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ハロウィン
【短歌】
青空に
かぼちゃのような
雲ひとつ
大きな口で
見上げる幼子
【物語】
ぽかぽか陽射しの中、お母さんが子供をベビーカーに乗せて散歩に出かける。
ベビーカーが落ち葉を踏む音が気になるのか、子供は身を乗り出すように足元に視線を落とした。
カサカサ音がするのが楽しいようで、両手をパチパチして喜んでいる様子に笑顔があふれる。
「あら? あれは何かなぁ? お空見てごらん?」
お母さんの言葉に、子供はパッと顔を上げ空を見上げる。そして青空に浮かぶ白い雲を指差して「あ〜、あ〜」と声をあげる。
「そうねぇ。かぼちゃさんみたいね」
甘くて大好きなかぼちゃに似ている雲を捕まえようと、両手を伸ばす子供の口は、パクパクと動いていた。
「かぼちゃさんおいしい?」
その問い掛けに、満面の笑みで返す子供を見たお母さんは、とっても幸せな気持ちになりました。
【ひとくちメモ】
今回の作品の「ハロウィン」上の句担当は、菜須よつ葉。下の句を、ひな月雨音様が担当致しました。短歌を元に物語をふたりで交互に紡いでみました。