1/14
プロローグ
誰かが悲痛な叫び声をあげて、僕の名前を呼んでいた。
それはきっと僕のよく知る人なのだろう、聞き覚えのある声だった。
他にも3人ほど人がいるが、目の前で飄々としている”それ”の攻撃から必死に僕たちを守ることで精いっぱいのようだ。
僕の体からはとめどなく血が溢れ出てきていて、すでに意識を保つことも怪しくなってきている。
おそらくもう生き残ることは難しいだろう。
ここまででも沢山の友が逝ったのを僕は知っている。
最後に目の前で泣いている唯一にして最愛の家族へ、僕は笑顔を向けた。