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20.えっ、四つ?-きみにこの命を託すから好きに使って-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


[襟坂]は、その[荷物]の荷解きから陣頭指揮を執っていた。


「目隠しは取らないで、耳栓の代わりにイヤホンを」


 と指示を出していく。


 ――いいよ、カズとなら一緒に地獄にだって落ちて見せる。カズの為ならどんな非道な研究だってやって見せる。


[襟坂]はそう考えていた。それはやはり[中の人]がカズの最愛の女性ひとである天野千歳あまのちとせだからであろうか。だが、もしかしたらこれが実際の襟坂恵美えりさかめぐみだったとしても[カズ君の為なら]と言っているかもしれない。


 それほどにこの二人をしてもカズという存在を拠り所にしているという証拠なのだろう。だからこそこんな非道な実験の数々を主導できたのであろうし、立場が変わっても実験を継続していられるのだから。


[荷物]は合計四つの木箱で届いた。それぞれにラベルが貼ってあり、そこには当の人物たちの名前が書いてあった。


 それぞれにペトラ・ハリラ、ディーナ・ステファノバ、そしてクィンテン。それぞれが人を入れるに足りるだけの大きさの木箱である。


 ――えっ、四つ?


 と[襟坂]が驚くのも無理はない。当初の話では三体となっていたからだ。そんな疑問の表情を浮かべながら彼女が近づいていくと二次元バーコードが張り付けられている。


「??」


 そう感じながらも[襟坂]はタブレットでそのバーコードを読み取る。するとパスワードを要求された。


 ――パスワード? あたしが思いつくのと言えば。


 カズの誕生日か、自分のか、それとも結婚記念日かのいずれかくらいである。


「じゃあ」


 と言いつつ結婚記念日を入力すると、ロックが解除されて、


[この箱の中に入っている被検体は免疫機能が比較的弱い個体なんだ。もちろんちゃんと生活には耐えられるのは実証済みだから安心して。拒絶反応が出ずらい、っていえば分かるかな。年齢は十八歳だ。三体の比較試験に使用するもよし、体の一部を切り取って[部品]にするのもよし。例の、途中で止まっている実験も、少ない頭数ではあるけどこれで前に進められると思う。もちろんいざとなれば廃棄してもいい。きみにこの命を託すから好きに使って]


 という、ある意味恐ろしい文章が出てくる。


 ――いいよ、今更かわいそうなんて言わないから。


[襟坂]はそう思いながら、


「この中身にも目隠しとイヤホンを」


 作業をしている人間にそう伝えながら荷解きをし終わって、四体の被検体を暗室に連れて行く。そこで目隠しからアイマウントディスプレイに付け替える。


 アイマウントディスプレイとは、いわゆる眼球を完全に覆う形で作られたディスプレイである。一度焦点調節をしてさえしまえば、好きな画像を好きなように流せる。もちろんブラックアウトさせればそれは目隠しと変わらない。これはレイドライバー発足当初からある技術である。そう、コアユニットたちはこれを付けさせられて戦闘を行っていたのだから。


 そんな装備を付けさせてから、ある部屋へと連れていく。


 四体の被検体が連れてこられた部屋、そこにはこの研究所ではおなじみの部屋である。被検体を留置しておく為の部屋、つまりは監禁部屋である。腕は後ろ側に組まれて枷をはめられ、足はずって歩ける程度の長さのロープで繋がれトイレの場所だけ教えられる。もちろん全員が裸のままである。


 そんな状態で、


「おはよう、きみたち。これからよろしくね。きみたちがここに連れてこられたのはいろんな事情があると思うけど、恨んでくれていい。憎んでくれていい。その感情がいつしか変わる時が必ず来る。今は手段があれば逃げ出すか、ここにいる人間に敵意を向けるかもしれない。でもね」


 ――カズっぽいよね。


[襟坂]は次の言葉にふとそんな感想を抱きつつ、


「一年後にはあたしたちの靴を、喜ぶ、喜ばすにかかわらず自分の意志で舐めることになると思うよ」


 これからこの四体にはそれだけの事がされようとしているのだ。


 結果が出るのは当然まだ先ではあるが、[襟坂]にはその結果が見えているのである。


全43話予定です


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