27話 手記
「これを読めた者は私と同じ世界から来たものか、その意思を継ぐ者だろう。
今、私はもう少しで死ぬ運命にある。よってここに後続の者たちへ向けて必要な情報を記しておこう
まず、私は西暦1982年に生まれた日本人の新田俊徳という者だ。
そして2018年にこの世界の住人に召喚された。
このベランセグ帝国で世界の外側と呼ばれる地から手に入れた召喚の魔法陣を極秘で再現し、実験したところ俺が召喚されたらしい。
最初は色々と困惑し、早く返してくれと訴えたが、返す用の魔法は出来ていないと言われ、代わりに召喚魔法から着想を得た、軍事用魔法の一種である転移という魔法を教えて貰った。
最初は永久に秘匿されると思っていたが、色々と検査をされ、魔力への親和性が高い以外は普通と分かり、口外を禁止する契約をしてから解放された。
そこからは冒険者として生活し、途中で赤子を拾い、その子をケルネスと名付けて育てることにした。
ケルネスは才能に溢れ、教えたこと以上を学ぶ子だった。
転移の魔法も教えるつもりは無かったのに、私が使う魔法陣を解読し、いつの間にか自分の物にしているほどだ。
ケルネスが一人前の冒険者となった頃に研究者から帰還用の魔法陣の研究が済んだという連絡が入ったが、この世界を気に入っていたのでそれは拒否した。
その後はここで老後をゆったりと過ごすつもりだった。
しかし、そんなある日、龍が現れた。
漆黒の龍。伝承のみだったが、すぐに分かった。大気中の魔素どころか体内の魔力や魔法陣の魔素も全て持っていかれた。
いるだけで国丸ごと行動不能にしてしまう龍を前に誰も何も出来なかった。
《即刻武力を放棄せよ。さもなくば滅ぼす》
威厳のある声でそれだけ言って龍は去った。
武力解除 この国は武力を用いて戦争を仕掛けるつもりだったのかもしれない。
そしてその3日後、つまり今日
《明日に滅ぼす》
と言い、去った。
国境にはバリアが出現し、行き来は出来なくなっていた。
これがこの文章を書くに至るまでの経緯だ。
さて、これから私の知り得る情報を全て書いていく。
まず、世界の外側についてだが、その成り立ちは今から100年前、召喚された異世界人の知識によって生み出された兵器を巡った世界大戦に激怒した双龍が中立を示していた北方の諸国以外を兵器ごと更地に変えたこと由来する。
また、その召喚魔法の技術はとある天才魔法学者が一人で生み出したモノであり、現在その当時の実物以外稼働しているものはない。
そしてこの世界の神について──
」




