追い込まれる状況……それは、勝利への伏線
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# 63話 追い込まれる状況……それは、勝利への伏線
リクちゃんの試合が終わり、通信魔法を使い、観客席で彼女と合流した。
それから何戦かを観戦した後、シュリさんの試合の番になり、凛とした姿勢で登場した。
Tシャツを着てるとはいえ、アレだけメイドビキニを恥ずかしがっていたのに、堂々としているのには驚きだ……それから試合開始の合図と共に、4人は武器を一斉に手に顕現させたが、問題は起こったのだ。
1人は弓、2人目は銃、3人目も銃、4人目のシュリさんが手から呼び出したのは、見た感じはコーンの無い、溶けたソフトクリームの様な物体……彼女が顔を真っ赤にしながら「うぉぉぉおぉぉぉー!」やら「ふぬぬぬぬぅ〜……」と、魔力を込めようとするが? 形は変わる事は無く、対戦相手や観客席の生暖かい優しい視線や、馬鹿にした様に嘲笑う者達が居て、彼女は羞恥心や怒りの入り混じった感情を抑え込む様に、身体をプルプル震わせながらこの状況を耐え忍んでいた。
すると、追い打ちをかける様に、観客席の方から馬鹿にした、心無い言葉が投げかけられる。
「ギャハハハッ!!何だぁ〜その水剣は! まるでウ○コじゃねぇーか!豆の絞りカスみたいな魔力で、賢者様主催の武闘会なんて参加すんなよぉ〜 姉ちゃんはべっぴんさんだが、来る場所を間違えちゃダメだぜ?」
「そーだ! そーだ! さっさと負けて、無駄に大きい胸をポロリしろよぉ〜」
「いくら体術が優れていようと、この武闘会では魔力量や魔法こそが鍵になるわ! その点から見れば、貴女の勝利は無いわ……」
「ぷッ……あの程度の魔力で私を倒そうなんて無謀じゃないの! ねぇ?」
「そうよね〜彼女を早く脱落させて、決勝まで進ませて貰おうかしら〜」
――これは……私の時よりも酷い惨状だ、 集団リンチもいい所だ……非常に腹立たしい!
そう思っていると、横に座っているリクちゃんが、私の手をギュッっと握ってくる……彼女もまた、わなわなと怒りに震えており、この状況を許せない様だ。
仲間として今まで支えてくれたり、試合を応援(挑発をして、相手を逆上させた)してくれた恩義? が有るので、何か言ってあげたいと思った。
そして、私達は見つめ合い「うん!」と、頷きあってからシュリさんに大声で伝えた。
「シュリさん! リクは勝つと信じてます! こんな所で負ける気ですか? 昨晩に約束した、例の話は聞きたくないんですか? メルティアちゃんと戦うんですよね!?」
そして私は続け様に、彼女を挑発する様にこう言った。
「この武闘会で私に勝つというのは嘘だったのですか? 貴女の真の力も知らない有象無象の戯言で戦意喪失するなんて、情けないですね? 城内最強といわれる、【シュリ · アルストリア · エリザベート】という騎士は!その程度だったいう事ですか!? もしそうだったのなら期待外れもいいところですよ……(にやぁ)」
仲間2人からの優しい声援が来ると思った束の間……まさかの挑発である。
それを聞くやいなや、彼女は腹を抱えて大爆笑したのである。
私が挑発してくるのは予想が付かない事も無いだろうが、リクちゃんの控えめながらの挑発行為が、そうとう効いたようで、私達の方を向き、凄いいい笑顔でこう言った。
「メルティア! リク! 後で覚えておけ? めったんめったんの!ぎったんぎったんにしてやる! 覚悟をしておけよ? 何が魔力だ! 魔法が何だ! この試合は相手をただ濡らせば良い!水なら周りにたっぷりと有るんだ……臆する事は無い! まずは戦いやすくする為に、邪魔な物は破壊しないといけない……(にたぁ)」
するとシュリさんは何を思ったか、浮き島を足で踏み付ける様にして、攻撃スキルである地烈振壊を発動させ、振動波を与えてバラバラにしたのである。
他の対戦者達はいきなり足下の面積が狭くなり、立っている事すら困難な状況で、武器なんて構える余裕がある訳も無く、ただ落下しない様にバランスを保つので精一杯な状態だ、それは何故か? 皆が立っている面積は30センチ有るか位なのである。
前衛で動く様な武闘派なら余裕があるだろうが、フィールドブレイカー(シュリさん)以外は、明らかにガチの後衛職の面々で、このまま放置していれば勝手に落下するだろうが、アレだけ自尊心をズタボロにされれば、やり返さねば、負けず嫌いの彼女の気が済むまい。
復讐者と化した彼女は、器用にバランスをとりながら、片手を水面につけ、悪い顔をしながら3人に。
「君達には悪いが、この溜まりに溜まった怒りのはけ口にさせてもらうぞ!あまりにも早く落ちてしまうと面白く無いから耐えてくれよ?、地烈振壊!!弱……」
すると微弱な波が起こり、ただでさえ覚束無い足下が揺れ、三者三様に怯えながら。
「ひぃぃぃいぃー落ちるー!」
「やーめーてぇー!本気でヤバイからぁっ!」
「あわわわわわわわっ!!」
3人の悲痛な悲鳴が会場全体に響き渡る、それをニヤニヤしながら観察するシュリさんは完全に悪者で、先程とは真逆の状態で先程の仕返しと、観客達に目にものを見せる様に、邪悪な笑みで、彼女達を弄り倒す。
「フハハハハハハハッ!! どうした?先程の威勢はどうしたのだ? 得意の魔法は使えないのか? そうだろうなぁ〜 立っているだけでやっとなのに、詠唱何て不可能だよなぁ? 私の知ってる化物ならこんな策をした所で無意味だがな…… 何故なら奴は空を飛び、無詠唱で魔法を無尽蔵に撃ちまくるからな」
そう言いながら3人に小一時間ずっと恐怖を刻み込み、トラウマを植え付けた。
彼女達は何故か試合終了後、シュリさんに対して「お姉様!」とか呼ばれていて、理解が出来ない状況だった。
リクちゃんに聞いてみると、笑顔で。
「この世界の住人は、価値観を変えられてしまう様な尊敬出来る強者を目の前にすると、恋をしてしまうんですよ?」
私は、ぼやく様に呟いた
「成程、この世界の人々は戦闘民族なのだろうか……」
それから私達3人は対戦する事が無く、私は危なげなく勝ち、リクちゃんは声援を受けながら楽しみながら勝利し、シュリさんは力技で対戦者達を圧倒していった。
次勝てば、準々決勝進出するまで勝ち進んでいった。
あとがたり
『本日もやってまいりました。
皆大好き!かは分かりませんが、あとがたりのお時間です! 本日のゲストはシュリさんの回という事で、勿論この方! 大国内最強にして、妹に近づこうとした男共を幾重にも闇に葬った、犯罪者レベルの変態シスコン野郎と言えばこの男!サイファ · イラストラル · エリザベート!! 』
「随分な物言いではないか貴様! 紹介するのであれば、大国内最強にして、超イケメンのカッコイイお兄ちゃんであろうが!」
『はいはい……それでいいです。
続いて、変態共が蔓延る今作の中でも珍しい常識人で、初な心の持ち主にして、彼女の部下でもある、ジード · ファルケン君!』
「よっよろしくお願いします!」
『はい!よろしくお願いいたします。
続いて彼の上司でもある、見た目は怖いが愛妻家で有名で、 家族思いの優しいお父さんのギルディット · オーランドさん!』
『うむ、紹介に預かったギルディット · オーランドという、よろしく頼む……が!作者殿?愛妻家だの、家族思い等の情報は必要無かろうて、夫になれば嫁を大事にし! 子が出来ればこの身を盾にし、命が燃え尽きようとも守り通すのが普通であり、男として当然だ!』
『それが世の中には、その普通が出来る男がなかなかいないのですよ……残念ながら』
「分かっておる……それ故に、もどかしいのだ!であるからしっ……」
私はギルディットさんが、男について語ろうとするのを遮る様に。
『さぁーて!せっかく来て頂いたので、シュリさんの戦闘シーンについて語って頂きましょうか!では、ギルディットさんからお願いします!』
「ちょっ!ぬぅ……儂はまだ、致し方ない!では次回に男とは何たるかを喋らせてもらおう! シュリに関してだがメンタルがまだ弱いな、あの程度の事で仲間からの言葉でしか復活出来んとは、情けないなぁ……しかし最後の逆転劇はなかなか面白いと思ったな、相手を不利な環境に変えてしまう方法は素晴らしかった」
次回はありません!忘れた頃に登場させよう……そして私は「ありがとうございます」と、返事をしてからジード君に一言をお願いした。
「そうですね……僕があの会場に居たならば、エリザベート様以上に辛くなり、泣いてしまうかも知れませんね……でも、結果的には仲間の声援で立ち直られて、勝たれたので良かったです」
やはり彼は真面目で普通の人だ……そして私は「ええ、本当に良かったですね」と、言ってから、この中で1番問題の在る彼に、一言を頼もうとしたのだが? 姿が見えないのである。
するとジード君が申し訳なさそうに、苦笑いを浮かべながら。
「国王陛下直属、白銀狼の刃爪軍の隊長のエリザベート様は、武闘会の様子をご覧になるやいなや、我が愛する天使兼!妹であるシュリを視姦し、愚弄するとは万死に値する!!と言いながら、鬼の様な形相で部屋から出て行かれましたよ? 大丈夫でしょうか……」
心配そうにする彼に、私は安心させる為にこう言った。
『大丈夫ですよ? あの会場には、前期勇者でも在らせられる、千武の魔姫悪こと、レヴィジェンヌ · サディエル · シア· ディルガンド女王陛下もいらっしゃいますし、大丈夫でしょう』
女王陛下の名前を出した途端に、ジード君はガクブルし始めて。
「そっ……それなら安心ですね」
どうやらギルディットさんは、シスコンを止めに行ったみたいだ。




