表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢見るように夢見たい  作者: 鬼居かます
13/65

12 第一話「夢か現か幻か……」 化け物

【毎日昼の12時に更新します】



 そして昼休み後半。

 今日も屋上に向かった。空は青く平和だった。そして誰の姿もないベンチへと向かったのだ。私はそこで横になる。




 だけど、すぐには眠れなかった。

 やっぱりクラスのみんなのことが気に掛かっているようだった。でも、……いつしか私はまどろんだ。




「……ここは」




 教室だった。

 私は机に突っ伏していたみたいで、頭を上げるとその光景に絶句した。

 クラス全員が眠っているのだ。これは今朝見た現実の状態とまったく同じだった。




「そ、園絵(そのえ)っ!」




 後ろを振り返り、園絵の肩を揺する。

 だけどまったく起きる気配がない。そして周りのクラスメートたちにも同じ事をするけど、やっぱり起きないのだ。




「ねえ、起きてよっ!」




 大声で叫ぶ。だけど誰も返事がない。




「ど、どうしよ?」




 私は戸惑った。これは夢だとわかっていたけど、なにもできないのだ。




 そのときだった。




 教室の隅になにか黒いものがわだかまっていたのだ。

 その姿は煙とも霧とも言えない感じで、向こう側がわずかに透けて見える気体のモコモコとした固まりだった。




「……な、なんなのっ?」




 私は身を引いた。




 するとその黒いものはぐんぐん大きくなって、やがて人型に変わっていた。

 真っ黒な煙か霧のようなものが人間の形に変化したのだ。

 そして大きさもずんずん伸びてきて、やがて天井まで頭が届きそうなほどに巨大化したのだ。




 黒いものはなにかを探すように辺りに頭を動かした。

 目も鼻も口もない。だけどこっちをじろりと見たのだ。




 ぞぞぞと戦慄が走る。怖かった。




「……っ!」




 机の影に隠れようとした。

 だけど黒いものはそんな私に気がついたようで、その大きな手をぐいぐい伸ばして私を捕まえようとしたのだ。




「い、嫌っ!」




 私はもつれる足で教室のドアを開けた。

 そして廊下を全力で走る。そして振り返ると巨大な黒いものがドアから身を乗り出し始めるのが見えた。

 窮屈そうだけど、腕から頭、そして身体と言った順番で徐々にその姿を廊下に出し始めたのだ。




「に、逃げなきゃっ!」




 私はさらに走り続けた。

 そして階段を駆け上がり、屋上へとつづく扉を一気に引いた。そして外へと飛び出したのである。




「お、鬼平くんっ!」




 驚いたことにフェンスのところに鬼平くんが立っていた。




「どうしたの? 血相を変えて」




 ところがちょっぴり憎らしいほどに鬼平くんは冷静だった。




「お、お化けが追っかけてくるのっ!」




 フェンスまで駆け寄ると背の高い鬼平くんを見上げて叫んだ。




「お化け?」




「う、うん。教室でみんなが眠っていたの。そしたら黒いお化けが現れて、私を捕まえようとするの……」




「絵に描いたような悪夢だね。……ええっと、これはみすずさんの夢じゃないの?」




 鬼平くんは苦笑する。




「ええっ! ……じゃあ、私が(ぬえ)なの?」




「そう考えるのが、ふつうでしょ?」




 私は驚いた。

 今夜は怖い物語を読んだり、見たりしていない。




「あ、あのね。

 ……今朝、学校に遅刻して来たんだけど、教室に入ったら先生もクラスのみんなも熟睡していたの」




「熟睡?」




「う、うん。その後、みんな、保健の先生に診断してもらったんだけど、全然平気だったの。

 だから集団睡眠じゃないかって話になったのよ」




 私は一気にしゃべった。

 その間、鬼平くんはひとことも口を挟まずに聞いてくれた。茶化したりふざけたりすることなく、真剣に私の話を聞いてくれているのだ。




「……集団睡眠ってのは穏やかじゃないね。なにか原因でもあったのかな?」




「ううん。教室の窓は開いていたから、空気が淀んでいたとかじゃないの。

 それにみんながみんな徹夜明けだとかじゃないから、全然原因はわからないんだって……」




「だけど、それが元ネタになって、みすずさんがこの悪夢を見たってのがそうじゃないの?」




「う、うん。……そうかも」




「その今朝方の教室の印象が強烈に残っていて、それが夢の中で具現化してしまったのだと考えるのが、ふつうなんだけど……」




「ど、どうしたらいいの?」




 私は鬼平くんに尋ねていた。

 鬼平くんの正体はわからない。いや、実在するのかだって私は確認したことはない。

 ……だけど頼れるのは鬼平くんしかいないのだ。



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。


私の別作品

「生忌物倶楽部」連載中


「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中





「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み




 も、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ