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30話 天井破り

 夕食を食べ終わる頃には話しているうちに少し心の整理が出来たのか、昨日の少しギスギスした空気は無くなっていた。


 あれから調べたが、アテボの中には特に何もなかったので本入れと化した。とりあえずアテボのおかげで、荷物の問題は解決したので、朝から探索を続ける。


 マニは本をいつかの図書館での速度を遥かに上回るハイペースで本を読んでいる。


 古代語なのにすごいな。


 そして手記や日記に書いてあった情報を元に推察すると、軍の施設があった場所に召喚の魔法陣もあるようだ。


 軍の施設の場所も推定できたのでマニには結界を張って地下室に居てもらい、俺たちはその場に行ってみる。


 歩くこと20分、その場所に着いた。しかし、そこにあったのは何もない平地だった。


(ここは気分が少し楽だな。魔素が薄いのか?)


 建物があった痕跡はあったが、地下へつながる道はなく、手がかりは無くなってしまった。


 けれど、ミレイユが何かに気づいた。


「ここ、ほかに比べて魔素が薄いわよね。もしかしたら、魔素を吸収するエンチャントがされた、魔水晶があるのかも」


「たしかに。もし魔力を使う兵器を開発してたなら魔力を自動で集めてくれる装置は便利だろうからな」


 そこで、集中して魔素の流れを読むと、一箇所に集まるような流れが、ある地点の地下に向かっていた。


 そこの近くを掘ってみると、地下通路に出た。


 そこは、何故か明かりがついており、空気も澱んではいなかった。


 不思議に思いつつもその地点に向かっていくと、ある扉に着いた。


 扉は銀行の扉のように巨大で、分厚く、見たところダイアルも何もないので魔法で開けるみたいだが、どうすればいいかは全く分からない。


 少なくともこの部屋は軍の重要なものだったのだろう。


 力技で開けようにも、エルカガンスの一撃でも傷がついた程度で破れる気配はない。


 最大威力の魔法なら開けられるだろうが、地下では使えない上、最悪部屋の中も破壊してしまうので使えない。


 3人であれこれ悩んだが、方法は浮かばない。


 一旦諦めて帰ろうと地表に戻る時、閃いた。


「そういえば、通路の天井は簡単に壊せたんだから、あの部屋の天井も壊せないか?」


「「あ」」


 早速行動に移す。


 竜を倒した時みたいに、ミレイユのバフを受けた俺とエルカガンスの攻撃を同時にやってみる。


 案外脆かったのか、天井に触れた瞬間、大きくヒビが入り、次の瞬間には天井は完全に破壊され、俺たちは落下した。


 ・・・・・・


「いてて、思いつきだったけど簡単に壊れたな」


 ミレイユが上から覗き込みながら、


「結構落ちたみたいだけど、大丈夫?」


「大丈夫だ」「問題ない」


 とそれぞれ答えると、ミレイユも降りてきて瓦礫をどかす。


 すると、そこにはミレイユの予想通り、巨大な魔水晶があった。自動で魔力を貯めるようだが、触ってみたところ、大した量は入っていなかった。


(この調子で500年も動かしていたら、もっともっと集まっているはずなんだが......)


 と思いつつも他にも調べてみたところ、何と部屋中に魔水晶から魔力を伝える管が張り巡らされていた。


 今までは魔力は直接一つの魔法陣に流し込むしかなかったのが、これによって使い方に色々バリエーションが出そうだ。


 そしてこのコードは廊下の照明や換気にも繋がっていたが、重要なのはそれらで消費する魔力量は生成する量よりだいぶ小さいことだった。


 巨大な魔水晶の魔力量はどんどん増えている。しかし、このペースでも限界になるのは数百年かかりそうだ。


 そして、問題の召喚魔法陣だが、その部屋には魔法陣だった物があった。


 その部屋の床に魔水晶の横に設置してあった5m四方ほどの石板にエンチャントされた形跡があった。


 しかし、魔水晶は魔力が完全に抜けて、意味を成さなくなり、天井の崩落で少し欠けてしまっていた。


「すまん、俺が天井破壊しようなんて言ったから......」


「たしかに今考えると早計だったな」


「けど、止められなかった私たちも悪いわ」


 と悔やんだが使えそうにない。


 他に資料が無いかを探したが、紙一枚すらなかった。


 他の部屋も探しているうちに夕方になり、この日は探索を終えた。


 そして夕食後、


「残念だが、探索は明日の午前で終わりにする。午後からは結界の境界線に向かう」


 と宣言した。

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