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37話 回顧

 置き去りにされた後、いくら叫んでも全く反応がなかった。


 しばらく経った頃、


「あ、そういえば転移で逃げられるじゃん」


 とようやく気づき、脱出に成功した。


 脱出した後、解析をしているエラミウェディスの様子を少し見てみたが、怪しげな機械をいじり、何かをずっと呟いているという光景が少し見えた。


 なにあれ、怖っ。見なかったことにしよう。


 そしてその時に気づいた。


 俺、今やることなくね?


 ・・・・・・


 はっきり言って、完全に暇だ。


 今、魔法陣の解析は完全にエラミウェディスの独壇場になっており、メモをみたが、俺には何もできない領域での考察がなされていたので手伝うことすら出来無さそうだ。


 そして、古代語もわからないので、マニの手伝いもできない。


 さらに、今はエラミウェディスのお陰で、近いうちに帰れる見込みがだいぶ増えたので、冒険者として命を危険に晒してまで稼ぐ必要は消えた。


 そうなると、今俺にはやることが無い。


 そういえば日本にいた時は、こんな時どうしてたっけ?


 受験期は勉強があったから、そんなことは無かったけど、それ以前なら何回かあったな。


 そんな時は特になにもせずにゴロゴロしてたら、いつの間にか一日が終わってたなぁ。


 あの頃は何かに打ち込むわけでもなく、なあなあに生きていたからこそ、時間が早く感じたのかな?


 今だと、素の世界へ戻るために休み方を忘れるほどに必死だったのか。


 この世界の日常は、危険もあったけど楽しかったなぁ。


 最初は一人で頑張ろうとしてたけど、ミレイユやマニ、エルカガンスがいなかったら今頃死んでただろうし、魔法学校の先生にも世話になった。


 そういえばあの雑貨屋のおっちゃんも元気にしてるのかな?


 紫汐を作ってくれた鍛冶屋さんも今はここまで名が届くようなブランドになっようだし。


 異世界に来てからの一年ちょっとは、多分これからの人生でも一番濃密な物になるんだろうな。


 そんなことをぼんやりと考えていた時に、お腹が空いたので時計を見ると、夕食にはまだ早い時間だった。


 一人暮らし状態だった時は適当に夕食を済ませていたが、ミレイユが戻ってからは夕食もしっかりしたものとなっていた。


「そういえば今日は俺が担当だったな。少し時間をかけてビーフシチューもどきでも作ろうかな」


 材料あったかなぁ?と思いつつも俺は台所へ向かった。


 ・・・・・・


 じっくり時間をかけて、崩れる寸前レベルまで煮込んだ肉と完全に崩れてスープと一体化した玉ねぎの旨味を出したビーフシチューに、カリカリに焼いた硬めのパンを添えた夕食にした。


 「お肉が柔らかくて美味しいわ。後でレシピ教えて?」と嬉しい評価や「いいですね。噛まなくてもすぐ飲み込めますね」という少しずれた感想もあったが、時間を掛けただけあって高評だった。


(うちはフランスパンを合わせてたけど、ご飯も合うから欲しくなるんだよなぁ)


 と少し米が恋しくなったが、それももしかしたら数日で叶うのかと思うと嬉しくもあるが、少し寂しくもあった......

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