主人公より親友の方が大変なんだぞ〜学校編その1〜
親友から見たラブでコメディな世界も見たくない?
『カシュッ。』
コーラのプルタブを開けるが開く音が教室に響く。
「コーラなんか飲んでねぇでそろそろ告れよ、めんどくせぇな。あのやりとりを見てるこっちの身にもなれ」
「は、嫌だわ。てか知らんわ」
「ふざけんな、おい」
教室の一番左の列の一番後ろ俗に言う主人公席に座る男、九条キミヤ。ちなみに俺は、こいつの前。
こいつにはうちの高校でトップクラスに可愛いと言われる幼馴染がいる、その名を遠藤由依。
幼馴染は負けヒロインポジだと思うだろ?そんな常識を粉砕するような普通にいい関係を築いている。見てるこっちが痒い程に。
そしてこの立ち位置になって気づいた、どれだけラノベの親友ポジのやつがすごいのか。
だからこそ俺が今まで読んだラノベの親友ポジのやつに恥じぬように親友ポジを全うする。恋愛なぞにうつつを抜かしている暇などない。
その結果がさっきの告白催促に繋がるわけだ、理解してくれ。
「明らかにあの子はお前に気があるだろ、そしてお前もあの子が好きそれなら告白するなら今しかないだろ」
俺視点からみた現状をそのままこいつに伝える。
「だけどさぁ、振られたりしたらさぁ」
「俺の声聞こえてなかった感じ?耳かきしたろか?」
耳かきのジェスチャーをする。
「気持ち悪りぃなおい」
嫌そうな顔をこちらに向けるな、ぶん殴るぞ。
「九条、ちょっといい?」
握り拳を振りかぶる直前で、横から鋭い声が俺たちの耳を刺した。
噂の美少女、遠藤由依だ。
そして九条は有無も言わせもらえぬまま遠藤に連れ去られた。
こうなった場合本来なら、視点は主人公に行くところだが生憎視点は俺固定だ。
気になるだろ?主人公がいなくなった後残されたメンツは何をしているのか。
答えは『無』だ。何もない。話の根幹はあくまであの二人であり俺らはあくまで話を盛り上げるための装飾品。
ポテトやナゲットについてるソースみたいなものだ。
そこから数十分たったくらいにチャイムとほぼ同時に九条が帰ってきた。
「遅かったな。何してたん」
小声でそう聞くと。
「なんか、あいつが先生に頼まれた実験準備室の片付け手伝わされた」
同じく小声でそう返ってきた。
「初めての共同作業だね♡」
指でハート作りそんなこと言ってみる。
「ヤるぞ」
「さーせん」
怖いこと言われた。ひえ〜。
そんな会話をしていたら先生が教室に入ってきて、午後の授業が始まった。
俺たちは遠藤とは別のクラスなため授業中のイベントなんてものはない。授業中だけが俺のオアシス。
そう思ってた。
『次の授業なんですが、松本先生に都合により三組と合同になりました。視聴覚室に移動してください』
この言葉により、俺のオアシスは九条と遠藤の恋情による砂漠へと変貌を遂げた。
読んでくれてthank you!!ゆっくり更新します。(予定)