15話 装備新調
獣王国ヴォルフガントは多神教の国が多いなか、繁栄の神テアドロムのみを信仰している。
その理由はずっと昔、初代の獣王が繁栄を願い、その暁には祈りを捧げると宣言し、その王は一代で大国を築き上げ、国教をテアドロムを信仰するものにしたことにある。
それ以来の信仰の賜物か、この国は数多ある国のうち3番目に栄えた国となり、その地位を確立してる。
そんな国の教会は初代の頃からずっと変わらずに在り続けていた。
・・・・・・
教会が見えてくると、俺もミレイユも言葉を失った。
歴史を感じさせるとか、人が多いなとかそんな感想が出てくる余地が無いほど美しかった。
優美な曲線が建物の輪郭をなし、純白の壁面は繊細な彫刻とともに神秘的な印象を与え、ステンドグラスがそこに色を添える。
そしてその頂上には繁栄の神テアドロムのシンボルマークがあった。
神のための建物だと一目でわかる神々しさ、獣人の祈りが伝わってくるようだった。
教会の中に入るとそれまた凄かった。
入ってまっすぐの壁にはテアドロムを象った彫刻があり、そこに側面からの光が漏れている。
等間隔で装飾の施された柱が並び、天井には何の魔法かそのまま神界へと繋がっていると錯覚するような流れていた。
教会内には獣人だけでなく、観光客と見られる人も多くいたが、教会内には声どころか物音すらない。そうさせるだけの何かがあった。
祈りを捧げ、教会を後にしてからもしばらくはお互い無言のままだった。
本来はこの後時間が有れば他の場所も観光するつもりだったが、今日はもうこれ以上感動出来る気がしなかった。なのでこの日は早めに寝ることにした。
次の日、ミレイユと共に大図書館へ行きマニを待った。
少しするとマニがやって来たので、近くの個室のある店に行き、今後の予定を詰めた。
「マニも観光する〜」
とのことなので観光一人を加えて続けていく予定だ。そして獣王国は明日に立ち、次の国、冒険者の国とも呼ばれるワントへ行くことになった。
ちなみにマニが大学で専攻していたと言う歴史学について少し聞いてみると、
「まずここはね元々はレクシオンという国だったの。そしてね、600年前に分裂して今の国になったの。その原因は文献に残って無かったけど、世界の外側の遺跡から......」
と言った感じで普段のゆったりした喋り方から一変、少し早口で喋るようになった。
これが俺だったらオタクと言われるのだろうが、可愛いネコミミ少女がやるとより可愛く感じるのは何故だろうか? まあカワイイからいいか。
それにしても何で歴史書がないんだろう? 話を聞いていると残せるだけの文明はあったはずなのに。
まあ俺が考えても仕方ないか。
そして次の日、朝から電車に乗り、その日の夜になる頃にはワントの中心街に着いた。
取っておいた宿に行き、マニはミレイユに託してこの日は寝た。
次の日、まず依頼を見に行く。この国は世界の外側と面しており、壁はあるが魔獣の討伐依頼が絶えないことからここに居つく冒険者は血の気が多く、ここはケンカの絶えない治安の悪い国となっている。
そんな国だが、冒険者へに待遇は厚い。
魔獣の討伐が無ければいつかベランセグ帝国と同じ道を辿るのと、冒険者の装備など高価な消耗品の供給や魔獣の素材の売却が主要な収入源となっている国だからだ。
とりあえず俺たちもここで最終装備を整える予定なのでお金を稼ぐ必要があるので依頼を確認。
基本的に討伐依頼は種族名と危険度から自分の適正かを調べるのだが、全体的に危険度が高いうえ、数が多いからか数人のみで討伐するらしい。
受けられないわけでは無いが、今までのように無傷とはいかないだろう。
そこでミレイユとマニの装備も整えることにする。
マニはもちろんだが、ミレイユもそろそろ一段階上の装備を買うべき時となっていた。
まず、マニにはサイズの合うレザーアーマーを買う。幸い、いくつかあったのでマニが気に入ったやつを買う。
そしてミレイユは魔法主体で万が一のためナイフだけ、というスタイルなのだが世界の外側だと通用しないとも言われていた。
そこで比較的簡単に扱える近接武器を探すのだ。
しばらく探すと業物の槍を見つけたが、これは女性が扱うには長すぎた。
そしてまた探しているとミレイユがある杖を持ってきた。
「この杖ならいいんじゃない? 先輩から近接戦闘の一部として棒術を習っていたのよ。」
その杖は少し短めで持ち手には金属の装飾がなされていた。
持ってみると杖にしてはやけに重い。
もしやこれは仕込み刀では? と思い、よく見てみると魔法陣を発見。魔力を流すと杖の側面が開き、剣が出てきた。
その剣は流石に錆び付いていたが、研ぎに出せばなんとかなるだろう。
「これ仕込み杖だな。どうする? この剣使えそうか?」
「うーん、使ってみなきゃわからないわ。けど軽くて振りやすいとは思うわ。」
「じゃあこれにするか。最悪剣が使えなくても杖とては使えるしね。」
ということで装備は整った。
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