前置き
僕はこのアキナス王国で5年ぶりに会う妹のリリィを待っていた。
僕が8歳の時に事故で両親を亡くしてから15歳になるまで母方の祖父母の家にお世話になっていた。
祖父母の家は王都から馬車で3週間ほどかかる街にあり、僕らは祖父母の家で畑の手伝いをして暮らしていたが、裕福というわけではなかったので僕は妹と話し合って、僕は15歳の誕生日の日に、妹も15歳でに王都に行きたがったが、説得して17歳までは町の学校で学ぶことにしてもらった。
妹の学費は今まで貯めたお金と、僕が王都に出て仕送りすることを約束して、祖父母にお願いしてある。
なので、祖父母の家にいる間は、手伝いを終わらせてから時間を探してギルドという施設に行き、薬草採取や、簡単な手伝いなどをこなしてお金をためていた。
やがて、僕は15歳になり、家を出た。
妹は来年から学校なので、その準備をしていてそこそこ忙しい毎日を送ってたので、あまり派手なことはせずに静かに旅立った。
それから5年たち、なぜか僕は王国ギルドの最高ランクであるSランクになっていたりしていたが、それはまた別の機会にしようと思う。
そろそろ妹の馬車が着くころである。
久しく妹が手紙で連絡してきたと思ったら王都に行くということを告げられ、慌てて生活に必要なものを準備するはめになったので、会ったら軽く文句を言っておこうと思う。
馬車が見えてきた。
久しぶりの再会なので楽しみなのだがここは兄の威厳を保つためにも冷静でいようと思う。
やがて馬車から妹が出てきた。
さあ、会いに行こう。
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「お久しぶりです。レキお兄様。」
最後に見た時より背も大きくなり、ぐっと大人びている妹が言った。
最後にあったのは僕が王都へ行った時なので5年も経っていて、大きくなっているのは当然と言えるだろう。
「やあ、久しぶりだね。最後にあった時とは見違えて綺麗になっていたから、最初は誰だか分からなかったよ」
「まぁ、それは嬉しいですね。お兄様こそたくましくなられましたね」
お世辞抜きに本当にリリィは綺麗になったと言えるだろう。
薄い化粧に肩までで切り揃えてある綺麗な黒髪、まぁ、胸はおしとやかなのだが見た目が清楚なので欠点には見えない。
僕とは違って人当たりの良さそうな雰囲気も相まって多少周りからの視線も集めていた。
「長旅で疲れただろう?まずは僕が今住んでいる家に行こうか」
「お兄様のここでのお家ですか!それはとっても楽しみです。早くいきましょう!!」
「楽しみにしてもらっているところ悪いのだけど、ごく普通の家だよ?」
「別にそれでもかまいません。大切なのはお兄様のお家だということですよ」
「そう?ならいいけれど、本当にただの一軒家だよ?」
「かまいません!」
「なら、行こうか」
そういって僕はリリィに手を伸ばした。
最初は意味が分からなかったのか、キョトンとしていたリリィだったが、やがて理解したのか少し恥ずかしそうにしながらも僕が伸ばした手をにぎって嬉しそうにはにかんだ。
僕の妹の笑顔はとてもかわいかった。とだけ言っておこうと思う。
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