿したいと思います


次話の前書きと後書きにリンクを貼っておきます、引き続き読んでくださればとても嬉しいです!


そして、以前に書きましたがレイドライバーシリーズは「全22巻」で完結となります


もしよろしければ最後までお付き合いくださるととても嬉しいです!


 それから数週間が過ぎた。


 帝国、同盟連合、双方がそれぞれの時間を過ごしたこの数週間は、他者視点でいえば至って普通の時間として流れていったのである。


 当初の憶測では三国会談になる、と予想されていたこの会談の場に、共和国の代表の姿はない。そこにいるのは帝国側の代表であるクロイツェル参謀とクラウディア中佐、それに事務方が数名。


 同盟連合側は、と言えばカズ大佐と本州から来たいわゆる[向こう側]の代表の人物と事務方が数名。それはアフリカ大陸から近い帝国領の、旧マダガスカルと呼ばれている場所で行われていた。


 互いが互いにけん制しあっての会談ではあるが、場所の上空を戦闘機が飛ぶようなことはない。もちろん先の話ではないが互いがその動向を注視している、そんな環境下でこの会談は行われたのだ。


「まずは自己紹介を、と言いたいところだが、相変わらずのようだな」


 クロイツェルがそう切り出す。その視線の相手は、同盟連合の政府関係者には向けられていない。視線の向く先はそう、カズである。


 今回のこの一連の交渉はすべてカズに一任という形を採っている。それは前述のとおり、レイドライバーの供出から返却までを一プロセスとして同盟連合上層部がカズという人物の評価に使用しているからである。それでなくともクロイツェルからしてみればカズは[なじみのある顔]というところなのだろう。


 カズがこの難局を無事に収めれば、准将へと昇格になり、意思決定機関の一員になるのだ。もっともそんな内情を知らない帝国側にしてみても、カズという人間にそれだけ関心があるという表れなのだろう。


「お互いに気の休まる時はないようですね。約一か月ぶりでしょうか、またお会いできて光栄ですよ」


 前回の旧トルコ戦では無線で話をし、すべてが無線上で決まった。当然クロイツェルとカズは直接会ってはいない。だが、今日という日は直接対話の日なのだ。クロイツェルにしてもカズにしても正式な軍服を着ている。


「名乗る必要があるかな?」


 とクロイツェルが尋ねれば、


「いえ。ただ、こちらは名乗らないといけないようですね。カズ大佐であります」


 と握手を求めた。その差し出された手をクロイツェルはしっかりと握り、


「また一歩、軍から離れられない位置まで来たな」


 と、皮肉とも賞賛ともとれる言葉をかける。そんなクロイツェルに、


「ええ。もっともこの分野に首を突っ込んでいる時点で軍からは離れられませんよ。それはお互いさまでは?」


 と返す。クロイツェルは[確かにな]とフフッと笑って席を手で促して、


「まぁ、ゆっくりと話でもしようではないか」


 と先に座らせる。カズの[では]という言葉と共に着席したのを確認して帝国側の人間も座る。長机に対面で座る形となった。中心にいるのはカズとクロイツェルである。


 会話は取り留めのないものから始まった。中東やアフリカ大陸などは季節問わずいつも暑いな、などというそんな話である。


 カズは、と言えばいつもの微笑みを一瞬たりとも崩さない。そう、決して笑っているのではない、常に微笑んでいるのだ。


 会談は、まずお互いがお互いの事情と締結した条約の文章化から始まった。第一陣の旧エストニアは飛ばされて、第二陣の旧アルゼンチン戦の公約を、第三陣の旧イエメン戦ての公約、そして第四陣となる旧トルコ戦の公約を、それぞれ時間経過分を差し引いて両国が書面で交わしていく。


 旧アルゼンチンでは、その北側半分を帝国の領土とする事、もし軍事的に再侵攻するにしても一年の猶予を設ける事、その一年は帝国も領土拡大はしないと約束する事、旧キューバ沖に展開している空母群と、米州の太平洋側から出撃して太平洋沖で帝国の空母群とにらみ合いになっていた艦隊を双方が帰還させるというものだ。


 旧イエメンは同盟連合所属となった。不可侵条約こそ結びはしなかったが、にらみ合っていた艦隊、航空部隊、陸上部隊は既に撤収済みである。そして現在、同盟連合各州からこの旧イエメンに物資が送られている。それは軍需産業を作り、エルミダスと連携してこの中東に同盟連合の拠点を作るという目的の他に、解体されていた軍事力や警察力を回復、さらには産業を育成するというところまで話は進んでいる。


 旧トルコは、帝国の軍事侵攻を半年は止めてもらうという話で決着した。今回、同盟連合は帝国のレイドライバーを鹵獲している。今回は[鹵獲機体の扱いは別として、半年の軍事進攻はしない]といいう文面を交わしたのだ。つまりは同盟連合が一歩進んだ形になっている。


 それぞれの書面を事務方と、こちらでいえば政府高官が、帝国側でいえばクロイツェルの秘書官として同行しているクラウディアがそれぞれ交わしているのだ。


「まあ、諸々の事務処理は任せるとして、きみはどれくらいのところにいるんだ?」


 クロイツェルからそんな直球が飛んでくる。カズは少しだけ頭を掻きながら、


「発言権はそれなりに頂いてきました。ですが、今はまだ一介の大佐ですよ」


 と含みを残しつつも話を逸らす。そんなカズは、


「それよりも参謀殿、例の件ですが」


 と切り出したのだ。


全43話です


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