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夢見るように夢見たい  作者: 鬼居かます
19/65

18 第一話「夢か現か幻か……」 正体

【毎日昼の12時に更新します】


「……だ、だって鵺はそのうち私たちを追っかけるよ。捕まっちゃうんだよ」




 夢の中での出来事じゃない。これは現実なんだよ……。

 すると鬼平くんは憎らしいほど冷静に答える。




「鵺が僕たちを追っかけるのは結果なんだ。結果には必ず原因があると思うんだ」




「原因?」




「うん」




 鬼平くんはそう答えると、辺りをゆっくりと見回した。

 私も真似して見回すけど、そこには熟睡しているクラスメートしか見えない。




「……ん? なんであそこには誰もいないんだろう?」




「あそこって?」




 私は鬼平くんの指さす方角に視線を合わせたけど、鬼平くんがなにを言いたいのかわからない。




「空席がふたつある。……ひとつはみすずさんの席でしょ? もうひとつは誰なのかな?」




 鬼平くんが私に質問する。

 だけどその瞬間にも鵺はすっかり人型になっていて、そしてどんどん大きくなり始めている。




「あ、あそこは平沼(ひらぬま)さんの席だよ」




「平沼さん?」




「あ、あのね。平沼有紀(ゆき)さんは入院しているの。だから学校に来てないの」




 すると鬼平くんは無言のまま鵺をにらみつけていた。

 鵺はすっかり巨大化していて、天上に頭がついている。そしてその太い腕をぬっと私たちの方向へと伸ばし始めた。




「行こうっ!」




 鬼平くんが突然叫んだ。そして私の手を握るとぐいぐいと引っ張って廊下へと走り出す。




「鵺の正体がわかった」




「ええっ! だ、誰なの?」




「その平沼さんだ」




 私たちは走りながら会話をしている。

 振り返ると鵺が教室のドアから身を乗り出している。今は窮屈そうだけど、やがてその身体全体が現れるだろう。




「ど、どうして平沼さんなの?」




「消去法なんだ。

 ……鵺はみすずさんのクラスにしか現れない。そしてクラスのみんなは眠っている。そしてあの教室で眠っていないのはたった二人しかいない。ひとりはみすずさん。そしてもうひとりがその平沼さんだ。


 ……あの鵺はみすずさんが生み出したのじゃないのは、先刻証明済み。……だとするとその平沼さんが鵺を産みだした可能性が高いんだ」




「ええっ!」




 私は平沼有紀さんを思い返していた。

 平沼さんは笑顔が絶えない女の子だ。だけど病気だったからどこか線が細い感じで弱々しい印象を受ける。そして性格はおとなしくて誰かをうらむようなタイプじゃなかった。




 でも事態はとんでもないことになっている。……だって、現実世界に鵺を出現させるなんて……。




「ど、どうして平沼さんが……?」




「それは僕にもわかない。とりあえず避難しよう」




 見ると鵺は身体全体を廊下に出していた。

 そして私たちを見つけるとその巨大な足を踏みしめながら一歩一歩近づいてくる。

 私と鬼平くんは廊下をどんどん走った。そして階段を駆け下りた。




「ど、どこに行くの?」




「学校を出る。そして平沼さんのところに行く。……みすずさんは平沼さんの入院先はわかるの?」




「う、うん。確か市立病院だよ」




 私は先月に担任の先生から聞かされた入院先を思い出す。

 私はそれほど仲が良かった訳じゃないので一度もお見舞いに行ったことはないけれど、お見舞いに行ったクラスメートから市立病院の四人部屋に入院していたという話を聞いた憶えがある。





 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中





「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み




 も、よろしくお願いいたします。

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