24話 廃墟
竜のブレスは魔術と呼ばれる、一部の魔獣にのみ許された、体に刻み込まれた魔法陣によって発動されるものの一種だ。
しかしブレスは大量の魔力を使う最後の必殺技のようなものなのでブレスの後は無防備になる上、喉が焼けてしまうという弱点がある。
とは言ってもブレスを使えば余程の格上以外は蒸発するので弱点とは言えないはずだった。
けれどアーティファクトというズル技とも言える方法で凌いだ俺たちにとってそれは大きなチャンスとなったのだ。
「このために身体強化を使わなかったのか」
「そのおかげで命拾いしたわね」
と会話しながらこの隙を逃さないように紫汐に魔力を流しつつ、赤熱している地面に触れないようにバリアのうえを進み、接近する。
狙うは焼け爛れた喉!
ミレイユからのバフを受け、勢いをつけた俺とエルカガンスの最大威力の攻撃が同じ場所に炸裂する。
俺の紫汐が脆くなったウロコごと肉を切り、エルカガンスの両手剣が骨を断つ!
──ドスンと竜の首が落ちた。
・・・・・・
「長年冒険者やってるが竜を討伐したのは初めてだ」
「マニのアーティファクトがなかったら死んでましたけどね。」
最初はこんなのを1人でアーティファクトもなしにやろうとしてたのか......
仲間がいてよかった。
「ところでこの竜の素材どうするか? 首から上が使い物にならない上、魔石も魔力はすっからかんだろうがそれでも竜だ。高値は間違いない」
「運ぶ手段も保存する手段もないのよ。もったいないけど魔石以外は諦めるしかないわ」
「そうだがなぁ。 諦めるには惜しすぎないか?」
「今から戻るにしても間に合わないから無理ですよ」
「そうか......」
エルカガンスがだいぶ残念そうな顔をしている。普段無口だからわかりにくいが、案外俗っぽいとこもあるのか。
「今回は諦めましょう」
そう言って30cmはある魔石を回収して後は火魔法で燃やしておく。
竜という強敵が現れた以降は特に問題はなく進み、明日には着けるという距離までやってきた。
するとこの辺りから何故かただの荒地ではなく、廃墟の残骸のようなものが見えてきた。
廃墟はコンクリート製の建物が原型を所々かろうじて保っているほどに風化し、その上に淡く光る苔が生えていた。
また、廃墟と荒地との境界線は見てわかるほどにはっきりと直線になっているのだ。
マニに聞いてみると、
「う〜んとね、この都市には都市丸ごと覆うような防御壁があったの。けど、それ以外が魔獣によって破壊されて帝国は滅んだの。そのあとは防御壁も消えて風化したのがこれなの。」
という事らしい。つまりこの線は防御壁のあったラインの名残だったのか。
そしてこの日は丁度いいので大きめの廃墟の下でエルカガンス特製の男メシを食べてから眠った。




