33話 臆病
2日後、十分な人数が集まり、作戦会議が行われた。
まずリーダーは、冒険者の中でもトップクラスの強さを誇るザルシュ・レイスというオールバックにした白髪混じりの銀髪が似合うシルバーエイジの男性に決まった。
そして、侃々諤々の議論の末、鱗によって魔法も物理攻撃もあまり効かないと推定されている大蛇に少数精鋭で一部の鱗を剥がし、そこと鱗の少ない顔への集中砲火を遠距離から行うこととなった。
その後、メンバーの得意な魔法などを考慮して、配置や分担を決める。
俺はレーザーの特性から、遠距離から顔を狙うチームとなった。
そして百名を超えるメンバー表を見ていると、魔法学校入学時にいた、オレンジ髪の少年のウェルズ・ギルバートンとペトロフという獣人のペアもいた。
(場所は離れていたけど、当日会うこともあるかも知れないな)
その3日後には百名を超える討伐メンバーが集結した。
ザルシュの激励で締められた後、2人を探してみると、すでに2人は所定の場所へ向かい始めていたようなので特に声をかけることなく、俺も担当の場所へ行った。
そして待機すること一時間。
湖の辺りの木々を倒しながら、やつは現れた。
直径10mはあろうかという太い体にびっしりと並んだ青っぽい鱗は、次々と模様が変わり、その全長はうねり、木々にに隠れて分かりにくいが、おそらく一キロ以上はあるだろう。
大蛇を誘き出すポイントからは500mは離れているが、そこからでもその巨大さに目が違和感を覚えるほどだった。
そして、作戦が開始された。
まず、少数で体に取り付き、重要な内臓に近い部分の鱗を剥がす。
しかし、それを大蛇が何もせずに見守るわけもなく、その巨体をうねらせ、振り落とそうとし始めた。
その振動がここまで伝わってくる。
そんな中、俺たちの仕事はまだ待つことだけだった。
少数精鋭だけあって、全員が空を飛び、振り落とされるような者はいなかったのだ。
そして鱗が剥がされ、離脱を確認を確認すると俺たちの仕事がやってきた。
3方向から顔面、特に目を狙った狙撃を行う作戦なので、合図と共にレーザーを放った。
派手な魔力弾や、岩、炎なども一気に顔面へ集中砲火され、煙に包まれる。
そしてその隙を逃さず、鱗のない部分へ集中砲火が行われる。
一発一発が皮膚を破り、血を噴き出させt確実にダメージを与えている。
そして辺りが土煙に包まれるが、誰しもが後一押しで勝利を確信していた。
しかし、土煙の中から片目が潰れた蛇の頭が、見えた。
その顔はボロボロだが、その無機質な瞳は冒険者たちを一通り見た後、こちらを見ていた。気のせいではなく、確実にこちらを見ている。
そして、大蛇は一瞬で行動に移した。その傷だらけの巨体にも関わらずものすごい速度でこちらへ向かってきたのだ。
魔獣の最大の特徴。魔力での身体強化をしたのだ。
進路上の人たちはすぐに避難を開始したが、一部の冒険者は間に合わず、押し潰されていた。
こちらを見ている。それだけで恐怖を感じた。もしかしたら最初の攻撃をした俺たちから狙っているのだろうか。
そんなことをやけにゆっくりした時間の中で考える。
直感はすぐに逃げろとうるさいが、体は恐怖で竦み、動けないでいた。
そしてその巨大な顔があと30mというところまで来た時、体が動いた。動いてしまった。
俺はその場にいる4人を残して、1人転移で進路外へ逃げてし待ったのだ。
直感的なものだった。
気がついた時には転移のエンチャントをした靴に魔力を流してしまったのだ。
そして、あの場にいた人が食われる様を見ることになってしまった。と思っていた。
しかし、食われる寸前に誰かが転移で4人を連れて転移をして去ったのだ。




