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38話 研究結果

 次の日から、俺から得たデータを元に研究が再開した。


 話を聞いてみると、俺の魔力の変換方式と魔力の巡り方が普通の人とは違うようだ。


 それによって魔力にも少し質の差が出ており、基本的に空間系の魔法に適しているらしいのと、普通より魔力が扱いやすくなっているらしい。


 その情報を元に、未解析だった部分を調べると、対象の魔力の流れ方を測定し、もし普通の巡り方なら機能を停止させるという働きを持っていたのだ。


(こんな機能を付けるってことは、俺のいた世界にこの世界の住人がいくと不都合でもあるのか?


 もしものために俺が帰った後は、この魔法陣は破壊してしまうか、エラミウェディスに頼んで秘匿してもらうかしよう。)


 そこから先の魔法陣の解析は、スラスラと進んでいく。


 エラミウェディスは楽しそうと言うよりか、完全にトリップしているようなテンションで進めているが、見たところ研究自体はしっかりとしているから驚きだ。


 そうしてこのあとは滞りなく進み、数日後には解析が完了した。


「見てください。これがこの魔法陣についてまとめた資料です。あなたの希望ゆえに全体を発表はしませんが、一部の有益かつ直接召喚に関わらない理論は私の発見ということにさせていただくという事でよろしいですか?」


 今回の研究に関して、本来なら莫大な時間と金がかかるところを、エラミウェディスの参加により、こんな短時間で終わらせることができた。


 というかほぼ全てをやってくれたので、研究内容の利権を全て渡すのは当たり前なのだろう。しかし、無理を言って魔力の均一化などの一部の物以外は、秘匿させてもらうことにした。


 彼は研究が出来ただけで満足と言っていたが、本当に申し訳なかった......


「はい。この度はお力添えありがとうございました。理論に関しては本当に申し訳ありませんが、よろしくお願いします。それと魔法陣に関してなのですが、近いうちにミレイユから届けさせるので、保管を依頼したいのですが」


「ええ、いいですよ。ですが、一応理論を秘匿し、魔法陣は保存する理由をお聞きしても?」


「魔法陣に関しては、もう現れることはないと思いますが、もし自分と同じ境遇──、同じ体質の人がいたら、この魔法陣が役に立つかも知れません。何百年も先かもしれませんが、そんな人のために残しておきたいんです」


「ではなぜ一般公開しないのですか? そうした方が効率がいいじゃありませんか。 この技術を全て発表すれば魔法理論は数百年分は進歩しますよ」


(どうしようか、建前だけでも俺が異世界人とは言わない方がいいだろうし......)


「これは憶測なのですが、もしかしたら龍が現れるかもしれないんです」


「それはどういうことですか? 龍なんて私も一回だけ龍の通り道に出くわしただけですよ。その龍とこの魔法陣のどんな関係があるのですか?」


 龍という単語を聞いて、珍しく彼は魔法とは別の意味で興奮していた。


「もしかしたらの話なのですが、少し前に我々が行った世界の外側の探索で、ベランセグ帝国の消滅に関する記述を見つけたんです。詳細は省きますが、龍が滅したようなんですよ。それにベランセグ帝国はこの魔法陣を軍事転用していたんじゃないかと。龍は過ぎた武力に怒っていたような記述があったので」


「なるほど、でもなぜ龍がわざわざ......」


 と深刻そうな顔で何かを考え始めた。


 疑惑程度のことを少し誇張して話してしまったが、もしかしたら誇張しすぎたかもしれない。


「わかりました。そういうことなら時が来れば私が預かりましょう。では私はこれで」


 と唐突に会話に復帰したかと思うと、そのまま彼は去っていった。


 ・・・・・・


 少し違和感のある別れだったが、とりあえず渡された資料を読み込むことにした。


 少し読むと、魔法陣の全体図や構築方法、推定必要魔力まで調べてあった。あとの方には理論について記述されていたが、一部以外は完全にわからなかった。


 しかし、重大な問題もわかった。


 推定魔力量をみると、とてつもない数字が書かれていた。


 俺が時間をかけてもどうしようもない。というか、人間がどうこうできるような数字ではなかった。


 あの場所にあった巨大な魔水晶でもギリギリだったのか。


 この感じだと、あの魔水晶の魔素を吸収する力でも200年以上はかかる.....


 どうしよう、もしかしたら帰れないかも。

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