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夢見るように夢見たい  作者: 鬼居かます
22/65

21 第一話「夢か現か幻か……」 病院

【毎日昼の12時に更新します】




「病室はどこなの?」




 玄関の巨大なガラス扉をくぐりながら鬼平くんが尋ねる。




「確か三階だったと思う」




 私はお見舞いに行ったことはない。だけどクラスの誰かがそう言っていたのを思い出した。

 そして私と鬼平くんはロビーに到着した。




「……な、なにこれっ!」




 私は叫んでいた。もちろんここが病院であることは百も承知だ。




「……ビ、ビンゴだね。やっぱり原因はここなんだ」




 鬼平くんの声もうわずっていた。




 ロビーにはたくさんの外来患者さんたちがいた。

 そして受付に病院職員さんたちも大勢いた。だけどその誰もが頭をたれて眠っているのだ。




「お、起こした方がいいのかな?」




 私は鬼平くんに尋ねる。すると鬼平くんが首を横に振る。




「いいや。起こしても意味が無いし、正直、それどころじゃないみたいだ」




「ええっ?」




 私は疑問を感じた。

 だけど鬼平くんが黙ってロビーの一角を指さしたことで私は納得する。そして同時にぞぞぞと怖気を感じた。




「……鵺」




 鵺が生まれ始めていた。

 ロビーの端にある館内案内図の下辺りで黒い霧か煙みたいなものがむくむくと大きくなり始めていたのである。




「ど、どうしてっ……!」




 私は絶句した。

 さっき学校で現れた鵺は完全にまいたからだと思っていたからだ。




「……さっきの鵺とは別なんだろうね」




 私は戦慄を感じていた。

 正直、怖かった。平沼さんが悪夢を見続けている間は、鵺はどこにでも出現できるのがわかったからだ。




「ど、どうしよう……」




「三階に行こう。そこに平沼さんがいるんでしょ?」




「う、うん」




 私と鬼平くんは階段を目指した。

 エレベーターも動いているようだけど、その方角にはずんずん大きくなって人型に変わっている鵺がいるからだ。




 そして私たちは階段を一段抜かしで駆け上がる。




「……三階だ」




「う、うん」




 私と鬼平くんは息絶え絶えになって、ようやく三階に到着した。




「病室はどこなんだろう?」




「僕に訊いてもわかる訳ないと思う」




 私が尋ねると、ごもっともだけど、ちょっと冷たく言い放つ鬼平くんがいた。




「そ、それはそうだけど、ちょっと相談したいと思っただけ……」




 自分の気持ちに正直な私は、つい、ぷーっとむくれてしまう。




「ああ、ごめん。

 ……そうだね。ナースステーションで確認しよう。一部屋ずつ探していたら、鵺に追いつかれる」




「うん」




 私たちはナースステーションに入った。

 そこは看護師さんたちの詰め所で、中には五人ほどいたけど、やっぱり机にもたれて眠っている。




 私は書類の束から入院患者のリストを探そうとファイルを片っ端からながめたけど、それらしいのは見つからない。




「あった」




 私は鬼平くんの声に振り向いた。

 見ると鬼平くんはステーションの受付にあるパソコンを操作していた。そこで入院患者の部屋割のリストを見つけたようだ。




「平沼有紀さんでいいんだよね?」




「うん」




「じゃあ、三○七号室だ」




 私はパソコンの画面をのぞきこんだ。そこには確かに平沼さんの名前がある。




「あっちだね」




 私が右手を指さすと鬼平くんがうなずくのが見えた。

 そして二人してナースステーションを出たときである。




「……鵺っ!」




 私は思わず立ち止まった。

 いつの間にか鵺が現れていて、それが三○七号室への通路をふさいでいたのだ。





 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中





「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み




 も、よろしくお願いいたします。


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