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紹介

僕の家へと向かう道すがらリリィに今後のことを聞いてみた。


「ところでリリィは王都では何をするつもりなんだい?一応しばらく2人養うだけの蓄えはあるけれど、リリィはそういうのはあまり好きじゃないだろう」


僕の妹は見た目どうりしっかりしていて、幼いころから貸し借りという話も聞いたことがなかった。

なので、身内とはいえ生活が僕におんぶにだっこということはまずないだろうと思っていた。


「あれ?ここに来る前のお手紙に書きませんでしたっけ。私2週間後の王立大学の試験を受けるつもりなんです」


。。。??

いまこの妹は何て言った?王立の大学?聞き間違いか?

王立大学といえばこの国で唯一の大学で、毎年倍率は途方もないほどに高かったはずだ。


「...受かる見込みはあるのかい?」


あまり無茶なことを言わないとは知っていてもつい聞き返してしまうほどにそれは驚くべきことだった。


「はい。」


リリィは即答した。


「これでも私は高学過程を飛び級して2年で卒業しているんですよ」


これも初耳だった。

この王国では小学過程、中学過程、高学過程、大学過程がある。

小学過程は子供が受けるべき最低限の共用とされていて、通うのは義務とされている。金銭的問題がある場合は王国が援助もしている。

中学過程からは通う義務もなくなり、学費も自己負担となっている。

僕はリリィには将来やりたいことをできるようにしてやりたかったので中学過程までの学費は祖母に渡してあった。

しかし大学院に入るには最低限高学過程の卒業認定が必要である。


「高学過程の学費はどうしたんだい?」

「私、学力はかなりあったので中学過程の成績を鑑みて特待生をいただけたんです」


誇らしげにそういうリリィはまだ少しだけ子供っぽさがあり少し昔を思い出して懐かしくなった。


「そっか。僕がいなくなってから頑張ったんだね」


僕がそういうとリリィは今日一番の笑顔で「はい!」と言った。

そうこうしているうちに家に着いた。


「ここがお兄様のお家ですか?」

「そうだよ、本当にただの一軒家でガッカリしたかい?」


苦笑いしながら僕が言うと


「そんなことはありません!むしろお兄様1人で暮らすのに思ったより大きいと思ったくらいです」

「ああ、その辺の理由は中に入ってからゆっくり話そうか」

「わかりました」


_____________________________________________________________


ひとまず帰宅した僕らはリビングのテーブルにリリィを座らせて、僕自身はお茶と簡単なお菓子を準備してから妹の向かいに腰かけた。


「お飲み物、ありがとうございます」

「口に合えばいいけど......」

「とてもおいしいので大丈夫ですよ!」


力強くそういう妹に少し苦笑いしながら僕は「良かった」と言った。


「それでお兄様、なんでこんなにお家が大きいのでしょうか?」

「ああ、それはね」


ガチャリ

僕がここまで言いかけたところで不意に玄関のドアが開く音がした。


「こんにちは~」


間延びした声がリビングに響いた。


「レキく~ん、いるー?」

「普通、確認はドアを開ける前にするものだと思うんだけど」

「あっはははは!そんなの今更じゃない!」


そうだ、この人はこういう人だった。

一俊でもこの人に常識を求めた自分に少し呆れていると


「むぅ~君、今とっっても失礼なこと考えたでしょ。これでも私、君よりお姉さんなんだよ?」

「僕より年上の自覚があるならもう少ししっかりしてくださいよ」

「それは無理ね!」


全くこの人は...

そんなやり取りをしていると、少し控えめに「あの。。。」という声が聞こえて、やっとリリィを置いてけぼりにしていることに気が付いた。


「ごめんねリリィ。紹介するよ、この人はミツキさん。」

「ミツキさん、こっちがこの前お話しした妹のリリィです」

「!!この子がそうなのね!」


ミツキさんの興奮した様子に少し引きつつも


「初めまして。妹のリリィです」


とあいさつをした。


「むふ♪しっかりしているのねぇ。

 初めまして!ミツキ=メリストよ。お兄さんとは寝所を共にする関係です。」

「「???!!!」」


急に真面目な表情になったミツキさんが爆弾を落とした。

おっと。知らぬ間に魔法使いへの転生権を失っていたようだ。

なんでも大昔の誰かがそんなことを言っていたらしいが、この世界には実際に魔法というものがあるのであまり関係ない。


「お兄様!ご結婚なされていたのでしたら先に言ってください!!」

「落ち着いて。僕は結婚はしていないよ」

「なら”そういう”ことだけの関係ということですか???!!!」

「なんでそうなる?!」


兄に対する信頼がゼロで少し泣けてくる。

ふいにプルプルと震えているミツキさんが目に入った。


「ぷっ。ククク。あっはははははははは」

「なっ、なにがそんなに....」


リリィはそこまで言ったところで、やっとミツキさんの冗談に気づいたようで、恥ずかしそうに頬を赤らめていた。

そんなリリィの姿を見てお腹を抱えて笑っているミツキさんだった。



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