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7話 風属性エンチャント

「なるほど、見たところ剣の経験は無いようだがそれでもここまで斬れるとは..」


「自分でもここまで切れるとは思ってませんでしたよ。いい刀をありがとうございます」


「こっちも色々と勉強になったよ。包丁作りにも活かせそうだ。ーーさて最後にこの刀の名前を決めてくれ。号って言ったっけ?特に無いんだったら俺が決めるがどうする?」


「そうですね...一応どんな名前にするか聞いてもいいですか?」


「おう、実はな、これを完成させた時に名前が浮かんだんだ。『アームストロングジェッ..」

「あ、自分で決めます。」


 多分この人はゴリラの漫画家と気が合いそうだ


 名前か......しばらくは愛刀となるのは間違いないのでいい名前をつけたい。名刀の銘から持ってくるか? けどどうせならオリジナルの名前がいいな。


 そういえばこの世界の神話だと闘いの神がノルグリンドで、武器とか道具の神がヘレンテスカだったはず。ここら辺から取るか?


 いや、待てよ。目的から言えば導きの神フラムレシオから取った方がいいか。


「そうだな... 紫汐(むらしお)にしよう。」


「ムラシオ、独特な響きだな?それも日本刀ってやつの特徴か?」


「そんなもんです」


 こうして俺の愛刀『紫汐』が誕生した。


 そしてその日のうちに俺はエンチャントをするために魔水晶を買った。


 魔水晶とは魔素が多く含まれた水晶のことであり、半永久的に使える魔法陣を描くのに必要となる。ちなみに魔法陣を描く際、魔水晶、魔石、魔結晶の順で効率が上がり、同じ魔力を使っても魔水晶だと魔法の約5割、魔結晶は魔法の約十倍もの威力となるとか。


 けれど魔水晶は安価で手に入るが、魔素が長い年月を掛けて固まることで出来た魔結晶ともなると1gで透明貨一枚(約10万円)ほどするので手が出せない。


 今回は魔法陣を刻み込む練習に近い上、後から上書きも出来るので魔水晶を使う。


 最近買ったアパートの一室でまず日本刀をばらす。


 魔水晶を粉状にして油に混ぜてドロドロになった物を魔法陣の形にして刀身の上に置く。


『紫汐』という名前にしたので水属性のエンチャントをしたかったがいい案が浮かばなかったので無難な風属性の切れ味強化と刀身を伸ばす魔法陣を描く。


 魔力供給部を柄のところに来るように配置し終えたら、魔法陣が発動しないようにしつつ刀身を魔力で覆う。そしてその圧を一気に強める。


 『キィーン......』という刀身が共鳴して起きた金属音と共に刀身に魔法陣が定着した。


 とりあえず柄だけつけて魔力を流すと少し金属音がしたのでよく見ると刀身が高速で震えていた。


 本来は刀身の横に空気の層を作って切れやすく、汚れが付きにくくなるだけのつもりだったが刀身の固定が少し甘く、それで意図せず超振動ブレードみたいになっていた。


 偶然ではあるがいい感じじゃないか。ちょっと試し切りしてみよう。と近くにあった紙切れを魔力を通した紫汐で切ってみる。


 切った音すらせず紙が落ちた。


 ちょっと怖くなりながらも次に紫汐を床に置き、その上から紙を落す。


 紙が刀身をすり抜け、地面に落ち、ふたつに分かれた。


 やばい。これはやばい。


 これは日本刀じゃ無いけど蜻蛉切の逸話にある、刃先に留まったトンボが切れたとかいうレベルの切れ味だぞこれ。


 少しでもミスして自分か仲間にでも当たったらそれだけで致命傷になるぞこれ⁉︎


 やばい。これはとんでもない物を作ってしまったかもしれん。


 次の日急いで図書館でこの世界の剣について調べてみる。


 神から授かった神剣とか、英雄がドラゴンを討伐した際に使っていた剣など色々なものがあった。


 いろいろ調べた結果この世界の名剣は特殊な能力を持つ剣であることが多く、味方に強力なバフを与えるとか広範囲に隕石を落とすとか軍事的に有用な剣が有名どころでは多く、切れ味について言及されているものはほぼなかった。


 そういえばそうか、両刃なんだし切れ味が良すぎても困るだけだし、ちょうどいいくらいに抑えていた可能性もあるな。


 まあともかく切れ味に関しては多分類を見ないほどだが思ったほどやばい剣では無さそうだと言うことがわかった。


 結局『紫汐』は普段は魔法無しで使うことにし、いざと言うときにミスをしないよう剣術を修めておこうと決意した。

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