29話 アイテムボックス?
特に罠はなく、一つの部屋に着いた。
そこは今までに比べて広く、劣化もなかった。
そして壁一面に戦利品が展示されるかのように並べられていた。
そのどれもが今なら国宝級と言えるであろう代物であり、その中でも特に3つ重要そうに飾られているものがあった。
一つ目は現役時に使っていたであろう鈍い金属光沢を放つ槍があった。
(槍といよりか、ハルバードだったかな?)
持ってみるととてつもなく重い。20kgはあるぞこれ。
身体強化をしてやっと動いせるくらいだ。エルカガンスなら使えるかな?
二つ目は小さな青く光る石だった。
これだけ聞くと飛行石みたいだが、実際は透明なキューブの形をしている。
(これなんだろう? 魔力を感じるけどそれ以外はわからない)
不用意に弄るのは怖いのでしまっておく。
最後はずた袋のようなものだ。
(もし、魔法のある異世界ならお約束はアイテムボックス的なやつだが......)
袋は見た目の割には重く、相当な魔力を感じる。
一息ついてから開けてみる。
しかし、何も入っていなかった。
袋の中は完全に暗闇で中が見えない。適当なものを入れてみようとするが、何も入らない。
「嘘だろ....... ニッタにしか使えないのか」
目の前に、あのアイテムボックスが、超絶便利アイテムがあるというのに......
ショックでしばらく意気消沈していたら、ミレイユが入ってきた。
「何かあったの? 出てくるのが遅いから心配したじゃない」
「ごめん、なんでもない。収穫は色々あったから運ぶの手伝ってくれ」
「わかったわ」
部屋にあった物のうち、重要そうなものとかさばらないものを運び出す。
使うことはできないが、諦めきれないのでずた袋も持っていく。
そして、熱中しているマニ以外の3人で何往復かしてアーティファクトと本、魔石などを運び出した。
まずハルバードはエルカガンスに渡してみると、
「おお! 何という切れ味、さらに重さ、重心、リーチ全てがちょうどいい! おい、ユーヤよ、本当にこれをもらってもいいのか? 売れば透明貨5枚以上は確実だぞ」
「ああ、そこまでお金に困ってないし、武器は使われてこそだから」
「感謝する」
と感謝された。ハルバードを振る姿は、重さに引っ張られることなく、完璧に扱っていた。
さらに、効果は確認できていないが、エンチャントまであるようだからすごい。
昔の冒険者はこんなすごい武器を使っていたのか。
そして本はマニに見てもらい、本当に重要な数冊のみに選別してもらい、後は置いていくつもりだったが、
「それも、これも、あれも全部大切なの!」
と全ての本を持っていくと言って聞かなかった。
全てとなると嵩張るし、ゆうに100kg超える。
そんな量は持ち運べない上、ここで読み切るにしても食料の問題で時間が足りない。
(こんな時にアイテムボックスが使えればなぁ)
とさらに落ち込むことになった。
そんな時、
「ねえ、その袋ってもしかしてアテボじゃない?」
「アテボ? なにそれ?」
「知らない? ケルネスが持ってたとされる、なんでも入る袋よ。 現物は消えたって話だったけど」
「じゃあそれだな。 けど使えないみたいなんだ」
ミレイユにアテボとかいう名前のずた袋を渡してみる。
ミレイユが少しいじっていると、
「あら、私使えるわよ」
「・・・・・・え?」
「普通に使えたわよ。そういえば母方の遠い祖先に転移の冒険者と繋がってるという噂は聞いたことがあったのだけど」
マジかよ。
母方ってことは、ケルネス、サキュバスに引っ掛かったのかよ。
なんかイメージがだいぶ崩れたんだが。
ケルネスのイメージがダウンしたが、アテボ自体はすごく便利だった。
時が止まるとか、無限に入るとかでは無かったが、100kg近い本を全て入れることができ、重さもあまり変わらなかった。
仕組みはどうなってんだこれ?
空間魔法のエンチャントを掛けたにしても、空間が見かけより広すぎる。
夕食を食べながらミレイユとアテボの仕組みについて語ってみるが、結論は出なかった。




