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16話 赤色

血の出るシーンがあるので苦手な方はご注意を。

 仕込み杖を研ぎに出し、とりあえず軽めの依頼を受ける。


 ミレイユとの連携は出来ているが、マニと一緒に行動するのは初なので、俺たちは守りながら戦う練習を、マニは戦闘に突入しても慌てない訓練として討伐に行く。


 場所は壁近くの森の中、狼のような姿のヴァストウルフの討伐だ。人員は俺たちともう一人、まだ冒険者装備が似合っていない新米感のあふれる人との共闘になった。


 森の中、三人でマニを囲むような陣形で進む。


 目視で周りの警戒をしつつ目撃のあった地点まで来た。


 そこには木に引っ掻き傷がある程度で魔獣の気配は無かった。


 そこで傷が続く方向、壁の方へ進む。


 それが失敗の始まりだった。


 今思うと何故ここで傷の大きさが違うことに気づかなかったのだろう。


 何故魔法で探知をしていなかったのだろう。



 何故............


 ・・・・・・


 進むにつれて漂う魔素が濃くなっていく。


 魔素が濃いと魔力の回復量が増えるが、濃すぎる魔素は澱んだ空気のように気分が悪くなってくる。


 そんな状態で森を進む。


 すると視界の右端に黒いものが木の間を通り抜けるのが見えた。


「右だっ!」


 バッとそちらを振り向きながら言って警戒する。


 するとヴァストウルフもこちらに気づいたのか、『ウォーーーーーン......』と遠吠えをする。


 その隙を逃さず指鉄砲の形を作り、遠距離装備の手袋に魔力を流す。


 音もなく、不可視のレーザーが指先から照射され、ヴァストウルフの毛皮を焼き、肉を焼き、心臓を貫通した。


 ミレイユはため息を吐き、新米の冒険者は何が有ったかも分からないまま討伐が終わった。


(しまったな、連携の訓練のつもりだったのに倒してしまった。)


 なんて考えていた時だった。





 マニの左腕が飛んだ。











 ............は?


 一瞬思考が止まる。


 やけにスローモーションで腕が、血が、飛んでいる。


 そしてその近くにいた、新米冒険者が剣を構え、動き出すも軽々と吹き飛ばされるのも見ていた。


 見ていただけだった。


 そこには先程のヴァイトウルフより一回り大きく、漆黒の毛で覆われた体に、その殺意に塗れた目と右前足だけが赤色の魔獣がいた。

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