19.階級は准将だが、同等までの任命権も付与する-今回の作戦が試金石になる、と-
全43話予定です
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褒美と罰、それは今まで中佐という階級が、今まである程度の自由が与えられていたとはいえど[レイドライバー部隊の隊長の中佐]という肩書が邪魔をしていた面もある。極論を言えば[向こう側の面々に入った以上、他の面々に目を付けられさえしなければ自由にやれる]という話である。
これはとても大きなことだ。今まで自分の立場が邪魔をしていた話し合いでもこれが上手くいけばある程度[好きに]立ち振る舞えるのだから。
そんな話のあとで向こう側の人間は、
「階級は准将だが、同等までの任命権も付与する」
とまで言っているのだ。
そんな声に、
「それはありがとうございます、と感謝を。それはつまり、今回の作戦が試金石になる、と捉えてよろしいんでしょうか?」
――ここを見間違えては元も子もないからね、念のため。
カズにしてみれば突っ込んだものの言い方だ。しかし、これは状況から考えて聞いておかねばならない話なのもまた事実である。
そんなカズに、
「ふっ、きみはやはり頭がよく回るな。その通りだ。実際、今回の話は我が国にとって国難ともいえる事態だからな」
事実その通りなのである。仮に帝国と共和国の間に二国間協定など結ばれでもしたら同盟連合の敗北は目に見えている。いっそ話し合いで済むのなら済ませたいところだが、レイドライバーの供出という話も出かねない。その交渉役にカズは呼ばれた、そういう話である。そして[もうそこまで貢献しているんだったら、いっそのことカズをこちら側に入れてもいいんじゃあないか]という意見が多数を占めた、向こう側の提案はその結果だというのだ。
「分かりました。それにあたって一つ、提案があります」
[きみから提案?]という言葉にカズは続ける。
「そう、提案です。この際、切り札ともいえる人材を供出しようと考えています」
――ここは彼女に任せてもいいんじゃあないかな。
カズはその案を事細かく説明した。そんな会話が十数分続き、一通り終わったあとに、
「それはあまりに危険ではないのか?」
と尋ねられた。それに対してカズは、
「危険だから、です。サブプロセッサーであれば拷問の類はしてこないでしょう。なんせ、向こうの脳科学は、こちらが把握している限りではまだ自我のない、我々が以前に[生体コンピューター]と呼称していた脳みそだけだろうからです。そこから進展していても、現に拿捕した機体には脳みそが搭載されていた。そしてその脳みそには自我がなかった。それも最新型と思われる機体に、です」
確かにカズたちの見分の結果は、二個の生体コンピューターが搭載されてはいたが、自発行動はとれないタイプのもので、自我がないと推定される、というものだった。以前のイリーナ中尉に対する[尋問]でもそれははっきりしている。そこからどんなに科学を加速させたとしても、現にその場で拿捕した最新型と思われるこの機体に搭載されていないのだから、それは[実用段階ではない]と考えるべきだろう。
カズは、
「彼女なら冷静に向こうと話をしてこられるでしょう。何せ、私が知る中で一番知的といえる存在だからです。そんな彼女であれば、たとえ供出する機体が世代が古いタイプだったとしても[最新型か?]と思わせられるのではないか、と。それに相手と話をすれば、もしかしたら会話の中から帝国の内情が掴めるかも知れませんから。さらに言えば索敵能力もずば抜けている、とくれば」
向こうの声はしばらくヒソヒソ声になったが、
「いいだろう。その案で試したまえ。ではきみには代表団の一員として加わってもらおう。クロイツェル参謀と言ったか、彼との駆け引きはきみに任せよう」
という結論が出たのである。
――オレが考えていた満額回答ですよ。ただ、責任も重大だけどね、それでも[彼女]ならあるいは。
カズはそんなことを考えながら、
「ではその方向で検討したいと思いますので」
と話を締めくくった。
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