35話 魔法バカ
魔法陣の解析を再起してはやニ週間、
「何の成果も!得られませんでした‼︎」
とミレイユの前で言う俺がいた......
・・・・・・
解析を再開した当初は、集団転移の魔法陣の知識も手に入れたので、それが活きて進展が生まれると思っていた。
しかし、魔法陣に描いてあったものは、そんなちゃちなものではなかった。
別の世界から物質を取り寄せるのだから、もちろんずっと難しいのは当たり前だ。
けれど、その魔法陣には転移のような部分はあるが、それは3層あるうちの、一層目のほんの一部だけなのだ。
さらに、その部分でさえ時代の違いなのか、だいぶ記述方式が違うのだ。そして、もちろんそれ以外の部分に関しては、どんな機能なのかも分からない。
実験をしてみようにも、馬鹿みたいに魔力を食う上、物がモノだけに時空に穴を開けるとかいう重大な事故が起きそうで怖い。
この街の図書館で魔法陣に関する資料を見ても、ほとんどが載っていない。
そうこうしているうちに、二週間が過ぎて、ミレイユが故郷から戻ってきた。
そうして、冒頭の場面に繋がる。
「まあ、予想はしていたわ。栄華を誇ったというベランセグ帝国の軍部が長年研究していたくらいでしょう? 個人が1ヶ月で解読出来るものじゃないわよ」
と言ってはいたが、少し悔しかった。
「けど、そうなると思って、手紙を出しておいたのよ。魔法学校の先生に、そのツテの人は居ないかってね。そしたらね、何とあのエラミウェディス先生が来てくれるそうなのよ!」
「え、誰その人?」
「え?」
「え?」
「......教科書とか書いている、魔法理論の権威よ。転移の再現にも関わってたのよ。やっぱり、子供時代がないとこういう常識って身につかないものなのね」
と呆れた目で見られた。
(そう言われてもなぁ。けど、そういえば参考にした本にその名前があったような?)
・・・・・・
という会話から数日後、
「はじめまして、エラミウェディスです」
「はじめまして、ユーヤというものです。この度は、魔法陣の解析への協力誠に感謝したします」
「いえいえ、私がどうしても調べてみたくなっただけですから」
と、男性のエルフであるエラミウェディスがあいさつに来た。
見た目は40代くらいにしか見えないが、今200歳オーバーらしく、その有り余る時間と魔法への誰にも劣らない好奇心によって、長年魔法界を牽引してきた人だ。(wiki参照)
彼の言っていること自体は謙遜のように聞こえるが、目線は後ろにある魔法陣の刻まれた石板にしか向いていないことから、マジのようだ。
「さっそくですが、この石板を見てもらいたいのですが」
というと、彼はメモすら取らずに解析を始めた。
ぶつぶつとなにかを呟きつつ、じっと動かずに見ていること一時間、
「すごい! すごいですよこれ‼︎ こんな魔法陣見たことがない! ワクワクしますね! 解析のしがいが有りますよ」
とハイテンションで喋りつ出したかと思うと、今度は猛烈な勢いででかい紙に何かを書き出した。
文字のようだが、全部が筆記体のようにつながっていて見たことがない。
後で聞いたところ、エルフに伝わる言葉のだったらしい。
そうして、彼は完全に自分の世界に入りつつ、夜中まで解析をしていた。




