11 第一話「夢か現か幻か……」 集団睡眠
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教室の中では全員が机に突っ伏していた。
園絵や瞬くんはもちろん、クラス全員、そして一時間目の英語の中本先生までも教壇に寄りかかっているのだ。
中本先生は中年の女性教師でやせ形の背の低い先生だ。
「せ、先生っ……!」
中本先生に走り寄った。
見ると先生は額にびっしょり脂汗を浮かべてうめいている。
「先生っ。先生っ」
夢中で中本先生を揺さぶった。すると、うーん、と声を漏らして先生は目を開けた。
「先生っ。大丈夫ですかっ?」
中本先生は、最初ぼんやりしていたけど、しばらくすると我に返ってくれた。
どうやら無事なようだった。
「……浅井さん。私、どうしたのかしら……?」
「先生はうなされていたんです。そしてクラスのみんなも……」
そこで先生はやっと状況を理解したようだ。教室内を見回して息を飲んだからだ。
「……まあ、大変っ! 浅井さん、みんなを起こしてっ!」
「はいっ!」
私は園絵や瞬くんを揺り起こした。
先生も近くの席の生徒を起こしている。そしてやがて全員が我に返ったのだ。
クラスの中は騒然としていた。
もはや授業中だと言うことは全員忘れているようで、口々にいつの間にか眠ってしまっていたことを告げ合っていた。
「と、とにかくみんな保健室に。……先生はこのことを職員室に報告に行くから」
そして、保健委員の安藤さんの誘導で二年一組が全員保健室に向かったのであった。
■
「……悪夢?」
昼休みのことである。
私は園絵や瞬くんから、英語の時間に起こった現象について、そう聞かされたのだ。
「うん。……いつの間にか眠っちゃったのよね。誰が最初に寝ちゃったのかもわかんない」
「ああ。俺も全然気がつかなかった。……ただ、嫌な夢を見たとしか記憶にない」
「嫌な夢? ……それってどういう内容なの?」
私はお弁当の箸を休めながら、そう尋ねていた。
「……全然憶えてないの。でもすごく怖かった気がする」
「ああ。……俺もなんか不気味な夢だったような気がするんだけど、詳しくは憶えてない」
クラスで起きた怪現象は集団睡眠だと担任の山形先生から報告があった。
山形先生は生物が専門の男性教諭なのだけど、その先生にも原因はわからないと言っていた。
そして保険医の先生の診断もそうだった。
全員、体調に異常はないとのことだったのだ。
「でも、……なんで一組だけなんだろうね?」
私がそう尋ねた。すると園絵も瞬くんも首を傾げる。
「そこが変なのよね。二組も三組もなんでもないって話だったし」
「ああ。……そう言えば一年生も三年生にもなかったって聞いた」
二人ともそう話してくれた。
「でもさ、なんで、みすずは大丈夫だったんだろ?」
園絵が卵焼きを口に運びながら、そう質問してきた。
「だって、私は遅刻して来たんだもん。その場にいなかったんだから、平気だったんじゃない?」
「そう言えば、そうよね」
「うん」
だけど瞬くんは腕組みして難しい顔をしていた。私は瞬くんの顔を見た。
「どうしたの?」
「……ああ。なんとなくだけど、夢の内容を思い出した。……なんだか化け物に追っかけられていた気がする」
「そ、そう言えば、私もそう。……すごく怖かったような気がする」
瞬くんも園絵も、なにか思い出したようだった。
「……っ!」
私は昨晩見た夢を思い出す。そう言えば、私も悪夢で目が覚めたのだ。
そして内容は二人と同じだ。
……もしかしたら、私はただみんなよりも先に見ちゃったのかもしれない。
そんなことを考えていた。
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私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「いらぬ神に祟りなし ~少子化問題解決します~」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




