ファンタジーの船イベント……それは逃れられない運命
こんばんは〜遅ればせながら投稿しました。
申し訳ないです
# 52 ファンタジーの船イベント……それは逃れられない運命
サイファ+エルリアーレとの決闘に勝ち一息着いた頃、私は敗れていじけているサイファに質問をする。
「サイファお兄ちゃん?質問よろしいですか?」
と言うと、目を見開いたのだ。さっきまで死んでいた目が、生気が宿ったかの様に、キラキラ輝いて「このカッコイイお兄ちゃんに何かようかい?」というセリフが聴こえてきそうな視線の、緩みきった笑顔でこちらを見てきてこう言った。
「何でも聞いてくるがいい!! イケメンで頼りになる、お兄ちゃんにな!」
その笑顔に殺意的な何かが芽生えるのを押し殺す様に、私は引きつった笑みを浮かべつつ、年下の女性なら見境無しの、変態シスコン騎士に問う。
「あっ……あの〜賢者の住まう場所に行く方法はご存知ですか?」
「ああ、勿論!港町の船乗りに言えば連れて行ってくれるだろう」
教えてくれたシスコン変態騎士に淡々とした口調で、頭を下げながら。
「教えて頂いてありがとうございます……さよなら」
鈍感シスコン変態ナルシスト騎士が、人の気持ちが分かってないような不思議そうな顔をして。
「さようならとはつれないな? 再び、合間見える事を心待ちにしていよう」
戦闘狂のお嬢様のエルリアーレは、面白い玩具と出会えた子供の様に、嬉々としながら私にこう言ってきた。
『また!ヤリ合いましょうねぇ〜ん。それかこのまま本契約してくれても良いのよぉ〜?』
「本契約したら、私とは戦えなくなりますよ? ルナージュさんがOKを出してくれるのであれば、構いませんが?」
心底嫌そうにして、ルナージュさんは。
『私は嫌よ!お断りよ!断固拒否!』
「だそうなので、ご縁が無かったという事で」
最初に眉をひそめる様な感じを出しつつも、後半は楽しそうにこう言った
『むぅ〜……まぁ良いわぁ〜ん、折角の楽しみを見付けられたんだもの、もう少しおも……いえ、メルティアとの闘争を楽しみたいし』
「今おもちゃって、言いかけましたよね!?」
するとエルリアーレは動揺したように本体を「カタカタ」鳴らしながら。
「そそっ……そんな事訳ないじゃないのぉ〜おーほっほっほっほー!」
高笑いをして、誤魔化そうとしてる風のエルリアーレさんを横目にしてから、未だにシュレヴィラさんと戯れるリクちゃんと、兄と戦った私の戦闘を思い出し、思案顔のシュリさんに話しかけた。
「じゃあ船に乗って行きましょうか、賢者の所へ」
「うん!」「あっ……ああ分かった」
「では、失礼します」と、1人と1本に別れを告げた。3人で港町の港へ行き、船乗りの男に「すみませーんちょっとよろしいですか?」と、声をかけた。
「お?何だ〜べっぴんさん達、ナンパなら恐ろしい鬼嫁がいるから勘弁な?ギャハハハ!」
やたらとテンションの高い反応に、内心げんなりしつつ、淡々として要件を言う。
「賢者の住まう場所まで船を出して欲しいんです」
メルティアの反応に少し落ち込みつつも、負けじと何故か歌舞伎風に。
「あっしのボケを完全にスルーたぁ〜……あ、悲しいねぇ〜」
「ボケだったのですか? 私の周りには、無視出来ないレベルのボケをかましてくる方達がいるので、気付きませんでした。
あと歌舞伎をご存知なんですか?」
「このクールな突っ込みもなかなか……良いねぇ〜。そのカブキってのは知らねえが、あっしがガキの頃に、親父が船に載せた、面妖な出で立ちの勇者が、こんな話し方をしててな? 幼いあっしは、かなり影響受けちまったぁ〜あ、みてぇ〜だ、なぁ〜」
そんな話を聞いていたルナージュは少し興奮した様子で急に。
『その方はもしや!石川 悶十郎様ではないかしら!?』
「石川 悶十郎?」
「おぉー!確か、顔の白い勇者の名前がそんなだったな!お嬢ちゃんの知り合いかい?」
「知り合いと言いますか、知人が話していた方が、その様な姿だったと聞いた事があるだけで、違うかもしれません」
前、主の姿や思い出が蘇り、興奮した様子で。
『メル!白塗りに歌舞伎役者の様な言葉……間違いないわ!!悶十郎様よ!』
「今何処にいるかご存知でしょうか?」
船乗りが「それは……」と、言いかけた所で、先程の決闘での、悶々とした気持ちや、話が先に進まないのにも苛立ちながら、2人にツッコミを入れる。
「良いからさっさと船を出せ!また、脱線しているだろ!モンジュウロウ殿の話は船旅の途中でも出来るだろ!?」
「そいつぁ〜そうだな……しかし騎士様よ〜そんな怖い顔したら折角の美人が台無しですぜ?」
ままならない気持ちの矛先を、船乗りに八つ当たりするかの様にぶつけた。
「そんな世辞は要らん! さっさと連れて行け」
「おぉ怖い……斬られる前に出発しますかね。この騎士様が居れば、大王イカや幽霊船や海龍が出ても大丈夫ですな〜」
そんな剣幕のシュリに怯えてから、「ウヒヒヒィ」と冗談ぽくニヨニヨしながらフラグを立てた。そして案の定、船を出して数分後……先程まで快晴だったのに、雲行きが怪しくなって、船下に黒い影が現れて、上半身がドラゴン、下半身がイカという化け物が現れたのだった。
--フラグを立てるから……
やれやれと自分の不幸さに呆れつつ、戦闘準備に入る、メルティアだった。
えーと今回のゲストは……と考えていると?
「シュリ!!お兄ちゃんはココだぞぉぉぉぉ!!」
『お兄ちゃんじゃないですか』
「何だお前は! 貴様の様な者は知らん!!」
『特殊スキル!管理者ワールド!究極の妹ボイス(小〇唯さん)を発動!お兄〜ちゃん』
「ぬぐふぅっぬあうち!なんという……妹力だ、この様な事はあってたまるか……グハッ」
『続いて!管理者ワールド!私が1番好きな声優さんボイス(日高里菜さん)を発動!お兄ちゃ〜ん』
「ぬぐあふむわにぃるわ!」
『更に!!管理者ワールド!私が朝起こされたい声優さんボイス(早見沙織さん)を発動!お兄さん?起きて下さい!』
「ぬぐふぅらめらあわうち!!……(バタッ)」
蔵ノ宮辰秋は変態シスコン騎士を倒した!30の経験値を手に入れた。




