23話 竜と龍
竜は強さによって色が変わる。
赤、青、銀、金、虹
の順で強くなる。
元は冒険者の間で竜の鱗を加工して作ったものが元と言われている貨幣の色もこれに合わせてある。
そして最後に残った透明。
透明は伝説の龍を表している。竜ではなく龍。全ての竜の祖であり、雲の上に暮らすと言われ、その姿は純白とも漆黒とも言われるが、最大国家ヴェニゴランの王宮には龍の鱗があるらしく、その鱗は透明だと言われている。
また、龍の強さは凄まじく、一部の学者は世界の外側が更地なのは、龍に対して友好関係を結んでいたここ以外を滅ぼしたからと主張するほどだ。
それと龍は大量の魔素を必要とし、龍が通った後は大きな規模な魔素がない空間が出来るほどだ。
逆にその現象に龍という虚像を貼り付けたと主張する人もいるが実在はするらしい。
それはともかく、赤竜も最弱とはいえ世界の頂点に立つような龍の子孫。もちろん人間が魔法無しでどうこう出来るレベルじゃない。
そんな竜と相対してるわけだが、戦局は不利だ。
設置した罠はあまり意味をなさず、巨体ゆえか攻撃が遅いのでこちらは無傷だが、こっちの攻撃はあまり効いていないのでジリ貧の状態だ。
さらに、この赤竜は身体強化を使っていないのだ。
通常、魔獣は魔法を使うことはできない。だが魔獣に魔石という器官があるほどに魔獣の体は魔力への親和性が高い。
それゆえ魔力を多く循環させるだけで身体強化と同じことが出来る。それが魔獣が危険視され、討伐対象となる理由だ。
身体強化は人間より遥かに強い竜が遥かに大きい倍率で行うともはや天災となってしまうからか、自分の体がイカれるからか竜も命の危機にならない限り使わない。
しかし今この状況ではいつ使ってもおかしくはない。
そんな状況で倒すにはすぐさま倒すべきだったろうが、魔法以外ではそこまでの火力を持つメンバーはいない。
そこまで考えた時、竜が動いた。
息を大きく吸いつつもその無機質な目はこちらを捉え続けている。
龍のブレスだ。
「マニ! アーティファクトを!」
そう指示して先頭のエルカガンスに盾を構えてもらい、その後ろに縦に並び、一番前にマニの持つ最強の防御系アーティファクトを起動してもらう。
魔素が集まり、高密度なバリアのようなものが出来る。
そこの竜のブレスが炸裂した。
視界が真っ白に染まり、前方からは焼けるような熱さを感じる。
体感では長い時間が立つ頃にやっと勢いが衰えてきた。
ブレスが止む頃にはバリアの後ろ以外はガラス化した地面と、息も絶え絶えの竜がいた。




