表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見るように夢見たい  作者: 鬼居かます
41/65

40 第二話「遠い日」 タイムパラドックス

【毎日昼の12時に更新します】




「うん。私は会いたいと思ってるけど、……どうして?」




「うん。……みすずさんはうまく説明できるかな? って思ってさ」




「どういうこと?」




「うん。みすずさんと千葉さんの関係は実はパラレルワールドじゃなくって、過去と未来の世界がつながったってことだよ」




「あ、……そっか、そうだよね」




 私は言われて初めてそのことに気がついた。私と千葉さんは異なる世界の住民じゃなくて、同じ世界で暮らしているのだ。ただ、時間が三十年以上違うだけ……。




「タイムスリップものの絶対に鉄則だけど、過去の人に未来のことを教えちゃいけないんだよ」




「ええっ! そ、そうなの?」




「うん。だって未来を変えちゃうことになるんだから」




「そっか、そうだよね……」




 私は鬼平くんが言った意味を理解した。




 確かタイムパラドックスとか言うものでアニメで見たと思う。それは簡単に言えば、もし未来から来た人物が、自分自身が生まれる前の両親を殺してしまった場合、自分自身が生まれなくなっちゃうかも知れない可能性があると言ったジレンマだった気がする。




 そしてそれを確認すると鬼平くんはうなずいた。




「で、でも私、千葉さんにスカートの丈とかフェンスとか、スマホのことも話しちゃったよ。……それだけじゃなくて、相手の人のモデルになって人物画の勉強をしたらいいって言っちゃったよ」




 私は自分が行ってしまった行為に愕然としてしまった。だけど鬼平くんは笑顔のままだった。




「それくらいなら大丈夫じゃない? だって、いついつに誰それが死ぬとかの予言をした訳じゃないんだし。だいいち夢なんだから平気だと思うよ」




「そう? ……だったら安心した」




 すると鬼平くんがいきなり考え顔になった。腕組みをして、ぶつぶつなにやらつぶやいているのだ。




「ど、どうしたの?」




「あ、……うん。あのさ、もしまた夢に千葉さんが現れたら『大予言』はなかったって言えばいいと思うよ。それだけで詳しい説明をしなくても千葉さんなら、みすずさんが未来から夢に現れた存在って理解してくれるから……」




 そう言うのだ。だけど私にはそれがなにを意味するのかさっぱりわからなかった。




 そしてその夜。

 早めにベッドに横になった私はすぐに眠りについた。そして気がつくとやっぱり公園のベンチに座っていたのだ。




「ああ、良かった。今日も会えたわね」




 振り返ると千葉さんが立っていた。その姿はもちろん三十五年間変わらないデザインの大沼東高校の制服だった。




「どうしたの? なんだかあわててるみたいだよ」




 私が尋ねると千葉さんは開花した大輪の花のような絵顔を見せた。




「浅井さんに言いたかったのよ。……あのね、あの人が私をモデルにして人物画の勉強を毎日してくれてるの。だから毎日会っておしゃべりできるのよ」




 千葉さんはすっかり興奮しているようだった。




「そ、そうなの? 良かったじゃない」




「ええ。だから毎日充実しているわ。……あの人は東京の美大を本命に受験することにしたんだって」




「ええっ! ……じゃあ、卒業しても離ればなれにならない可能性があるってことだよね?」




「うん。……これは全部みすずさんのお陰。だから私、みすずさんのことも全部話しちゃったわ」




「話したって、相手の人にだよね?」




 私は嫌な予感がした。過去に干渉してしまったのに気がついたのだ。




「ええ。……そうしたらね。あの人が言うのよ。……みすずさんは未来から来た人じゃないかって」




「ええっ!」




 私は驚きで固まってしまった。どう反応したらいいのかわからなくなってしまったのである。




「ねえ、そうなんでしょ?」




「う、うん」




「やっぱり! ……じゃあ私たちの将来はわかるのよね? だったら教えてくれないかしら?」




 私は本格的に困ってしまった。やっぱり危惧していたことが起こったのだ。私のこれからの言葉で千葉さんたちの未来は変わってしまう。




「……あ、あのね。過去の人に未来のことは教えちゃいけないんだって。……未来が変わっちゃうからだって……」




 すると千葉さんは一瞬きょとんとした顔になったけど、すぐになにかに気がついたようで真顔に戻った。




「タイムパラドックス。……そうね。確かにそうだわ」




 千葉さんは私の拙い説明ですべてを理解して受け入れてくれた。やはりお医者さんを目指すだけあって頭がいい。




「……その意見はきっと浅井さんが好きに思っている人の言葉ね」




「……う、うん」




 私が鬼平くんをどう思っているかは正直、今の私にはわからない。だけどその点には触れなかった。




「そうなの。だからその人から言われたの。『大予言』は的中しないって。それだけ伝えればいいって言ってたよ」




 私は鬼平くんから教わった通りの言葉を伝えた。すると千葉さんはしばらく考え込んでいた。だけどやがて口をゆっくりと開いた。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中





「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み




 も、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ