シュレちゃん大活躍の巻 Part1
読者の皆様お久しぶりです。
今回は、輪天武神である2人がメインの回になりまして、2本立ての予定です
# 77 面接官の圧って凄いよね?
宿へ到着した3人は嬉々としながら、久しぶりのベットへとダイブした。
彼女達が何故、そこまで待ち遠しいかったかと言うと、賢者の島からここに来るまでの道中は、泊まれる村や小屋すらも無い様な場所を永遠と歩いていたからである。
山賊に襲われるも、安心して眠れないイライラを八つ当たりするぐらいストレスフルな状態で、どちらが悪者か分からない言動とっていた気がする。
_______回想シーン________
私達は3日間くらいの間は、野営すら出来ない困難な場所を歩いていた。
保存食をつまみつつ、水を飲みながらの移動中の事だった。
頭上の崖から器用に10人くらいの男達が滑り降りてきて、リーダーっぽい大男が話しかけてきた。
「こんな所を女3人で歩くたぁ!!、不用心にも程がある! 儂らみたいな山賊が出るからな!! ぐはははっ!!鴨が葱と鍋を背負って来たみたいだぜ?」
それを聞いたストレスMAXのメルティア達は三者三様の反応をした。
「は?貴方がたは何を言っているんですか? 今なら所持している食料を全て出せば許します」
「寝言は寝てから言ってください………… 死にたいんですか?(目が笑ってない笑顔で)」
「今は生憎、虫の居所が悪いんでな…… それ以上喋るな、殺すぞ………」
3人は一気に魔力と殺気を放出し、先程まで躍起になっていた山賊達は、預かった飼い猫の様に大人しくなり、シュリさんがもうひと睨みすると、金銭や食料をばら撒きながら、蜘蛛の子を散らす様に逃げていった。
ルナージュはそんな光景をはたから見ていて、山賊程度なら良いが【良くは無い】この子達が、何かしらやらかしてしまわないか、もの凄く心配になるのであった。
_____ルナージュ視点、現在_____
メルのベットには、リクも一緒にダイブしながら抱きつきつつ、久しぶりのベットを2人で感触をごろごろ転がりつつ堪能し、イチャイチャし始めた。
それを横目にシングルベットに1人だけ、羨ましそうに見つめるシュリという、なんとも言い難い構図が出来上がっていた…… ご愁傷さまである。
そんな光景を見つつ、私はシュレに依頼を頼むことにした。
『シュレ?ちょっといいかしら?』
『藪から棒になんなん? まさか!愛の告白!? いやでも……… ウチら姉妹やし、そういうのは良くないと思うんよ。
ごめんな?お姉やんの気持ちは嬉しいんやけど』
―――このバカ猫は…… なんでこのタイミングで貴女に告白しないといけないのよっ!!しかも私を振るとか、何なのかしら!!アレだけ「お姉やん好き〜」とか言っておいて!それでその生優しい笑顔はなに!?好きでもない奴に「分かってるからさ」みたいな顔をされないといけない訳?!だんだん頼む気が薄れてきたわね…… けど、城に招かれた時に毒でも盛られようものなら、耐性の無いメルは死ぬ事だってあるし…… 私に、動かせる身体が有れば、自分で行くのだけれどね……背に腹はかえられないというし、仕方がないわね。
私は怒りを堪えて、優しく物を言おうとする時に、口元がわなわな震えて、引きつったような声で。
「そっ……そうでは無いわ。
あっ貴女に頼みたい事があるのよ、ね」
そう彼女に伝えると、「早とちりしちゃった、てへっ」みたいなイラつく顔で。
「ごめんな? ウチの勘違いみたいやったな、えへへっ。
それで頼みたい事ってなんなん?お姉やんの頼みなら、ある程度は聞くで?」
――― は? 勘違い? ある程度なら聞く? 何言ってんのかしら? こっちが下手に出てるのをいい事にこの子は…… 本当に腹が立つわ。
この子の言動をいちいち間に受けていたら、こちらの精神が持たない…… とっ、とりあえず話を進めましょう。
「こ、こほん。
それで頼みたい事って言うのは、フェルニーラの宝玉を城に持っていくのは知っているわね?」
「何か今日は面倒だから、国祭の日までしばらくあるし、しばらく休んでからにしよ?って、メルメルが言うてたな?」
――― 偉い!この子、ちゃんと覚えてたわ!40秒前くらいの出来事を記憶出来てた!何か嬉しい…… じゃなくて! 話を進めなきゃ。
『もしもの話しよ? 宝玉を渡した後に、会食を名目に、メルの皿に毒を盛る可能性があるのよ…… 汚い貴族や王国の人間ならやりかねないの。
まぁ…… あくまでもの話しよ? そこで貴女には、潜入調査をお願いしたい訳…… ここまで言えば分かるわね?』
彼女は自信満々のドヤ顔で。
『搬入物に毒性のある物が含まれてないかの確認と、城の中で毒物の調合とかしてたりしないか、やろ?』
―――この子はいつの間にこんなに成長したのかしら! 感動で涙が出てくるわ……身体が無いから出ないんですけどね!【ドヤ顔してる風】
『ええ、上出来よ。
何か分かったら意志伝達で報告する事、頼んだわよ』
『あいあいさ〜。
ウチに任しとき! バッチリ情報を掴んでくるから待っときぃ~』
と言って、メルの身体から飛び出し、宿屋から出て行ったのだ。
とりあえず、現段階で出来る策はしたとは言ったものの、まだ足りない気がする…… 必要とであれば、メルとリクに相手をして貰えずに「オエオエ」と、泣きながら布団を被って、蹲っていじけている女騎士を使う事になるかもしれない。
そうなる事を見越して、今のうちからシュリのご機嫌を取っておいて損はないだろう。
______シュレヴィラ視点______
何故、クリ姉がそこまで貴族や王族に対して敵視し、警戒するんか? だ。
お姉やんの元宿主は王族の人で 、ウチが前に会った感じの感覚で言うと、とても国の姫様という者とはかけ離れた存在、むしろ対極の位置に居る人間と言っても過言やなかった。
むしろ山賊とかの方が、よっぽど近いんやないかと思う程、自分の欲求に素直な好戦的な人間だった……ウチの元旦那、元い宿主にも。
「ふふふっ。
貴女も輪天武神も宿して居られるのですね? 私と勝負いたしませんか?」
と、ポケ〇ントレーナーが主人公と目が合った時みたいな感覚で、勝負を仕掛けてきた。
お姉やんは大変だった思う…… 悪逆魂の回収も出来ないし、ただ好奇心を満たすだけの戦闘をいくとどなく繰り返すだけではなく、第1形態の魔王に手加減とか言って、魔力を込めた拳で。
「魔王とはこの程度なのですか? もっと私をもっと楽しませてくださいな?」
と、笑顔でボコボコに殴るなどの奇行を行い、それを見ていたパーティーにドン引きされる等、輪天武神である彼女をまるで使おうとしないんやから、私…… 別に要らんよな?って、自分の存在意義に戸惑うのも無理もないと思うんよな〜 しかし、話が脱線してもうたな…… 後でお姉やんにドヤされそうやな~ 。
依頼を完璧ペキにこなしたったら大丈夫やろうか? 読者の皆はんはどう思う? え……? 知らん? そないな事言わんといてや〜 ウチの一大事やで? むっ…… そんなん知るわけないやんって? そんなご無体な…… ウチと読者はん達の仲やないの〜 うりうりぃ~ 寂しい事言わんと、なっ? とか言っていると。
憤怒がビンビンに伝わる意志伝達が流れて来るのを感じると、先程まで会話していた懐かしくもない声が聞こえて来た。
『何が、なっ?よ…… シュレ? いったい全体貴女は誰とっ!何を話しているのかしらっ!? 頼んだ依頼はどうなったの?』
『お姉やん?! いやいや違うんよ!』
『何が違うのよ? 』
『お姉やんがどうしてあそこまで貴族を警戒するんやろうかって考えてたら、どういう経緯で無気力干物女になったのか〜ちゅう、過去を紐解けば分かるかも?と思うてな? きっと読んでくれているであろう読者はん達に、説明しながら語ってたんよ(ドヤ顔)』
『それは私に直接聞きなさいよ!! ただでさえ少ない喋れるシーンなのよ! 私なんか、武闘会では万年ツルペタロリ(フェロリーナ)が追加した変なルールのせいで、全然活躍してないのよ!! こんな長丁場を喋る機会なんて、もう無いかもしれないのだから!』
『ウチかてそうやで? お姉やんよりも喋ってへんし…… しかもお姉やんと、こんなに表立って、ぎょうさん絡む機会も少ないやろうし』
『そういえばそうね? 直接ココに書かれてないだけで、割とメルの中で喋っているものね? 暇だから』
『せやな。
読者はん達へのココだけの裏話っちゅうやつやな……というか、止めに来たお姉やんまで脱線しとるで?』
『あら、それはいけないわ。
この小説に出でくる神は、まともな奴がいないな!やら、ストーリー進行もまともに出来ないのか、とか言われるわね~確実に…… でも!今からなら取り返しがきくかもしれないし、シュレは完璧ペキに依頼をこなしてちょうだい、よろしく』
『せやな。
もう手遅れ感があるけど、行動は開始した方がええな…… ちゃちゃっと終わらせてくるさかい、待っててな』
それから意志伝達の繋がりを消えた事を互いに確認し、シュレは可愛いもふもふの猫から、※ メルティアとサイファがバトルした時、一つだけ神界から持ち出しを許可された写真に写し出された自分と同じ姿に変身した。
『いやぁ〜 本当の姿とはいえ、猫の姿に慣れすぎて、この姿はどうにもなれんけど、道行く女子達よりもイケてると自負してしまうな〜』
ピンク色ののショートボブに、愛らしい猫目に天真爛漫な雰囲気、色白の素肌にスラリとした手足にCカップのロリータ……それがシュレヴィラの本当の姿である。
服は道行く女性の衣装を真似て、魔力で生成している物を着用しているのであしからず。
それからシュレは城の方に向かい、事前に用意していた偽物の入城許可証を提示した。
『門兵のお兄やん。
お城の方に用があるんやけど? 通してくれんやろうか?』
男は、話し掛けられた時はムッとしたが、シュレの顔を見るなり、固有技能の発動により、フルフェイスの鎧を装備していても分かるような好青年みたいな雰囲気に変わった。
「コレは許可証ですね。
お預かりします…… 今、確認しますのでお待ち下さい」
とても頭の硬い脳筋の門兵の言葉とは思えないセリフだ← 偏見。
許可証を隈無く見終えると。
「確認が終わりましたので、案内係に従って、面接会場の待機室でお待ち下さい」
城の中にウチはメイドの面接を名目に、潜入するのであった。
――さてと、バシッとお姉やんからの依頼をこなさんとな…… まずは素直に面接受けてから、猫になってから調べ尽くすんがベストやろうな。
それからシュレは、本人は当たり障りのない面接をしたつもりのようだが、以下の通りだ。
「では、次の方」
呼ばれた彼女は決めポーズをとりながら、元気よくお返事をした。
『はーい!未来の美少女メイド長!シュレちゃん只今参上やで!(キリッ)』
「よろしくお願いします。
ご着席下さい」
まるで先程のボケを完全にスルーし、表情をピクリとも動かさず、冷淡な声で対応した。
しかし!そんな扱いに彼女が反応しない訳が無い。
『ちょいと待てぇーい!面接官のお姉やん!! 人がせっかくボケとんのに、それはないんとちゃいますの? お面被ったみたいにピクリとも動かへんし!ウチみたいなタイプはスルーされんのが辛いんやで?! 』
それに応えるように、そのままの状態と変わらずに。
「ここはお笑い養成所の面接ではありませんし、メイドとは…… ご主人様に対して奉仕を行い、より良い生活を送って頂くための仕事です」
『世話するんは当たり前やけど、より良い生活= 楽しくって事やろ? それなら笑いを提供するんも、ウチは大事やと思うけどな』
「ふむ…… 笑いの面白いが特別に必要かはとりあえずおいて、メイドにも話術のスキルが求められるのも確かですね」
『せやろ? 適切な主人との距離も大事やけど、少し気楽に話せる方がええと思うんよ』
―――伊達に数百年、主人達に仕えてきとらんよ(ドヤっ)
「非常に面白い御意見ありがとうございました。
コレにて、面接を終わらせて頂きます。
お気をつけてお帰りくださいませ」
こんな感じに、彼女らしい面接が終わった。
それからウチは情報を集める事を名目にトイレを借りてから猫の姿になり、依頼を開始する事にした。
お疲れ様でした!いかがでしたでしょうか? 少しでも笑って頂けたなら幸いです。
次回もよろしくお願いします




