31話 噂
「食料と水は予想より多いペースで消費している。この調子だと、明日には帰り始めないと、水はなんとかなるとして、食料が足りなくなる。
明日にはあの魔法陣の解析をしたいが、半日では終わらないので、データだけ取って、ソラクェル公国で解析をしていきたい」
「それがいいわね」
「異論はない」
「分かった〜」
と賛成を得られた。
次の日、朝からあの魔法陣が刻まれていた石板を調べる。
魔力は無くなっていたが、魔水晶の痕跡はあったので、それを辿って魔法陣の全体像を探る。
調べて分かったことだが、この魔法陣はとんでもない密度を誇っている。
5メートル四方にびっちりと敷き詰められているのだ。
しかし、それだけでは魔法陣として成立していなかった。
もしかしたら他の石板と組み合わせるのかもしれないと考えたが、この石板の側面をよくみてみると、3層構造になっており、それぞれに魔法陣が刻まれていた。
そして、魔力の供給源は人間の魔力ではなく、あの巨大な魔水晶になっていた。
魔水晶に刻まれた魔法陣もあらかた写し終わった頃に正午となったので、昼食を手早く済ませて、すぐに出発した。
境界線を目指して進んでいるとふと思った。
「そういえばこの結界内では魔獣に会わなかったな? 魔獣よけの結界も効力は失ってるだろうに」
「そういえばそうね。何か近づけない理由でもあるのかしら?」
と話していると、エルカガンスが、
「そういえば昔の噂にここの地下に龍が眠ってるからとかいう噂があったな」
「龍が?」
「ああ、随分昔の時、まだこの国が滅んで何十年かした頃に地震があったらしいのだ。
そしてこの地に魔素が無かったことや、不自然に魔獣がいないことも相まって噂が錯綜した結果、龍がいるなんて噂になったのだ。
しかし、あの記録を見てからは荒唐無稽とも言えなくなったが」
(そういえばここにも地震があったのか)
こんな会話をしながら少し緩めの雰囲気で進んだが、問題なく目的地についた。
そして俺に肩車されながら、読んでいた本についてマニがすごいアピールをしてくるので、それを聴きながら夜を過ごした。




