足が無くても、性能は変わらないらしいです。
大分、更新が遅れてしまいました。
申し訳ございません<(_ _)>
結局、月に2回更新は続きませんでした
# 83 コレだからお偉いさんって奴は!
______ルナージュ視点_______
―― くっ…… どうしてくれようか。
リクはメルに寄り添って、あわあわしているし、シュリは近くに待機している兵士に
「コレはどういう事だっ!?説明しろっ!!」と、殴りかかりそうな勢いで詰め寄っている…… とてもじゃないが、指示を出せる様な状況ではない。
飛び出したシュレが猫の姿のまま、メルティアの身体を肉球でペタペタ触りながら、難しそうな顔をしながら。
「なんや!?この毒の複雑な術式は…… 普通の呪文じゃあかんやん!呪術式までご丁寧に追加されとるやと!? 勇者ちゃんを殺す気満々やないの、こんなん!」
そんな言葉にぴくりとしたのは、女王とネフィリムとかいうメイドで、2人はどうやら生娘で、どうやら私の声が聞こえるらしい。
本当に何なのかしら…… メル、貴女って嫌われすぎじゃない? 声が聞こえるのは使えるわね…… 試してみましょうか。
『そこの、この国の女王とメイドよ! 聞こえているなら返事をなさいっ!』
そう問うと、メイドが臨戦態勢を取りながら周囲を警戒する。
『別に今、貴女方をどうこうしようとは思っていないわ。
聞きたい事があるだけよ?』
ネフィリムが少しだけ臨戦態勢を崩し、話を聞く姿勢になったのを確認して、怒りを込めた声色で。
『今、毒と呪いに苦しんでる彼女に、どんな怨みがあって、こんな事をしたの?』
その問うと? 王女が何故、私が疑われてるのかが分からない、という様な物言いで。
「私は知らないはっ! 私が大切なお客様にそんな事をするはずないもの!」
続いてメイドの方も、自分の主人を庇う様に。
「そうです。我が主である人がその様な事をするはずがありません」
あぁ、この2人はあくまでも認めないらしい…… いっその事この世から消してしまうのはどうだろ? メイドの方に私を使わせて、自ら主人を死に至らしめるというのはどうだろう…… と、そういう思考を回していると?
宴会場の扉が「バンッ」と、勢いよく開き。
「あらあら…… この子は本当に状態異常になるのが好きなのね? メルティアに会う時は何故、いつも倒れているのかしら。
コレでは勝負したいのに申し込めませんねぇ~ 、そうは思わない?クリム(ルナージュ)?」
そこに現れたのは、千武の魔姫悪…… 私の元ご主人様で、横から、2人出てきた。
「メルティア!! 大丈夫なのかい!?」
「メルティア!? 具合が悪いんですの?」
2人は レヴィジェンヌに顔が似ている気がする。
この国の女王がその3人の顔を見た瞬間、驚愕の表情で顔を歪ませ、こう言った。
「レヴィジェンヌ様、ジーニアス様
ルーシア様…… 何故、ココに?」
その問いに、優しくも不気味で妖艶な笑みで、私の元ご主人様が煽るように。
「あら? フィーリカ。私達が国祭に来ては不都合があるとでも言うの? まさかとは思うけれど、メルティアを始末したいから来てほしくなかったとでも言うの? 行動力があるのは美徳だけど、私の顔だけは優秀な息子が彼女にほの字というのを知って、殺したくなったの? 最近の子は激しいのね〜 ふふっ」
そう言われた彼女達は、まさかの乱入者に戸惑いを隠せず、アイコンタクトでどうしますの!?と、狼狽えながらも。
「メルティア様にどうこうしようなどと、全く思っておりませんし、べっ、別にそういうわけじゃないのです。
殿下が来られると分かって入れば、十分なおもてなしが出来たのでは?と、おっ思いましてですね?」
するとレヴィジェンヌは、メルティアに近ずいてから。
「あらそうなの。それは残念ね…… 私の息子を取り合って、キャットファイトでもしてくれると思っていましたのに。
メルティア、そろそろ起きなさい……」
と言ってから、顔を耳に近ずけて何かを言うと? メルティアの身体が光だし、顔色と呼吸も穏やかになり、それを確認した後に続けてにっこり笑顔で。
「フィーリカ? では良いのよね?」
唐突に言われた、その言葉の意味が分からないという風に。
「女王殿下? 申し訳ありませんが、 言葉が抽象的過ぎて意味が…… 」
と、続けようとした後に遮るように。
「あら? 分からないかしら、貴女は政略結婚という形で私の息子と一緒になるというのよね? 愛だの恋だのの、気持ちは無いという事…… であれば、別に嫉妬は無くて、別に相手は誰でもいいという事。
だから、無理に婚約はしなくてもいいのよ?って、こ〜と」
フィーリカはそう言われると、頭が真っ白になった…… はて、私はなんと言われた?
とても理解が追いつかない事を言われたのは間違いない…… 完全に思考が止まってしまった私を現実に呼び戻したのは。
「フィーリカ様!お気を確かにっ!! 」
私の右腕兼、お世話役のネフィリムであった。
私は現実に意識が戻っていき、先程の言葉の意味がじんわりと染みていくように理解してきた。
要約すると「息子の事を好きじゃないのなら、別に婚約を白紙に戻しても構わないのよ?貴女の他にも 花嫁候補が居るもの」と、言われたのだ…… よりによって恋敵を引き合いに出すという行いに対して、思わず冷静さを乱される気持ちになるが、ぐっと堪える。
女王殿下は私の毒殺計画を自分から出させたいのだろう。
しかし、認めてしまえば今までの苦労が水の泡だ…… 女狐をこの世から消す為に、毒物と呪術式にどれだけお金をつぎ込んだと思ってるのよっ!殿下はタイミングを見計らった様に現れるし、それをいとも簡単に治してしまうなんて!……計算外。
『ちゅーか、輪天武神であるウチらが頭を横に捻るよな、やっかいな状態異常を簡単に治すって、お姉やんの元契約者の姫さん、規格外のスペック過ぎひんやろか』
『あの人を常識の枠内で測ろうとする事自体が間違いよ。しかも処女でもないし、元が付いても契約者だったとしても、会話するなんて出来ないもの……
それで、この国のお姫様? まだ認めないつもりかしら? 早く吐いてしまった方が楽よ?』
この気の抜ける様な変な言葉の主と、やる気をあまり感じれない言葉の主は正体は分からないけれど、敵意は感じる。
この状況何とかしなければ……
_______メルティアside______
時を同じくメルティアも混乱していた。
―― 戦闘狂様に治して頂いたのは嬉しいのですけど、私…… 毒を盛られた上に王子と結婚されそうになっている!? 踏んだり蹴ったり、泣きっ面に蜂とはこの事だ。
やばい!…… 何としてでも婚約破棄の策を練らねばならない毒殺姫様はレヴィジェンヌ様の手の平で踊らされて、とても気が気じゃないのは明白…… このまま罪をゲロってしまえば、私はイケメン王子と結婚させられてしまうのだ。
私は苦肉の策を彼女に持ちかける事にした。
お疲れ様でした。
少しでも「クスッ」と、して頂ければ幸いです。
また次回、お会いしましょう




