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夢見るように夢見たい  作者: 鬼居かます
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38 第二話「遠い日」 アイディア

【毎日昼の12時に更新します】

 

 ――そのときだった。




 今から考えてもなぜそのときだったのかわからないけど、テレフォンカードに印刷された絵画がヒントになったような気がする。




「あ、あのさ。……千葉さんの相手の彼氏にさ、人物画を描いてもらうってのはどう? もちろんモデルは千葉さんがするの」




「ええっ……! ど、どういうことかしら?」




「うん。だってその人は人物画が苦手なんでしょ? 

 だからこれから毎日、千葉さんがモデルになって絵の勉強をしてもらうんだよ。そうすれば苦手な人物画も得意になるし、千葉さんもその人といっしょになれる時間が増えるじゃない?」




 我ながらいいアイディアだと思った。これなら一挙両得だ。




「……そ、そうね。で、でもあの人がオッケーするかしら?」




「するよ。だってどうしても大阪に行きたい訳じゃないんでしょ? だったら毎日レッスンして東京の美術大学に受かる勉強をするべきなんだし」




 私は力を込めて説得した。

 すると最初は乗り気じゃなかった千葉さんだけど、最後には俄然とやる気になっていた。




「私、やってみるわ。そしてきっと彼に東京の美大に入学してもらうの」




「そうだよ。……人間、やればきっとなんとかなるものだよ」




 私は気がついたら千葉さんに説教をしていた。他人に誇れるものはなにひとつなくて、勉強だってスポーツだって人並み以下な私が偉そうに語っていたのだ。




 ……恥ずかしい。




「でも、彼が勉強するとしたら放課後になるから私、制服姿でしかモデルができないわ。……夜遅くだと両親に怒られてしまうし、彼も予備校があるから」




「制服でいいんじゃない? だってモデルって別にヌードである必要はないんでしょ?」




 私が冗談めかしてそう言うと、千葉さんは真っ赤になってしまった。




「ば、馬鹿ね」




 そう言って千葉さんは笑顔になった。




 ――そうしたら夢から覚めた。




 枕元の時計を見るとまだ午前五時半だった。だけど目覚めはすっきりしていたので私はそのまま早起きをしてしまった。

 ……お陰でお父さんとお母さんがびっくりしていたけど。




 その日の昼休み。

 私は日課である屋上へと向かった。その日はものすごく空が青くて、真っ白な雲が浮かんでいた。




 その日も屋上には誰の姿もなくて、そこにいるのは私と鬼平くんだけだった。私は今朝方見た夢の内容を鬼平くんに伝えていた。すると鬼平くんはしばらく考え顔になっていたけど、やがてぽつりと口を開いた。




「……千葉さんは、もしかしてパラレルワールドじゃなくて、過去の人かもしれないね」




「過去の人? どういうこと?」




「うん。僕たちと同じ、この世界の人なんだ。……もちろん今は大人になっている。ただ高校生のときの自分の夢が時間を越えて、現在のみすずさんの夢と同期しているかもしれないんだ」




「ど、どういうこと?」




「うん。まずはスカートの丈の長さが違うこと。これは昔だったら今よりも女子のスカートは長かったって聞いている」




「あ、そうか」




 私はそれに思い当たった。お母さんが常日頃私の制服を見て、自分の時代はもっと長かったと言っていたのを思い出したのだ。




「……それにスマホが普及していなくて、テレフォンカードが主流だったことだよ」




「そ、そうだね。昔は公衆電話だったんだもんね」




 今は繁華街とか公共の場所にしかない公衆電話だけど、以前はそこらじゅうにあったと聞いた記憶がある。




「そしてこのフェンス。……もしかしたらだけど、このフェンスは千葉さんがこの大沼東高校の在校生だったときに設置されたのかもしれないよ」




「ええっ! ……そ、そうなの?」




「うん。それだったらすべて説明できるんじゃない? 今からどれくらい前にこれが作られたのかを調べれば、この考えは全部説明できるんじゃないのかな?」




「う、うん」




 私は改めて鬼平くんの推理に驚いた。確かにこの背の高い金網のフェンスがいつ作られたのかを突き止めれば、私が夢で出会う千葉さんのすべてがわかるかもしれないと思ったのだ。




「……松田なら、わかるんじゃない?」




「そうだね。瞬くんなら生徒会委員だから先生に訊きやすいもんね」




「うん。それに千葉さんが過去のこの学校の生徒だとすると、もしかしたら古い卒業アルバムに載っている可能性もあるよ」




「ああっ! そ、そうだよねっ!」




 ――なんて名案っ!!




 私は気がついたらベンチから立ち上がっていた。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中





「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み




 も、よろしくお願いいたします。

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