18.まだ、秘密ですか?-すみません、最終判断がまだつかないんですよ-
全43話予定です
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カズは所長室で一人で考え事をしていた。アイザックはといえば帝国に供出するであろう予定のレイドライバー作成の陣頭指揮にあたっている。
アイザックに対してカズは、
[ちょっと考えがあります。サブプロセッサーは乗せる方向で]
と指示を出していた。もちろんその指示に[了解です]とは答えたものの、
[まだ、秘密ですか?]
と返されもした。その答えは、
[すみません、最終判断がまだつかないんですよ]
と伝えて現在に至る。
では[襟坂]は? といえば、つい先ほど早速届いた[荷物]の手分けを行っていたのだ。そう、手配した三名の、いやここでは三体と呼ぶべきだろう、その子供たちである。皆、現在十五歳。目隠しをして、手足を縛って連れてきたと連絡が入っていた。まるで[荷物]を梱包するかのように、緩衝材に巻かれて到着したのである。[襟坂]は、これを出来るだけ速やかに[形]にしていくという問題を任されている。カズが言う[形]というのは、本来であれば孤児院、軍事教練を経なければならないところを、それらを試験的に研究所内で、しかも短期間で行おうというものだ。
これがもしも[形]として実用を成せば、もしかしたら孤児院での異質な[調律]も[身体検査]も不要になるかもしれない。軍事教練と称している現在のサブプロセッサーの仕上げの形態も変わるかもしれない。
そしてもう一つの研究も。
それを、
[出来るだけ早くに形にしてもらえるかな。そう、パイロット候補であれば一年で]
カズはそう伝ええたのだ。その言葉のあとに[手段は問わない。プランは任せるよ。もし必要なら、少量であれば[クスリ]の使用も許可するから。あ、でも短命にはしないでね]と付け加えた。
反論が出るかと思えば、
[カズのいう事には従うよ。それに今更どの口が綺麗ごとを並べられるかってね。まかして、色々と試したいこともあるんだ]
とあっさり引き受けてくれた。
――それだけ変わったんだよな。オレも、彼女も、襟坂さんも。
などと感傷に浸りそうになるが、
「おぉ、いかんいかん。それよりも、だ」
カズはそう呟くとホットラインで連絡を取る。
「きみか、どうしたね?」
と問われるのを、
「こんな短時間でそう簡単に変わらないのは承知しています。ですが、方向性は決まりましたか?」
と、とりあえずは尋ねてみる。そんカズに、
「きみは……いや、きみになら話してもいいだろう。具体的には帝国に六名の[モグラ]を、共和国には四名を出した。結果はもちろん暗号伝達で送るように伝えてあるが」
「まさか楽観視、などはしてはいませんよね?」
と切り込んでみる。向こうの声は、
「ああ、全滅も視野に入っているよ。二国間協定などという構想がもしも帝国内にあって、それを餌に[モグラ狩り]も兼ねているとしたら、それは思うつぼなのだろうな。それでもこうして送り出さねばならないのは……きみも同じようなものか」
つまりは[上は上で辛いんだよ]というやつである。そして向こうの声は、
「そうそう、准将に昇格の件だが、予定では昇格したら軍事顧問を任せようと思っている」
と来た。
軍事顧問、それはつまるところの帝国でいうクロイツェル参謀が担っている部門だ。レイドライバーだけでなく、最新鋭機に始まり、一般兵器の生産や配置、各種の作戦立案などに優先的に割り込む事ができる。しかしながら一般兵器の作成立案までをカズに任せては流石にオーバーワークだ。だから、修正案という形で軍事一般に口出しができるようにする、と言っているのだ。そして命令権、任命権も与えられるとの話だ。
確かに上官に対して下士官は口答えできないが、階級を任命するとなるとその任命権は、かなり上の人間でないと与えられていない。カズが今、付与できるのは軍曹か、よくて曹長どまりなのだ。だが、上層部はその任命権も含めて付与しようといっているのだ。
「それはもしかして」
とまで言って止めて、相手の出方を探る。それくらいは出来るつもりでいる。
「ああ、こちら側の輪の中に入れようという意見が多数を占めている。それほどにきみには期待している、と考えてもらっていい。勿論、研究も引き続き続けてもらいたい」
それはある意味、カズの想定していたものよりも大きな結果といえるだろう。
――これで守れる対象が増えたな。そして処分する対象も。
カズは決して権利が与えられたからといってそれを乱用するつもりはまったくない。ただ、先の話ではないが今までは軍曹どまりだった任命権がもう少し幅が広がるというのは何かと都合がいい。何故なら、例を挙げるならちょっと前の話ではあるがトリシャなどに罰を与えるために准尉に降格させてみたり、逆に[よく働いた]と言って、それこそ少佐や中佐などに引き上げることが可能だ、そう言っているのである。
それは今、カズがそれぞれの従者たちに行っている[ミーティング]の他に、対外的な形の表れとして階級を付与するという[操作]が出来るようになるのだ。
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