3.本当にあの共和国に貸与するのですか?-では今回の提案の裏を当ててみるといい-
全43話予定です
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クロイツェルは、傍らにクラウディア・リー中佐を従えてグランピア基地の作戦指揮所にいた。ここは各部へのホットラインがひかれている場所なので、必然的にクロイツェルの上、つまりは帝国の上層部に繋げることもできるのだ。
「しかし、本当にあの共和国に貸与するのですか?」
と口を出したのはクラウディアだ。それはそうだ、レイドライバーといえば、今や国の最重要機密、それこそどの国も持っている[使えない兵器]の核ミサイルよりも重要な兵器なのだから、それをおいそれと他国に貸与などというのはまず考えられない。
確かに、
「確かに共和国と手を結べば同盟連合は落とせると思いますが、それにしたって」
戦争が終わったあとの領土の策定、それは帝国だって譲歩しなければならなくなる。たとえその主たる功労者が帝国であっても、二国で攻めたとなればそれ相応の[ご褒美]を用意しなければならないのは明白だ。
だから、
「ですから、今一度お考えを」
「考え直せ、と言いたいんだな? しかし、きみは何か重大な勘違いをしているのではないかね?」
クロイツェルは至って平常通りの表情をしている。クラウディアのほうがいつもになくアツくなっているようにも見えるが、
「二国間協定など、確かに同盟連合を倒すには有効かもしれませんが、後々の帝国に決して有用とは……思えないのです」
と、少しばかりためらいながら心の内を吐露する。
そんなクラウディアにクロイツェルは[うーん、何か思い違いをしているようだな]とひとこと言って彼女の肩をたたきつつ、
「誰が二国間協定など締結するといったかね?」
と静かに問うたのだ。
「しかし、あの内容では二国間協定を結んで共同戦線を張ると」
確かに聞こえたように思えるのだが。
クロイツェルは、
「ではあの場で私がどう話したか、言ってみるといい」
と来たので、クラウディアは、
「三国で領土策定の会議をしよう。その場で帝国が共和国へレイドライバーの貸与の話をしたい、と。期日は拿捕した機体の調査が終わってからでいい、そういう内容かと」
まずもってしてその通りなのだが、
「だからきみは二国間協定などという話に持っていったのだな。そうか、それ以上の話はしなかったからな、すまん。我々帝国は何も無策で共和国に機体をくれてやるわけではない。それは共通認識だな?」
クロイツェルはそう尋ねる。クラウディアが頷くのを確認して、
「では今回の提案の裏を当ててみるといい」
と来たのだ。しかしクラウディアは既に意見を言っている。実際、一度固まった意見というのは[違いますよ]と言っても直ぐには修正できないものだ。
事実、クラウディアは[うーん]と首をかしげている。そんな彼女に、
「我々の表向きの秘策、それは領土割譲にある。そもそも私は実際に言ったではないか[領土策定の話をしよう]と」
「では、これは二国間協定ではない、と?」
「そう、そしてこれはあくまでも釣り糸だ。こちらはレイドライバーを貸与し、共和国からは大陸からつながる[道]の領土をいただく。そうすれば大陸からどんどんと兵器が運べるからな。大陸でのんのんとしているやつらをやっとコキ使える、と。しかし、本当の目的は別にある」
クロイツェルはそう述べてから、
「では、この提案の裏にある真の秘策は何だと思う?」
と尋ねたのだ。
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