全年齢対象のファンタジーの常識?何それ美味しいの?
ただいま時間で、読者の皆様こんばんは!
コロナでストレスフルな蔵ノ宮です。
どの様に発散していこうか、悩んでます……
本当にどうしましょう(笑)
変な犯罪が増えてますよね?
# 72 炎から身を守る術
-------賢者side---------
――メルティアちゃんの戦闘能力には、目を見張るばかりである…… 魔法や戦闘技術には少しは粗が有るのだが、力を隠している事には間違いないだろう。
彼女が先程の攻撃で倒れるとは思わないが、懸念するのはファイヤーボールや、雷の魔法を要求してきた事だ、ただの興味本位なのか、何かしらの作戦があっての事か、それは今考えていることでは無い…… あの窯の中で炎をどう防ぎ、どう出てくるのか? 楽しみである。
-------メルティアside------
そんなローリッツの期待には応えずメルティアは、絶賛炎上中であった。
燃えていると言っても、持続型回復魔法をかけて、耐えているだけというシンプルなものだ。
肌がチリチリと焼けている感覚が有る……しかし、めっちゃ熱いっ!!ピザはこんな中に放り込まれて焼かれていると思うと、感謝の気持ち込めて食べないとなー何て考えながら、状況を打破する案を練る。
1 通信魔法で降参の意を伝える
2 水の魔法を使い消火する
3 氷の魔法を使い、身体を冷気で包み対処
4 腕輪を外し、壁をぶち破り脱出
――― まず1だが、これは考えるもなく無しだろう。
続いて2も、溢れ出る炎の前では、焼け石に水で意味はない。
3は意外と良さそうでは有るが、根本的な解決にはならないので却下。
そういう自問自答を繰り返した後、私は4を選択した。
腕輪を外し、少し腰を落としてからの昇〇拳をして、無事に?灼熱のピザ窯を突き破って、飛び出した。
しかし私は大事な事を忘れていたのだ、体感で2分くらいでは有るが、炎に包まれていて、日常生活で大事なアレの事を……そう!いくら女神(変態)が作ったとはいえ、ビキニメイド服である……耐久や防御力があるにしても、布は燃える物であり、全年齢対象のRPGのゲームやアニメでは何故か、隠さないといけない大事な部分等は、必ずと言っていい程、破れも!燃えたりもしないのである……その知識もあってか、油断していたのも有るが、 この世界の常識と、私の不幸の前では、関係ないのだ。
気が付いた時には、時すでにお寿司……否!遅かったのだ。
そんな私の産まれたままの姿を見た賢者は、静かに目を閉じながら涙を流し、出血多量で死ぬのではなかろうかと思う程、鼻から赤い液体が「ドバーッ」と溢れだして、一言。
「こっ……この私が……神秘の身体以外で、※リビドーに満たされてしまうとは……な。
私の追い求め!貫き愛し通してきた真意も……この程度だったと言う事か…………ぐはッ!」
※ 欲望の意、性的衝動の基となるエネルギー。
そうして…… 辞世の句の様な言葉を残したローリッツ氏は、ゆっくりと後ろに倒れた。
修行試験が終わるまで、メイド喫茶方で待機していたであろうフェロリーナちゃんが、外が静かになったのを見計らってか、空から私達の前に舞い降りて、賢者を一目見てから、こう言った。
「あら? 血塗れ…… まさか私の愛しの旦那様が、この様になるとは思ってもみなかったわ……大人の身体に興奮して、鼻血を出して昏倒してしまうなんてね」
そう言いながらも彼女は、私の事を全く見ようとはしない……何故ならば、視界に入れてしまえば、夫婦揃って同じ様な事になると悟ったからである。
そのまま紙袋を足下に置いてから。
「早く服を着て、力を制御する為の道具を付けなさい。
お店で待ってるから 」
フェロリーナちゃんは、旦那を風の魔法で浮かべながら立ち去っていった。
それを確認した後、私は腕輪をはめてから、紙袋に用意してくれた服を取り出してみる。
中に入っていたのは武闘会で、女神さんと魔王さんが吟味して選んだという、ミニスカチャイナ服が入っていた。
それを身に付けてからメイド喫茶に戻り、自然な流れで手伝いに入り、彼女から呼び出されると思い、時間を潰すのだった。
店も閉店した後に、そろそろ掃除を開始しようかと思った所で、不意に後ろから声を掛けられる。
「メルティアちゃん。
ちょっといいかしら? 旦那様が3人で話がしたいらしのよ、いいかしら?」
予想通り、フェロリーナちゃんからのアプローチである。
3人で、というのが気掛かりではあるが、断わる理由も無いので、 素直に了承する事にする。
「今から店内の掃除を始めようかと思ったのですが、 大丈夫でしょうか?」
そう答えると、小さな可愛い花が咲いた様な笑顔で。
「ふふっ真面目なのね、他の子には言っておくから大丈夫よ。
後、 メルティアは正規の従業員では無いのだし、そんなに気にしなくても良いわ。
では、行きましょうか」
フェロリーナちゃんに付いて行くと、大きな扉の前に連れてこられた。
彼女の小さな身体が際立つ程の扉を開けると…… ライトで照らされて、部屋全体が艶めかしいピンク色に染まっていた。
他に気になるといえば、4人くらいなら余裕で寝れそうな、 めちゃくちゃデカいベットが鎮座ましまし置かれている事くらいだ、次に視線がいったのは、病人の様に横たわる賢者で、労りの言葉をかけるべきだろうと思い、声をかけた。
「こんばんは。
お加減はいかがでしょうか? 」
まだ本調子ではないのか、弱々しく。
「メルティアちゃん……こんばんは。
具合は見ての通りだ……フェロリーナちゃんを抱きしめ、愛でる気力も湧かない程、肉体も精神も弱っている」
私のせいでも有るのだが、かなり重症の様だ。
この状態であるならば、幼女達が賢者の前で、ベリーダンスを踊れば反応くらいは有るだろうが、復活する事はないだろう……そんな事を考えつつ、私は部屋に呼び出された理由を聞く事にした。
「ローリッツさん、お大事にしてください。
それで、ここに私を呼んだ理由を教えて下さい」
そう言うと、賢者が重々しく口を開く。
「メルティアちゃんには折り入って頼みたい事があってね。
フェロリーナちゃん……例の物を。」
その声に反応し、彼女が何も無い空間に手を入れ始め、丸い玉を取り出してから、私にそれを渡してきた。
受け取ると同時に賢者が。
「それは、フェルニーラ王国との盟約により、守護している国宝であり、年に1度の建国記念日に持っていく事になっているのだが、私とフェロリーナちゃんは、別件で違う国に行かねばならなくてな……そこでだ、メルティアちゃんには悪いのだが、コレを届けてはくれないか? 無論……出発までの間に、修行を付ける事を約束しよう。
勝手な物言いなのは分かってはいるが、頼む」
賢者が頭を垂れ、懇願してきた。
フェルニーラ王国…… 何処かで聞いた事がある様な気がする。
彼も、遊ぶ為に仕事を押し付けて来た訳ではなく、どちらも大事な仕事なのであろう……しかも国宝と呼ばれる代物故、戦闘能力が低い者は道中で襲われてしまって、盗まれる可能性があるし、信用出来る相手でないと、とてもじゃないが任せられない…… いくら自分の配下の者であってもだ。
私は断わる理由も無いので、こう言った。
「分かりました。
必ずフェルニーラ王国に、宝玉を届けます」
そう言うと、賢者が「メルティアちゃ〜ん! ありがとぅ〜」と、気色の悪い顔で私に抱きつこうとして来たので、顔面に掌底を打ち込み、部屋から早々に退出した。
――― あのロリコンは、幼女じゃなくても襲うようになってしまったのか……
私が扉を閉めた後。
「浮気は許さない……私のメルティアちゃんのお肌に触れようとするなんて! !」
「違うんだよ!? 感謝の気持ちが溢れてきてね? 疚しい気持ちなんて無いから! そのファイヤーボールはしまって!フェロリーナちゃんっ!? ちょっ! まっ!あぁあぁあぁああぁあぁああぁッ!!」
という会話が聞こえてきた気がするが、気のせいだろう。
お疲れ様でした! 楽しんで頂けたなら、幸いです。
次回は修行がありーの、行ければフェルニーラ王国への出発くらいまで書けたらなと、思ってます。




