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24/43

24.どう見る?-人の気配は……しない?-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 マタルは[どうかこちらがアタリであって欲しい]と願いつつも途中からライトを下向きにしつつ進む。後ろからは神父が付いてきている。どうやら追手はまだ迫っていないようだ。それはもしかしたら抜け道を探せないでいるのか、それともすでにマタルたちが[詰んで]いるのか。


「どう見る?」


 と神父に尋ねれば、


「こればかりは、な」


 という答えが返ってくるのみだ。


 ――そりゃあそうだ。分かってるのなら初めっからそちらを示してるだろうに。


 愚痴をこぼしていても仕方のない。それでも進まなければならないし、一度進んだ今となっては引き返すのは困難を極める。神父に先導してもらうしかなくなるのだから。そしてその神父は、といえば武装の類はしていない。それはつまり撃ち合いになれば、その身体は盾にこそなれども攻撃手段にはならない、という事になる。


 少しずつ歩みを遅くする。途中からはライトの明かりも真下を向けている。


 ――人の気配は……しない?


 そう、マタルがいくら警戒してみても人の気配がまるでしないのである。もちろん、向こうが息を潜めて待ち構えているのなら話は別だ。ある地点まで歩けばハチの巣になり、一巻の終わりという結末になるだろう。


 だが、これがもしも本当にいないのだとすれば?


 警戒をしつつも少しずつ歩いていくと薄明かりが目に入ってくる。件の出口、となるのだろう。


「あれが出口か?」


 小声で神父に尋ねると、


「そうだ、出口には網がかぶせてある」


 と返ってくる。


 とうとう、誰にも会わずに出口までたどり着いたのである。


 ――おいおい、アタリかよ。


 と思いつつもマタルは周辺警戒を怠らない。網を少しずつずらして手鏡を隙間から通路へと出す。どうやら両側が通路という真ん中に出たようだ。通風孔を装っての網なのだろう。


 まず先にマタルが通路へと降りる。そして、


「あんたも」


 そう言って神父に手を貸す。無事に降り立ったのを確認してから、


「どっち?」


 と尋ねれば、


「左だ。そうすれば一本道で出られるはずだ」


 と来る。マタルは身体をひと伸ばししつつ左手にライトを、右手には拳銃というスタイルで背を丸めて進む。その先には日の光が見える。


 ――これでアウトだったら目も当てられないな。


 そんな考えが一瞬よぎるが、それも直ぐに緊張という感情に流される。マタルは、彼でなくともこのシチュエーションに置かれた人間なら気を抜くのは許されないのだから。


 そんな緊張が続いたあと、マタルたちは下水道の入り口を出ていた。どうやら彼らは本当に[アタリ]を引いたようだ。だが、喜ぶのはまだ早い。もしも下水溝というものが警戒対象になっているとすれば、いずれここも危険地帯になる。そうなる前に手早くどこかに逃げないといけない。


 マタルは、


「スラムはどっちだ?」


 と、とっさに尋ねる。それは直ぐに、


「ここから南に五百メートルくらいのところがスラム街だが」


 と答えが来るので、


「とりあえずスラムに逃げよう。話はそれからだ」


 スラム街といえばマタルのホームのようなものである。地域は違えどだいたいの[作法]はどこも変わらない。カネで、煙草で買えないものなどないのだから。


「なんとアタリを引くとはな」


 神父が十字を切る。その彼に、


「くじ運はよくないほうなんだが、ここで運を使い果たしてなけりゃあいいけどな」


 と少し笑う。そんな彼らは直ぐにスラムへと消えていった。


全43話予定です


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