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30/43

30.生体コンピューター?-この感覚というのは慣れないよね-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


「生体コンピューター?」


 ある日の一幕である。カズは[襟坂]にそう尋ねた。


「もちろん今から直ぐにサブプロセッサー化を図りたいわけじゃあないの。だけど、十五歳という年齢を考えれば脳の発達段階はかなり進んでいると思う。そこで」


 彼女が語った内容というのが、生体コンピューターを[首輪]にして脳の電極と並列で刷り込み作業をしよう、というものだ。生体コンピューターのプリント配線はそんなにしなるものではない。だが、十五歳ともなれば脳の基本的な発達はほぼ完成している。


 それらを考えれば、


「プリント自体は危険ではないと思う。でも全滅は避けたいからまずはテミラデで試そうと思う。あの娘なら資料にもあったけどもう十八歳を過ぎてるから。その間も三体の精神は削る方向で。一応実績があるから大丈夫だと思うけどしばらく精密観察して、いけそうなら順次三体に生体コンピューターを埋設しようと思う。そして四体とも埋め込めたなら、それはもう出来上がったのと変わらないんじゃあないかな」


 そう言われたカズは、ふとスリーワン、スリーツーの一件が頭をよぎった。彼女たちは年齢こそ二十歳を超えていたが[調律]も一切されてこなかった。そんな二体を率いてゼロフォーは戦い、結果を残したのだ。


 ――確かに前例もあるからな。問題となるのはその年齢だけど、脳を取り出すのではないのであればそれも可能、か。確かに幼いころからの生体コンピューターを取り付けて、というのも見てみたい気はする。


 カズはその知的好奇心と、成功した場合のメリットの大きさに気が付いた。


 現在、例の孤児院は十歳から受け入れを始めている。そこで五年間を[調律]に使い、パイロット候補とサブプロセッサー候補にふるい分けるのだ。そしてパイロット候補には二年半の教練が、サブプロセッサー候補にはさらなる脳科学の処置が二年半という時間、脳に施されて現在に至っている。それを十五歳、つまりは孤児院を卒業すると同時に生体コンピューターを埋設、そこからふるい分けてそれぞれパイロット、サブプロセッサーを作り出したら? これはとても効率が良い話である。何せ生体コンピューターというのはコンピューター側から脳に[働きかけ]をして反乱の芽を潰したり、こちらの言う事を強制的にきかせたりも出来るのだから。もしも仮に十五歳での生体コンピューターの埋設という処置が上手くいけば、第三世代型への道が広がってくるし、もっと言えば仮に第二世代型で行くとしてもコンピューターが一台増えるのだ。それは更なる性能向上につながるのではないか。


「と、考えている、と?」


 カズは今思ったことをそのまま[襟坂]に投げかけてみた。その答えは言うまでもない、カズが言っている傍から言い換えて、今のカズの考えをそのまま言い当てたのだから。


「もちろん非人道的なことをしているとは思ってるよ」


[襟坂]の少し切なげな表情が見て取れるが、それも直ぐにいつもの無機質な表情に戻る。それこそここでは[心]というものを持ってはいけない。それは直ぐに[同情心]に繋がり、はては研究を破綻させるのだから。


 ――いつまで経ってもこの感覚というのは慣れないよね。


 そんな[襟坂]のほんの少しの表情の曇りを見て取りながらカズはふとそう思う。


 ――――――――


 カズは自分の中で独自のルールを作って人と接してきた。それは彼の生い立ちが関係している。いわゆるいじめを経験してきたのである。


 もちろん、カズ自身に問題があったのだろうとも思えるが、母子家庭というのも関係しているのだろう。人間というものは無意識に群れを作る動物である。


 今でこそ母子家庭や父子家庭というのはそう珍しいものでもないが、彼が子供だったその当時は母子家庭というだけで好奇の目にさらされて、場合によってはいわれのないいじめにあったものだ。


 さらに言えば、精神の未発達な子供のする事というのは時に残酷だ。


 肉体的に、例えば殴られたりとかいうものはなかったのだが、物が無くなったり、隠されたり、無視されたりと言ったいわゆる精神的な[いじめ]を受けていたのである。


 それは高校に入ってからは多少はましになったが、ずっと続いていた。


 その始まりは一体いつだっただろうか、人間、嫌な記憶は忘れようとするもので、カズには高校生より前の記憶があまり残っていない。彼に言わせれば[いつの間にか]そうなっていたのだ。


 だからカズは対人関係に対しては独特の考えを持つようになっていた。


 いうなら[自分の仲間]と[そうでない人間]を、内面に、ではあるが明確に区別し、その中でもランク分けをしているのだ。仲間と判断できた人間にも、そうでない人間にもそれぞれランク付けし、自分との距離を決める。


 それは多分、どの子供でも同じ様な事は無意識にやっているし、状況によっては変わる事もあるだろうが、カズはそれを意識的に、しかもエピソードに成りうるイベントでもない限り絶対的なランクとして認識しているのだ。


 そして、自分の仲間と判断した人間には好意的に接するのだが、そうでない人間は何処か、極端な事を言えば命さえ奪うのも仕方ない、そんな風にも思えていた。


 そんな経験から、カズは人に対して心が開けずにいたのだ。人に話しかけられても、まずは[こいつは何か企んでいるのでは]と勘繰る始末。ニュートラル、どちらかと言えば疑ってかかっている分、若干下からのスタートである。


 そういう意味では、完全に[人間不信]と言ってもいいだろう。


全43話予定です


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