何この子! 可愛いんですけどぉぉぉぉっ!
お久しぶりです……… 蔵ノ宮です。
まずは謝辞を、更新遅れてごめんなさい。
楽しみにしていた方には、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
忘れてた方には「更新しましたよ〜」と、ささやかな報告を……では、本編をお楽しみ下さい。
# 68 疫病神 VS ブチ切れやさぐれエルフ幼女
決勝戦のゴングが鳴った瞬間に、きっとあの幼女は、エヴ○ンゲリ〇ン初号機の暴走状態ばりの勢いで、私に襲いかかって来るだろう。
そんな事を考えていると? 賢者がマイクを握り、会場にお辞儀をしてから口を開いた。
「それでは皆様!お待たせしました!!コレより、決勝戦を開始します。
ルールについてですが、あらゆる武具や魔法での直接攻撃、または身体強化等を解禁します。
この条件では、相手が死に至る場合がございますので、エルフの決闘の儀にも使用される、アイテムを使用します。
効果は、肉体へのダメージを魔力に還元し、先に相手を枯渇させ、気絶させた者の勝利とする。
激しい戦闘が予想されますので、空間魔法を用いたフィールドで行い、あちらの画面にて、観戦下さい。
では!決勝戦……初め!!」
その掛け声と共に「カンッ!」と、鐘を鳴らした瞬間! 霧のかかった様な空間に覆われ、目の前の幼女の身体から、膨大な魔力と殺気が溢れ出した。
それからは、コチラが構える隙も与えぬ程、ほぼ無詠唱ではないかと思える様な、燃え盛る業火が迫り、天から凍てつく氷の刃が無数に降り注ぎ、地面からは召喚されたであろう様々な形をしたゴーレム達が、幾重にも間髪を入れずに襲って来たり、巨大な2つの切り裂く風刃が大蛇の如く、畝りながら暴れ狂う。
そんな世界の終焉を絵に描いた様な状況で、生き残れる人間は、0に等しいだろう……その状況を生み出した幼女も、勝利を確信している為か、テンションアゲアゲで、こんな事を言い出す。
「あはははっ! いくらメルティアでも、ひとたまりもないわよねぇ〜? この私の! 活殺! 滅殺! フェロリーナちゃん最強!パーフェクト魔法フルバーストコンボを受けた者で、立っていた者は未だかつて……居ないのよっ!! 」
自信満々に、小さな胸を張りながらふんぞり返り、高らかにドヤ顔を決める幼女。
しかし、私はというと? ∞のはずの魔力が急激に消費し、立ちくらみの様な感覚を初めて感じ、ふらついた。
ネーミングセンスはさておき、それだけ彼女の魔法の威力が規格外であるのは間違いない。
常人ならば、ダメージを還元出来ずに死に至る事も有るだろう。
こんな時に、自信満々の天狗になっている幼女を傷つけない様なセリフを考えつつ、明るく称賛する様に、こう言った。
「いやぁ〜……流石はフェロリーナさん! 先程の魔法は凄まじい威力でした。
還元出来ずに、昇天するかと思いましたよ」
私は転生してから、いや……人生初ではないかと思う程、最高に良い笑顔で言ったつもりだったのだが、 滅殺!アル〇ゲドン幼女には逆効果であったようで、一旦顔を伏せてから、身体をチワワの様にプルプルと震わせてから、顔を上げたかと思えば、フェロリーナさんみたいな可愛らしい女児が、絶対にしちゃダメな、戦闘開始前よりも怒りが倍増し、モザイク無しでは放送出来ない程の醜い顔で、私を睨み付けながらこう言った。
「ァ· ナ · タ · ネ……どれだけ私を虚仮にしたら気がすむのかしらァッ!? 私の……最強! 最高の! 580年の歳月を費やして編み出した、究極の必殺魔法を受けて笑顔です……って!? ヘラヘラした顔で馬鹿にしないでちょうだい!!」
流石はエルフ……かなりの長生きさんでいらっしゃる。
そう言った後、人の事は言えないが……「まだ、魔力があるんかいぃぃっ!!」と、ツッコミを入れたくなる程に、あんな馬鹿げた高威力の極大魔法を撃った後とは思えない魔力と殺気を放出し始め、空気が肌をピリピリと、先程よりも更にヤバそうな魔法の詠唱をし始めた。
この世界に来てからの初めての死への恐怖感が襲う……唱え終われば、この空間だけなら良いが、ヴァルハート王国が地図から消える、という可能性も有りそうだ……私のせいで。
そうならない為にも、自分の尻は自分で拭かねばいけないので、早急に対応しなければいけない、頼れる相棒に尋ねる事にした。
「ルナージュさん。
何か良策はありますか?」
『そうねぇ〜 例えば、術者をヤッてしまうというのは……無しよね?』
ルナージュさんはかなりアグレッシブな思考な様だ。
しかし、それをヤッてしまうと色々問題が出てきそうな気がするので、その案は却下させて頂こうと思う。
「それが最良なら、仕方ないのかもしれませんが、自分のミスでこの様な事になってしまったのに、 そんな証拠隠滅みたいな形で無かった事にするというのは、大の大人としては良くないと思ってしまいます」
そう言うと? ルナージュさんは何処か嬉しそうな声音で、こう言った。
『メルは真面目ね? 私なら、噛み付いて来た奴には遠慮なんてしないんだけどね。
それで、時間は無さそうだから手短に良策を説明するわね? シュレの力を使って、魅力値を底上げしてからの、可愛いポーズをとれば、必ず止まるわ』
それで私はシュレさんに。
「では、よろしくお願いします」
彼女は元気良く、お返事をくれる。
『がってん承知之助やでぇ〜 戦艦ドレッドノートに乗ったつもりでええよぉ〜』
超弩級戦艦に乗ったつもりで……とは、かなり期待して良いのでは? と思いつつも、ひねくれ者の私は何を思ってか、シュレさんの魅力値を底上げする能力を軽視していた為か、あの幼女をメロメロにするには足りないと思い、腕輪を放り投げ、デフォが半目のジト目をパッチリ開き、可愛いポーズをした。
彼女の力が如何に凶悪で、残酷なものだと知らずに。
その瞬間……時が止まったかの様に、私を視界に収めた種族やロリコン、老若男女問わず、会場全体が固まったのだ……皆は一斉に、綺麗な赤い噴水(鼻血)で会場を染めたのであった。
それから誰かが起き上がるまで、1人と二柱で、ポ〇モン限定のしりとりをしながら、30分程たったくらいだろうか「うっ……」と、呻き声の様な声がして、その当本人に声を掛けた。
「目…… 覚めましたか? フェロリーナさん?」
「あっ………メルティア……ちゃん」
――はい? 先程まで、私をヤル為だけの殺戮最終兵器と化していた人物が、頬を染めながらちゃん付けとは、非常に気味が悪い。
コレも何かしらの作戦なのかと勘ぐっていると、目の前の幼女が急に「メルティアちゃん、だいしゅきぃ〜……////」と、突然抱きついてきたのだ、もしや?! メガ〇テ!? 等と、頭の中は大混乱……しかし猫の様に、頬ずりしながら甘えてくるではないか! 何なんだ!この究極に可愛い生き物は!!私が頭を試しに撫でなでしてみると、嬉しそうに目を細める幼女! 前世で娘が居ればこんな感じかな〜と、安易に予想が出来た。
それからまた、フェロリーナちゃんを愛で続ける事1時間……至福の時は突然に終わりを告げる。
「うぉうァぁ……メル、ティァ……」と、ゾンビの様な呻き声が何処からともなく聞こえてきて、私達に向かってゆらゆらしながら、ゆっくりと近づいてくるのが見えてきて、そして私は思わず、こうツッコミを入れる。
「これっ!何てバイ〇ハザード?!」
すると、フェロリーナちゃんが周りの状況に怯え始め、私の体の真ん中で、小さく縮こまる。
そんなラブい反応に胸きゅんし、母性ならぬ父性が、この子を守らねば!!という使命感に駆られ、この状況を打破する魔法を唱える。
「我!汝の身を案じ、その身に降りかかった邪を清め、払いたまわん! ピュリフィヴィール……」
そう唱えた後、会場全体が光に包まれて、迫りくるゾンビの様な人々が我に返りだし、辺りをきょろきょろし始めた。
そして私は……フェロリーナちゃんを愛でる作業に戻るのであった。
お疲れ様でした! いかがでしたでしょうか?
色々とネタに走ったお話だったと思いますが、 少しでも笑って頂けたなら幸いです。
では次回にまたお会いしましょう




