表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見るように夢見たい  作者: 鬼居かます
35/65

34 第二話「遠い日」 スカート丈

【毎日昼の12時に更新します】




「……それは正しいかもしれないよ」




 突然に鬼平くんがそう言った。




「以前、僕はそれを予知夢じゃないかって言ったのを憶えてる?」




「うん、憶えてるよ」




「そう。……実はそれは予知夢じゃなくて、千葉さんが言う通りにパラレルワールドなのかも知れないって思うんだ」




「ど、どうして?」




 私が尋ねると鬼平くんはつかつかとフェンスに向かった。私も仕方なくついて行く。




「ねえ、これを見て」




 私は言われてフェンスを見た。




「フェンスがどうしたの?」




 そこには見慣れたフェンスがある。頭上高く設置されているもので、所々錆が浮いている。以前に私と鬼平くんは有紀が生み出した鵺に追われて、これを乗り越えたことがあるのを思い出した。もちろん夢の中での話である。




「これ、錆が出てるでしょ?」




「うん。……でもそれがどうしたの?」




「これはかなり以前に設置されたってことになるよね。で、その外側を見て」




 鬼平くんはそう言って金網の外を指さした。するとそこにはステンレス製の別のフェンスがあった。それは胸元までの高さで銀色に鈍く光っていた。




「どうしてフェンスが二つあるんだと思う?」




「ええっと……。どうして?」




 私はさっぱりわからないのでそう答えた。




「うん。これは外側のステンレス製のフェンスが先にあって、この高い金網が後から作られたんだと思うんだ」




「ど、どうして?」




「うん。これは僕の想像なんだけど、飛び降りさせないために新たに設置されたんじゃないのかな?」




「飛び降り……?」




 私は嫌な予感がした。それは千葉さんが言っていた話だ。確か三年生が受験ノイローゼになって飛び降り騒ぎがあったと言っていたはずだ。




「そ、それって飛び降り防止のために新しく設置されたってこと?」




「うん。だってみすずさんの話では、その千葉さんが言っていたんでしょ? 千葉さんが通う大沼東高校では屋上は出入り禁止になっているって」




「……っ!」




 私はなんだか物事の核心に触れた気がした。




「確かにそう言ってたよ。……でも私が通う大沼東高校では屋上での出入りが許可されている。だけど……」




「千葉さんが通う大沼東高校では屋上に生徒の出入りは禁止されている。……これで話のつじつまが合うと思うんだ」




「じゃあ、やっぱりパラレルワールドってこと?」




「うん。僕はそうだと思う」




 私は驚いていた。それはパラレルワールドの存在が実証されたこともあるけれど、それ以上に鬼平くんの推理の力に圧倒されていたのだ。




「……鬼平くんも千葉さんの夢に現れてくれたらいいのに」




 私は思わずそうつぶやいた。




「……それは僕の力じゃどうしようもないな。千葉さんが招待してくれたらログインできるのかもしれないけどね」




 鬼平くんはそう言って笑ったのだった。




 その夜のことである。

 私はベッドで横になるときに期待をしていた。それは千葉さんと会いたい気持ちだった。私が今日、見聞きした体験が少しでも役に立てばいいと思ったのである。




 そしていつしか眠りについた。

 ふと気がつくと私は公園にいた。公園のベンチでぼんやりとしていたのだ。




 すると向こうから制服姿の女子高生がやって来るのが見えた。




 ――千葉美佐子さんだった。




「こんばんは」




 この夢の世界ではまだ昼間なのだけど、そう言ったのは今は本当は夜中だからだろう。




「こんばんは。……良かった。今日は千葉さんに会いたかったんだ」




 私は立ち上がってそう答えた。見ると私も制服姿だった。




「そう。……私も会いたいと思ってたのよ」




 そう千葉さんは満開の花のような笑顔を見せてくれる。




「そこ、座っていい?」




「うん」




 千葉さんが私が座っていたベンチを指さしたので、私もいっしょに並んで座ることにした。




「今日はちょっと訊きたいことがあるの。いいかしら?」




 そう千葉さんが訊いていた。




「うん、なあに?」




 すると千葉さんは私の膝小僧を指さした。




「……私たち、同じ大沼東高校の生徒よね? なのにどうして浅井さんのスカートはそんなに短いの?」




「ええっ?」




 言われて私は思わず千葉さんの膝を見た。確かにスカートでしっかり隠されている。




「ひょっとして浅井さんは不良なの?」




「ええっ……! ……そ、そんなことないよ。これは標準の丈だし、女子はみんな同じだし」




 私はあわてて答えた。『不良』なんて死語みたいな言葉が飛び出すなんて思わなかったからだ。




「そうなの? ……ふーん。やっぱり私と浅井さんは違う世界の大沼東高校の生徒なのね?」




「じゃ、じゃあ、千葉さんのところだとスカートの丈はみんな千葉さんと同じなの?」




「ええ、そうよ。そこまで短い子はいないわ。……ちょっと問題がある子は逆に足首まで隠れる長い丈にするから先生にしかられるの」




「へえ……」




 私は素直に感心した。同じ高校の生徒でも異世界だとスカートの丈も変わるらしい。




 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中





「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み




 も、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ